Sea to Summit(大和川)

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7月7日は「川の日」です。

七夕伝説の「天の川」のイメージがあり、季節的にも川に親しみやすい時期ということで、

近代河川制度100周年にあたる1996年に建設省(現在の国土交通省)が制定しました。



小学校の理科で「水の循環」について学びます。

海への降水(雨や雪)は、そのまま大気中へ蒸発します。

陸への降水は、そのまま大気中へ蒸発するものもありますが、一部は、地中にしみ込んだり、地表を流れます。

地表を流れる水が「川」で、高いところ(山地)から低いところ(平野)へと流れていきます。

私たちは、この“地表を流れる水”を利用して暮らしています。

どのように利用しているか?・・・今度は社会科の出番ですね♪



「暮らしと密接な関係にある川について、もう少し知ろう!」「川沿いを歩いたら、何か発見あるかな?」

・・・ということで、川沿いを歩いてみることにしました。

私は堺市に住んでおり、最も近い一級河川は「大和川」です。

・・・ということで、手始めに、大和川を歩いてみることにしました。

水源(奈良県)に比べると、河口の方が近かったので、河口から水源へ遡ることにします。

「 Sea to Summit(大和川編)」というわけですね。



大和川の河口は、大阪市と堺市の境界になっており、

北は、大阪市住之江区南港南で、南は堺市堺区築港八幡町です。

上の写真は、大阪市側から撮ったもので、阪神高速4号湾岸線南港南出口の少し東側から西向きに撮りました。

対岸(堺市側)には、サッカーナショナルトレーニングセンター(通称:J−GREEN)が見えます。

A代表も、ここで練習合宿するそうです。

  

歩き始めると、200メートルごとに道標(キロポスト)がありました。

河川の調査を行うときや、川の事故が起こったときなどに、速やかに場所を伝えることができます。



河口から0.8キロメートル(800メートル)地点です。 阪神高速4号湾岸線の下をくぐります。



河口から2.0キロメートル地点です。 ここに、オイルフェンスのようなものがありました。



この区間を歩いたのは、2023年9月9日でした。

環境省は、河川・湖沼におけるプラスチックごみの海洋への流出実態調査として、

全国の一級河川を対象に、毎年、いくつかの河川ずつ調査を続けていますが、

2023年に調査を行った7つの河川に、大和川が含まれていました。

調査地点が「浅香」であり、調査日が9月5日だったので、

このフェンスのすぐ上流において、数日前に行われていたことになります。

その調査を意識して、歩いたわけではありませんが、

このフェンスは、もしかしたら、それと関係しているのかな・・・。



調査では、川の流心(中央部)、左岸、右岸において、川の水を採取して、

その中に含まれているプラスチックごみの色や形状、粒子径、材質などを調べます。

調査前に、上流において雨が降れば、流量などが変化するので、水位も観測しておきます。

今回の調査において、水位観測地点は「遠里小野」であり、

降水量データは、上流にある柏原の雨量データを用いたようです。

調査実施日である9月5日から2週間遡った8月23日からの観測データによると、

8月24日に40mmほどの降水を観測しており、そこから5日間は、少し水位に変動があったものの、

調査前1週間は、一定水位で落ち着いていたようです。



海洋へのプラスチックごみ流出は、海洋生物資源への影響が懸念されるため、問題になっています。

例えば、小さい破片となったマイクロプラスチックを海洋生物が飲み込み、その生物が死んでしまうと大変です。

極端な言い方をすれば、だんだん魚を食べることができなくなってしまいます。

生分解性プラスチックであるかどうかは、大きな関心事であり、流出するプラスチックの材質調査は大事です。

採取した水に多く含まれていたプラスチック材質は、ポリエチレン(PE)とポリプロピレン(PP)であり、

これらは、2023年に、国内で最も多く生産されたプラスチックでした。



プラスチックの材質を、どのようにして識別するのでしょうか?

私たちが商品を手にするときは、商品に、どんな材質でできているか記載されているので、

識別することができます。



しかし、バラバラの破片になったマイクロプラスチックだと、

外見をちょっと観察したくらいでは識別できません。

そこで、「赤外分光法」という方法を用います。

高校化学で学びますが、プラスチックは有機化合物であり、

炭素原子をはじめ、水素原子や酸素原子などの結合の仕方で、その性質が異なります。

プラスチックに赤外線を照射すると、赤外線の吸収により、原子が励起され、振動しますが、

原子の結合パターンが異なると、振動パターンも異なります。

事前に、PEやPPの振動パターンを把握しておけば、

検体の振動パターンを、それらと比較することで、材質が何なのか識別することができるわけです。



PEとPPで、赤外スペクトルの形状を比較すると、波数1500(cm-1)あたりのピークに違いが出ます。

PEの単量体はエチレンで、化学式は「 C2H4 」。 PPの単量体はプロピレンで、化学式は「 C3H6 」。

どちらも、結合の種類は「 C−C 」と「 C−H 」の2種類なので、

それぞれの結合に対応した位置にピークが検出されます(「 C−C 」は1500、「 C−H 」は3000)。

ただ、エチレンは、4つの「 C−H 」に対して1つの「 C−C 」である一方、

プロピレンは、6つの「 C−H 」に対して2つの「 C−C 」ですから、

「 C−H 」1つあたりの「 C−C 」は、プロピレンの方が大きい値にあります。

したがって、赤外スペクトルの形状を比較したとき、

「位置3000のピーク面積に比べて、位置1500のピーク面積がより大きい方が、プロピレン」

ということになります。



・・・という話を続けていたら、いつの間には、川沿い歩きの続きを忘れていました(笑)。

続きは、また改めて、お話することにいたしましょう!


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