受け継がれた技 1

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叶屋では代々お客様のご来店からそばを打ち始めておりました。写真のような量で12〜13人分です。

元祖を付けさせて頂いてる以上ご来店いただいているお客様お一人お一人には、本当の戸隠蕎麦を食べて頂きたく

お客様のご注文を頂いてから打ち始めます。打ち立て、茹でたてをご賞味ください。

手打ち蕎麦は、その工程を全て人の手の感覚だけで作り上げております。

趣味としてご自宅で蕎麦を打つ方が多くなって来ました。そば粉と割子の配分にこだわり

10割蕎麦 9割蕎麦 8割蕎麦など蕎麦粉の多い方が美味いと思われている方も多くいらっしゃいますが。

此処戸隠の戸隠蕎麦は7対3が戸隠蕎麦です。蕎麦粉を一番美味しく食べられる配分と思っております。


戸隠蕎麦の作り方は、蕎麦粉を捏ねる前の水廻しの段階に違いがあります。

こね鉢に蕎麦粉7 つなぎとして小麦粉の中力粉3の割合で入れ、最初に蕎麦粉だけにお湯を入れ、湯で蕎麦粉を湿らせます。これを(湯しめし)と言います。湯しめしをしてしまったら、もう途中でやめる事はできません。どんどん手早に、その蕎麦粉と小麦粉を良く混ぜて水を回していきます。

湯が多過ぎても、少な過ぎてもうまくいきません。これが手の感覚です。(気温の低い時には多めに、高い時には少なめに)これぞ代々受け継いできた人でないと分からない感覚です。

多分、今の戸隠では、この作り方をしている蕎麦屋は、叶屋だけと思います。

分量のそばに何%の加水をしてという作り方(江戸そば)は失敗の少ない、一般的な蕎麦の作り方です。


© 西澤輝雄 2023