星までの距離(変光星)
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【変光星】 1912年、アメリカの天文学者ヘンリエッタ・スワン・リービット(1868−1921)は、 マゼラン星雲中の「セファイド」と呼ばれる変光星において、 変光周期と見かけの等級との間に相関があることを発見しました。 すなわち、変光周期の長いものは明るく見え、逆に、変光周期の短いものは暗く見えていたのです。 これは、次のように解釈できます。 明るい星というのは、質量が大きく、また、体積も大きい。 このとき、充填率は100%でないから、質量の肥大割合に比べて体積の肥大割合は大きくなり、 したがって、密度は小さくなることになります。 密度が小さいということは、ぷよぷよしていて振動がゆっくりと鈍くなるので、 変光周期が長くなるというわけです。 セファイド型変光星は変光周期が1〜50日の変光星ですが、 これより変光周期が短い(1日以下)変光星を「こと座RR型変光星」と言います。 アメリカの天文学者ハーロー・シャプレー(1885−1972)は、 銀河系の「ハロー」と呼ばれる、銀河面から離れた部分に存在すること座RR型変光星に注目しました。 太陽系はハローの星に対して動いていますが、逆に地球から見れば、ハローの星が動いているように見えます。 その動きの大きさと、太陽系が運動する速度を使うと、「ハロー」の星までの距離を求めることができます。 この方法を「こと座RR型変光星」に用いると、 その見かけの明るさmと求めた距離dから絶対等級を推定することができ、 これにより、変光星の周期が分かれば、その変光星の絶対等級が分かるので、 変光星までの距離を求めることができます。 【銀河宇宙】 こと座RR型変光星とセファイド型変光星は似ているので、 シャプレーがこと座RR型変光星で試した方法は、すぐにセファイド型変光星にも試されました。 そして、ハーシェルが1785年に銀河系の形について発表して以来、 不明だった星雲までの距離がようやく判明する時が来たのです。 1924年というから、実に、140年の年月が経っていました。 アメリカの天文学者エドウィン・ハッブル(1889−1953)が、 ウィルソン天文台にある口径2.5mの望遠鏡を使って、 アンドロメダ星雲中にセファイドを複数見つけ、それらの距離を求めたところ、 アンドロメダ星雲は銀河系の外にある“島宇宙”であることが明確になったのです。 さらに、他の渦巻星雲のセファイドを検出して距離を求め続け、 これらの渦巻星雲は銀河系の外遠くにある、銀河系と同規模の星の大集団であることが確定しました。 これ以降、このような星の大集団は「銀河」と呼ばれるようになり、 こうして、銀河が点々と宇宙空間に散らばっているという“銀河宇宙”の考えが定着したのです。 |
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