単位の定義

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2019年5月20日、「キログラム」の定義が変わります。

と言っても、いきなり、あなたの今の体重が2倍になったりすることはないので、御安心を!

恐らく、日常生活で何かが大きく変わる実感はないでしょうね。

それにしても、単位の定義を改めて考えると、面白いものです。

なぜ「1m」が、あの間隔なのでしょうか?・・・なぜ1秒が、あの間隔なのでしょうか?

これを機に、国際単位系の7基本単位の定義について、ザーッと見ておきましょう!



まずは「時間」から。

元々は、日中を12分割、あるいは1日を24分割した間隔を「1時間」とし、

その60分の1を「1分間」、さらに60分の1を「1秒間」としていました。

その後、秒単位を表示できる機械時計が16世紀後半に登場し、20世紀前半にはクォーツ時計が登場します。

時計の精度が向上するにしたがって“1日の長さ”には変動があることが分かってきたため、

これを基にした秒の定義から新しい秒の定義に改めようという機運が高まりました。

そして、20世紀後半になって現れたのが「原子時計」です。

現在、更なる精度の向上を求め「光格子時計」というものが考えられています。

数年後には、1秒の定義が再度変わるかも知れませんね。



次は「長さ」について。

元々は、王など特定の人の“肘から中指の先までの間隔(キュビット)”を長さの単位としていました。

人類がそれぞれの生活圏で過ごしている時代は、これで十分だったのですが、

別の生活圏の人々と交易をするようになると、バラバラの単位で不具合が生じました。

そこで地球の子午線孤長から定義するようになったのが18世紀終わり(1791年に「メートル法」成立)。

イギリスの物理学者ジェームズ・マクスウェル(1831−1879)が「光速一定」を示すと、

「(光速)×(秒)で長さの単位を定義しよう!」ということになりました。そして、現在に至ります。



次は「質量」について。

まず、私たちは「重さ」と「質量」の区別をしなければなりません。

というのも、小学校以来、「質量」のことを「重さ」と呼ぶ習慣があるからです。

両者は明確に違います。(質量)×(重力加速度)=(重さ)です。

さて、「メートル法」の成立時に、1キログラムも「1Lの水の質量」として定義されました。

それと同じ質量の「国際キログラム原器」の質量として今まで定義されてきましたが、

2019年5月20日に、その定義が変わります。さて、どのような定義になるのでしょうかね。



次は「電流」について。

電流「1アンペア」の元々の定義は、

「硝酸銀水溶液中を通過する電気が1秒間に一定量の銀を析出させる電流」でした。

1948年に定義が変わり、電流が流れる2本の平行な針金にはたらく力により定義されるようになりました。

アンペアの定義も2019年5月20日の「キログラム定義変更」と同時に変わります。

今まで電気素量が測定値だったのですが、これを定義値とするのです。



次は「温度」について。

ここで扱う「温度」とは“摂氏○○度”という「℃」ではなく、絶対温度の単位「K」です。

高校化学では、(セルシウス温度)+(273)=(絶対温度)として学びます。

これも2019年5月20日に定義が変わる単位であり、

これまで「水」という特定の物質を使って定義していたのですが、

これからは「ボルツマン定数」という基礎物理定数を用いて定義することになります。



次は「物質量」について。

高校化学で登場する「モル」です。

この単位も2019年5月20日に定義が変わります。

これまで「アボガドロ定数」を測定値としてきたのですが、これを定義値にするのです。

これにより、1モルはある値に固定されることになり、

一方、炭素1モルの質量はキッチリ12gだったところが、誤差をもつことになります。



最後は「光度」について。

光度とは、点光源から特定の方向へ放射される単位立体角あたりの光の明るさのことで、

唯一、ヒトの感覚に沿って定義されている単位です。

蝋燭、ガス灯、白熱灯、蛍光灯、LEDと、光源の変化に伴い「1カンデラ」の表現方法は変わってきたものの、

相変わらず、ヒトの感覚が元になっていることは変わっていません。

今回も定義の変更はなし。


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