三角測量で山の高さを測る

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【日本一高い山:富士山】


♪ふーじーは に〜っぽん いーちーのー やまー♪・・・でお馴染みの富士山。日本最高峰です。

一生に一度は登ってみたいですよね〜。私も登ったことがあります。

山頂に三角点があり、「標高3775.63m」と記されています。



この標高は1962年に測量されたものですが、いったいどのようにして求められたのでしょうか?

そもそも「三角点」とは、いったい何なのでしょうか?



【三角点】

山登りをしていると、次の写真に見られるような、地面に埋まっている石柱をしばしば目にします。



これが三角点です。

この三角点、石柱は四角いのに、どうして“三角点”と呼ばれているのでしょうか?

山のトンガリが三角形だから・・・ではありません(笑)。

いくら山の頂きに三角点が多いからと言っても、それ以外にも三角点はありますので・・・。

“三角点”という名がついたのは、

位置を決めるのに用いた測量技術が、図形でいう三角形の角度を測ることに相当し、

高校数学に登場する「三角比」の知識をつかって計算していた「三角測量」と呼ばれる方法だったからです。



△OAB を底面とする、高さが OH の三角錐をイメージしてください。

この三角錐の高さ OH を求めるには、どのようにすれば良いでしょうか?

「物差しで、辺 OH の長さを測ればいいじゃないか!」というのは、ごもっともな意見。

しかし、これが山の高さで、露出しているのが斜面である△ABH だけだったら・・・?

すなわち、辺 OH は“山”という土の塊の中にあり、直接測れないときはどうしましょう?



【三角測量】

小学5年生から中学2年生にかけて、合同な図形について学びます。

三角形の場合、対応する辺の長さや角の大きさが同じである2つの三角形は合同です。

ということは、辺の長さや角の大きさが分かれば、三角形を特定できるということになります。

三角測量は、このような発想から生まれたもので、2点間の距離を測ったり、2辺間の角度を測ったりします。

ただし、距離の測定というのは意外に難しく、昔から、角度の測定により三角形を特定する方法が採られました。



先ほどの三角錐において、平地の2点AとBの間の距離だけは、何とか頑張って測定し、

後は角度の測定のみで OH の長さ(高さ)を求めたいわけです。

「経緯儀」という、角度を測る測量機器を使います。

平たく言えば、水平方向、および、鉛直方向に回転する“目盛りのついた望遠鏡”です。



点Aに経緯儀を据え置き、点Bを見ます。

その状態から∠BAO の大きさ分だけ水平方向に回転させ、

∠OAH の大きさ分だけ鉛直方向に回転させたところに点Hがあるはずです。

点Aに経緯儀を据え置き、点Bを見たときをゼロとすれば、

点Hを見たときに経緯儀が示す、水平方向の目盛りの数値が∠BAO の大きさに相当し、

鉛直方向の目盛りの数値が∠OAH の大きさに相当します。



同じことを、今度は点Bに経緯儀を据え置いて行います。

つまり、点Aを見たときをゼロとすれば、

点Hを見たときに経緯儀が示す、水平方向の目盛の数値が∠ABO の大きさに相当し、

鉛直方向の目盛りの数値が∠OBH の大きさに相当します。



∠BAO と∠ABO の大きさが分かれば、三角形の3つの角の大きさの合計は180度なので、



により、∠AOB の大きさが求まります。

高校1年生で学ぶ「三角比」の「正弦定理」により、



なので、



となります。辺 AO の長さが分かれば、



により、高さ OH を求めることができます。



【次回の予告】


数学の教科書レベルなら、これで、めでたし、めでたし!・・・なのですが、そこで話を終わらせません。

もう少し、突っ込んだ話をします。

実は、三角測量は高さを決めるための測量ではないのです。

測量の世界で高さを決める測量は「水準測量」と言います。


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