薬剤師国家試験
|
|
薬剤成分は、有機化合物の一種です。 「薬草」という言葉があるように、元々は、植物に含まれる成分が、そのまま利用されていました。 やがて、効能を高めるために、また、副作用を弱めるために、 元々の成分物質を改良しようという試みがなされるようになり、有機合成化学が発展しました。 薬学部で有機化学を学ぶのは、創薬に必要だったりするからでしょうか。 アルカンは、そのままでは安定しており、反応しにくいので、 反応しやすくするために、一旦、ハロゲン化することがあります。 例えば、プロパンを塩素化すると、1−クロロプロパンと2−クロロプロパンが生成します。 このとき、理論的には、3:1の比で生成するはずなのですが、実際には、そうならず、 むしろ、2−クロロプロパンの方が多く生成されます。 これは、一体、どうしてなのでしょう? 2−ブロモプロパンに酢酸ナトリウムを加えると、「脱離反応」ではなく、「置換反応」が起きます。 2−ブロモプロパンにナトリウムエトキシドを加えると、「置換反応」ではなく、「脱離反応」が起きます。 同じ物質(2−ブロモプロパン)でも、何を反応させるかで、 置換反応なのか、脱離反応なのか、異なるわけですね。 何を反応させれば「置換反応」あるいは「脱離反応」になるのかを理解すれば、 意のままに有機化合物を変化させ、理想的な薬剤を創ることができそうです。 【薬剤師国家試験に関する素朴な疑問】・・・以下のようなことも、一緒に考えていきましょう! Q1:細胞膜を構成する成分に「リン脂質」があります。 グリセリンに3つあるヒドロキシ基のうち、1つがリン酸と結合し、 残る2つが脂肪酸とエステル結合しています。 この割合が絶妙でして、 脂肪酸エステルの部分が1ヶ所であっても、3ヶ所であっても、細胞膜にはなれません。 2ヶ所だから細胞膜になれています。・・・なぜ? Q2:ATP(アデノシン三リン酸)は、 細胞内で様々な反応を起こすのに必要な化学エネルギーの貯蔵体として有名です。 ところで、どうして、ATPは、エネルギーを貯蔵できるのでしょうか? Q3:分子量を求める方法の1つに「質量分析法」というものがあります。 どのような原理なのでしょうか? C7H14 と C6H10O のように、同じ分子量でも、分子式の異なる場合がありますが、 質量分析で、分子式を識別することができます。 どのようにしているのでしょうか? ペンタンと2−メチルブタンのように、同じ分子式でも、構造が異なる場合がありますが、 質量分析で、構造異性体を識別することができます。 どのようにしているのでしょうか? Q4:投与された薬が細胞内に入る方法は、いくつかありますが、最も多いのが「単純拡散」です。 細胞膜を通過する速度を計算するとき、「フィックの第1法則」を用いますが、 その式に出てくる「拡散係数D」が、最初、よく分からない物理量で困ります。 どうやら、単位が「m2/s」になるから、このような名前になっているようですが、 さて、どうして拡散係数の単位が「m2/s」になるのでしょうか? Q5:点滴では、支柱にぶら下げられた袋に入っている薬剤が、チューブをたどって、 針の刺さった腕の血管に入っていくわけですが、チューブの途中で、円柱状の容器を経由します。 薬剤の溶けた液がポタッ、ポタッと出ているのが見える部分です。 「点滴」という名前は、ここから付けられたのでしょうか? さて、この「ポタッ、ポタッ」と落ちるスピードですが、なぜ、あの速度になっているのでしょうか? 空気中を落下してくる雨粒と、同じような感じで、微分方程式を解けば、分かります。 ・・・など。 「塾での授業」に戻る |
|
|