学際そば博士の研究

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フィールド調査、DNA分析、コンピュータシミュレーション、蕎麦の製造・販売、食味試験、・・・など。

振り返ってみると、確かに、分野をまたいで学際的なそば研究をしてきた農学博士ですな、私は・・・(笑)。

私自身を教科書として、日常生活の中にある身近な例から研究活動を始めるきっかけにして下さい。



(01)日本人が食する「蕎麦」の原料である「ソバ」の起源を探る。・・・「生物進化」の研究例。


生命の起源は?・・・最近、世の中で騒がれています。

生物から抽出したDNAの塩基配列を比較し、類縁関係を調べることで明らかにするアプローチがあります。

私の場合、対象は、ソバ属の限られた種の中でしたが、同じことをしていました。



(02)得られたデータの解析方法にも、色々なものがあります。・・・「確率論」「統計学」の必要性。


同じ得られたデータでも、異なる解析を施すと、まったく異なる結果をはじき出してしまいます。

解析ソフトウェアのアルゴリズムをしっかりりかいしていないと、とんでもないことに!

何でも「正規分布でOK!」ということではダメですよ〜。確率論・統計学をちゃんと勉強しましょう!



(03)食味試験、多数決でOK!・・・そんな訳ないでしょ! 統計学は社会科学の研究にも活かせます。


2種類の商品サンプルAとBを20人に比較してもらいました。

結果は、14人がAを支持し、6人がBを支持しました。・・・これでAの方が人気の商品として良い?

答えは「ダメ!」です。・・・えっ、7割もの人が支持しているのに!?・・・一体、どうして???



(04)理論ばかりの“頭でっかち”ではダメ!・・・科学において「理論」と「実験」は切り離せません。


いくら食味試験で「OK!」になっても、はたして、それが消費者のニーズに沿うものかどうか。

理論的な計算ばかりしててもダメですよ。造ったものを売らない(販路がない)と、儲かりませんよ〜。

“消費者の声”を絶えず仕入れておくことも必要です。「市場調査」ってやつですな。




(05)プロの蕎麦打ち職人ならば、与えられた原料を、さらに美味しく仕上げなければなりません。


銘柄の良い品種や、栽培に最適な産地の原料から蕎麦を打って美味しいのは当たり前です。素人でもできる!

品種や産地が決まった後、それをさらに美味しくするにはどうするのかを考えるのがプロの仕事。

自然と、製粉や製麺に目が向きますよね。・・・ただ、直感で勝負は時代遅れ!・・・おいしさの科学です♪



(06)「石臼挽き」と「ロール挽き」では、何が違うのでしょうか?


店頭に「石臼挽き」と書かれているのをよく見かけます。石臼挽きだと美味しいらしいです。・・・なぜ?

「粉体工学」の話になりますが、双方とも粒径分布が「ロジン・ラムラー分布」に従う点では同じです。

双方で異なるのは「ワイブル係数」の大きさ。・・・この差が“石臼挽き優勢の決め手”です。



(07)「手打ちが美味しい!」と言うのであれば、蕎麦打ちは下手な方が良い?


「機械打ちより手打ちの方が美味しい!」と主張する理由の1つに「麺のバラつき(不均一性)」があります。

「1/fゆらぎ」による効果かも知れませんね。「スペクトル密度が周波数に反比例するゆらぎ」のことです。

「ファジィ理論」「カオス理論」「フラクタル理論」などを扱う「感性工学」の出番です。


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