「整数の性質」と暗号理論
|
|
【素朴な疑問】 現在の学習指導要領では、高校数学「数学A」に「整数の性質」という単元が含まれています。 この前の学習指導要領には含まれていませんでした。 なぜ、整数の性質が高校数学の内容に含まれるようになったのでしょうか? 【情報化社会】 どんどんコンピュータ社会になってきている世の中の流れを受けてのことだと思われます。 コンピュータ社会になると、特に注意しなければならないのは情報セキュリティです。 こちらのネットワークに入り込んできた第三者に、勝手に情報を盗まれては困ります。 大切な情報を盗まれないようにするには、どうすれば良いでしょうか? 大切な情報を盗まれないようにすることは、なかなか難しいです。 しかし、意味不明な情報なら、盗まれても構いません。 そこで、大切な情報を暗号化し、そのままでは意味不明な情報にします。 その意味不明な情報を送り先で復号化し、大切な情報に戻してやれば良いでしょう。 これなら、途中で盗まれることがあっても、それは意味不明な情報なので、構いません。 さて、では、どのようにして暗号化するのでしょうか? そこで役立つのが整数の性質というわけです。 【情報の暗号化】 今、Aさんは「せいすう」という4文字の情報をBさんから送ってもらいたいとします。 このまま送ってもらったのでは、途中で盗まれ、情報の中身が知られてしまうかも・・・。 そこで、Aさんは暗号化してもらうことを考えました。 Bさんから送ってもらった暗号は「34123313」となっていました。 「せいすう」から「34123313」に変換された、暗号のしくみはお分かりですか? 五十音表に対応させて、文字の並びを数字の並びに変換してもらったのです。 あ行を「1」、か行を「2」とすれば、さ行は「3」になります。 「せ」は、「3」で表される「さ行」の4番目の文字なので「34」となります。 同様に考えると、「い」は「12」、「す」は「33」、「う」は「13」となります。 このようにして「せいすう」から「34123313」に暗号化されました。 しかし、これで、めでたし、めでたし!・・・と思ったらダメです。 この暗号化は、Aさんの発案であるはず。 そうでないと、送られてきた暗号文をAさんが元に戻せません。 ということは、AさんはBさんに暗号化の指示を与えているはずです。 この暗号化の指示内容を途中でCさんに盗まれたのでは、意味がないのです。 Cさんが、暗号文と暗号のしくみの両方を入手してしまえば、元の情報を復元できるのです。 このような単純な暗号化では、すぐに見破られてしまいます。 他に良い方法は何かないでしょうか? 【RSA暗号】 1977年に「RSA暗号」というものが発明されました。 発明者であるロナルド・リベスト(Ronaid Rivest)、アディ・シャミア(Adi Shamir)、 レオナルド・エーデルマン(Leonard Adleman)の頭文字から、このように呼ばれています。 この「RSA暗号」のしくみに、整数の性質が多数盛り込まれています。・・・詳しくは授業にて♪ |
|
|