ニュートリノ天文学

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2015年10月6日、ノーベル賞の選定が行われました。

今回の日本人受賞者2人のうち、物理学賞の梶田隆章氏は、

素粒子「ニュートリノ」が質量をもつことを示す“ニュートリノ振動”を発見しました。

・・・というわけで、素粒子の性質に深入りすることはしませんが、

ニュートリノに関連して、「ニュートリノ天文学」を取り上げたいと思います。



太陽のエネルギーは核融合反応によって生み出されます。

4つの水素原子から1つのヘリウム原子が生成されるときに解放される結合エネルギーが、その正体です。

この一連の核融合反応において、ニュートリノが放出されます。

このニュートリノを観測することで、

太陽に関する情報を引き出そうとするのがニュートリノ天文学の目的の1つです。

岐阜県飛騨市神岡町にある「スーパーカミオカンデ」という、

宇宙素粒子を観測するものとしては世界最大級の装置を用いて、太陽ニュートリノの検出に取り組んでいます。



太陽も恒星の1つですが、恒星がその一生を終えるときに起こす大規模な爆発現象を「超新星」と言います。

超新星のときにも、ニュートリノは放出されます。

元素の周期表において、原子番号が鉄より前の“軽い”元素は水素を起点とした核融合反応により生成されますが

鉄より後の“重い”元素は超新星により生成されます。

ヒトを含め、生物を構成する元素にも重い元素が含まれているので、

超新星のニュートリノを観測することは、

生物を形作る元素がどのように生成されてきたのかを理解することにも役立ちます。



「スーパーカミオカンデ」があるのであれば「カミオカンデ」もあるはずです。

・・・と言いたいところですが、今はもうありません。

役目を終えたカミオカンデは解体・再利用され、

現在は新しいニュートリノ観測装置「カムランド」として活躍しています。

カムランドを使った研究の1つに“地熱の研究”が挙げられます。

地球内部から放出される熱のエネルギー源は何なのか?

地球誕生時に衝突した隕石の運動エネルギーという可能性の他に、

地球内部の放射性元素のベータ崩壊によるエネルギーも考えられます。

ベータ崩壊によってニュートリノが放出されるので、それを測定することで、

熱源に関する新たな知見が得られるわけです。ニュートリノ地球物理学の誕生!


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