マウナケア (Mauna Kea)
ハワイ語で Mauna は山 (Mount)、Kea は 白 (White)。すなわち「白い山」という名前です。標高4,205メートルはハワイ諸島の最高峰で、冬季には積雪で真っ白になります。
山頂部は年間を通して大気の汚染度が低く、また街の明かりも届かないため、天文観測のメッカとして地元アメリカはもとより、カナダ、英国そして日本(国立天文台のスバル:右の写真)など、世界トップクラスの天体観測所が立ち並んでいます。
6月4日:
朝6時半、ホテルの部屋から外を見ると ヒロ (Hilo) の町の上空はどんよりと黒い雲が立ち込め、年間降水量が約4,300ミリ (ちなみに、東京都の年間降水量は約1,500ミリ) で「雨とオーキッド(蘭)の町」とも呼ばれるヒロを象徴するような天候です。明け方近くまで雨が降っていたのでしょう、芝生や歩道はまだ濡れています。
しかし、遠方に目を向けると、ぽっかりと青空がのぞいている雲間から、 Mauna
Kea の雄大な姿が見えます。ラッキー!の一言です。山頂にある天文台も白く輝いています。(ここから下の写真は全てクリックで拡大します)
6月5日:
Mauna Kea 山頂で、日没と星空の観察です。一般車での立入りは禁止のため、Kailua
Kona のスーパーマーケット駐車場でツアー会社の4WD車に乗り換え、15:00に出発。
196号線 (Mamalahoa Hwy) を快調に北上してから、200号線 (Saddle Rd) に入り
Mauna Kea 山頂へと向かいます。
この Saddle Rd は、東海岸の Hilo の町と西海岸の South Kohala 地区を結ぶ一般道ですが、溶岩礫や牧草地の中をくねくねと曲がっていたり、対向車とすれ違うのがかなり厳しいほど道幅が狭いところが何ヶ所もあります。いちおう簡易舗装はされていますが、傷んでいたり、洗濯板のような凸凹が続くところがあり、シートベルトをして後部座席に座っていたらバウンドして痛ってえ!と思わず言ってしまうほど何回も頭を天井にぶつけました。夜間の街灯などはもちろん設置されてなく、走行の危険度が高いため、レンタカーでは保険適用外の道路です。
コナの町から2時間弱のドライブで、標高2,800メートルにある Onizuka
Visitor Center に到着。短い時間での気圧の変化に体を適応させるため(要するに、高山病の予防)、ここで約1時間、折詰め弁当を食べながら休憩です。町で買い込んできたペットボトルの水を飲もうとリュックから出したら、今にも破裂しそうにぱんぱんに膨らんでいます。「高いところは、気圧は低い!」と、今更ながら実感です。
1時間の小休憩のあと、いよいよ頂上に向かいます。未舗装のがたがた道ですが、4WD車の威力で高度差1,400メートルを約30分で一気に登ります。途中、ガイドの人が5分おきくらいに「さあ、ペットボトルの水を一口飲みましょう」「大きく息を吸い込んで、今度はゆっくり吐き出しましょう」と言います。空気が薄くなってくるので、『体内の酸素濃度をできるだけ減らさないため・・・』だそうです。それでも頂上が近づき高度も4,000メートルほどになると、耳がツーンと痛くなったり、胸が圧迫されるような息苦しさを感じます。
時計の針も午後7時近くになり、いよいよ日没のときが迫ってきました。常夏の島
Hawaii Big Island でも山頂の気温は夕暮れ近くはかなり低くなります。半袖シャツにサマーセーターを着て、さらにフード付パーカーを頭からすっぽりと着込みましたが、寒さが体に沁みこんできます。ガイドさんがあらかじめ準備していた厚手の裏付きジャンパーをさらに着重ねして、ようやく寒さから開放されました。
大天空と果てしなく広がる地平線、神々しいほどに煌く荘厳なサンセット。こんなに魅惑的、感動的な日没を見るのは初めてです。周りにいる大勢の観光客の誰もが壮大なスペクタクルに息を潜めて見入っています。シーンと静まり返った中でカメラのシャッター音だけが聞こえてきます。
わずか数分間のサンセット・ショウでしたが、言い表しがたい余韻が心に残りました。
Onizuka Visitor Center まで戻り、今度は満天の星空の観察です。北半球の北斗七星・北極星から南半球の南十字星まで、天空は一面星だらけです。金星、木星、カシオペア星群、サソリ座、・・・、天の川、・・・。ガイドさんが準備した天体望遠鏡を覗き込みながら、次々と説明してくれますが、星座に疎い私には猫に小判、馬の耳に念仏で、ただ「きれいー!」「すっげぇー」と意味なくつぶやくだけでした。
私のデジカメ(Minolta DimageX)ではシャッタースピードや露出を変えられず、写真をとれなかったのは残念ですが、でもこんなに無数のお星さまをいちどきに見たのは生まれて始めての経験で、それだけで感動ものでした。