スイスアルプスと登山電車・氷河特急・ベルニナ特急、ミラノ「最後の晩餐」
(後半)
グレッシャー・エクスプレスエンガディン地方ベルニナ・エクスプレスミラノお買い物妻の絵前半へ戻る

グレッシャー・エクスプレス


 マッターホルンを後にして、ツェルマットからサンモリッツまで、グレッシャー・エクスプレスのパノラマ車両で8時間かけて移動します。この列車は全席指定で、3日前にインターラーケンオスト駅で指定席を購入しましたが、私たちの席は先頭車両の先頭から2番目のボックスで、隣には4人のインド人家族(彼らは、ビデオのバックグランドミュージックにインド歌謡曲をかなりのボリュームで流してました)、その前には、老夫婦と一人旅の男性、その隣には二人連れの男性(彼らは、最初から最後までワインを飲んで、支払いはかなりの額だったようです)、残りの席はブリーグからアメリカの団体客で埋まりました。隣の車両には日本人の団体客で埋まってましたが、アンデルマットで下りて、他の団体が代わって乗ってきました。ほぼ満席で、人気のほどが伺えます。
 この特急は食堂車が付いてませんが、昼食を席で取ることができます。車掌が昼食がいるか聞いて回ってましたが、4000円+ワイン代を考えて、事前にツェルマットのCOOPで軽食と飲み物を用意してきました。ツェルマット(1604m)からフィスプ(658m)まで一旦下り、最高位のオーバーアルプ(2033m)まで上り、クール(585m)までまた下り、終点のサンモリッツ(1775m)までまた上るという行程です。窓は天井までありパノラマは充分なのですが、窓が開かないので写真を撮ると車内が反射して写ってしまうのが唯一に難点でした。

朝8:45、ツェルマット駅前広場

駅からすぐの高台にロッジが点在しマッターホルンを向いてます

この車両に乗りますが、その前に9:00発のダヴォス行きが隣のホームから先発します

席には、6ヶ国語のガイドフォンが付いて74ヶ所の見所を説明してくれます

若い車掌さんが、各席で切符のチェックがてら説明して回り、後ろと隣のインド人からの質問攻めで40分もかかってました

各席を回って昼食のオーダーを取ってます

メニューは、大豆のブイヨンスープ、ドライプラムを詰めた豚肉のソテー、ドムレッチ風チェリーケーキ

小柄で笑顔が可愛い女の子が後ろの席にビールを運んできました

豚肉のソテーをよそってます、お替りもしてました

お土産も売りにきます。傾いたワイングラスが売りのようです

アメリカの団体さんはお昼は持ち込んだパンで我々と同じ節約旅行のようです

林業が盛んで、製剤所が多いです

アンデルマットで先発したダヴォス行きと連結されました

アンデルマットの町を見下ろし、ぐんぐん上ります

最高位のオーバーアルプが近づき、ライン川源流の湖には氷が残ってます

ライン川はここからクールを経てオーストリア国境でユーターンしてドイツを通り、ロッテルダムで北海に流れます

1等と2等車両の間に軽食用車両が連結されていて、ビールを飲んでます

クールに着きました。ここは、スイスで最も古い町で大聖堂があります

後半のクライマックス、ランドヴァッサー高架橋に入り、乗客は思わず立ち上がり右側の窓に寄ります

えーー、工事中で赤い板に囲まれてますが、これは7月の観光シーズンに向けて補強しているようです

本来であれば、このような景色です、ここから30分で終点のサンモリッツに着きます

エンガディン地方


 エンガディンとはイン川の峡谷という意味で、サンモリッツ湖から上流のチャンプフェール湖、シルヴァプラーナ湖、シルス湖周辺の峡谷とベルニナ線が走るベルニナ峡谷、そしてロゼッチ氷河が削り取ったロゼッチ峡谷から周辺を指します。イン川はこれらの峡谷からの流れがサメダンでまとまり、オーストリアに入り、ドナウ川としてウィーンから黒海へ流れています。このエンガディンの風景を愛し、描き続け41歳で他界した画家、セガンティーニの足跡を辿ることにしました。
 セガンティーニは北イタリアで生まれ、貧しいままに、28歳で妻子とともにシルヴァプラーナに8年間住み、シルス湖上部のマローヤ、そして最後に更に上流のソーリオで生涯を閉じます。有名な運命3部作の遺作「自然」描くためにを、ムオタス・ムライユから2時間半歩いたシャーフベルクの小屋(2731m、現在セガンティーニ・ヒュッテとして営業)で寝泊りしているときに亡くなりました。私たちは、セガンティーニ・ヒュッテへの登山口の、ムオタス・ムライユのホテルに2泊。翌日、サンモリッツの外れにあるセガンティーニ美術館で運命3部作、他を鑑賞し、さらにセガンティーニのアトリエと住居が残っているマローヤまでバスで移動(下図の青色はエンガディン・バスを利用)。そこからシルス湖半を2時間歩いて(赤色)、シルスの町からバスで戻りました。翌日は、セガンティーニ・ヒュッテを目指し歩き始めましたが、雪が残っていたので、自然を描いた同じ角度の平坦コースを歩いてきました(黄色)。

これが、セガンティーニ美術館です。最上階の円形の窓から自然光を取り込んだフロアに運命三部作の「生」、「自然」、「死」が展示されています。この建物は、セガンティーニが生前、マローヤにあるアトリエに似せて設計し、死後建設されました。
上野の西洋美術館には「バグパイプを吹くブリアンツァの男たち」、大原美術館に「アルプスの真昼」が所蔵されているそうです。

「アルプスの真昼」大原美術館所蔵の姉妹作品

「水を飲むグラウビュンデンの女」

運命三部作「生」 晩年を過ごした、マローヤの奥にあるソーリオ村からサンモリッツ方面のアルプスを描いてます
左手前の木に腰掛けた聖母子、そして牛のいる牧場が描かれている。

運命三部作「自然」 この絵の太陽の方向に、セガンティーニ美術館が建てられました
牛を家路に追う夫婦の姿が描かれています

運命三部作「死」 マローヤ峠から西のイタリア方面を描いています 
喪服の婦人達が棺を馬そりに乗せる雪の朝のシーンです。

右中が、マローヤの生家と手前がアトリエです
一番右は、マローヤの奥にある塔からシルス湖方面の景色
セガンティーニはこの景色が気にいり、いつも眺めていたそうです

マローヤ村の家並み、これは牛舎でしょうか

屋根は薄い石で煙突、壁は土壁、雪が多いので1回はかさ上げされてます

集落には必ず教会があります

天気がいいのでシルス湖畔を1.5時間歩くことにしました、私はツェルマットで日焼けしてます

夫婦は必ず手を繋いで話しながら歩いてますが、私たちは、妻が写真を取っているので、離れては、待って、離れては、待っての繰り返しです

1時間ほど歩くと、お腹が空いてきました
写真の右端、イソーラ村にレストランがありました
手前は牧草で、牛がいます

イソーラ村のレストラン、国旗が掲揚されているのは営業中ということ、ここはホテルもやっています

1beer 2glass というとビールも2本きました、のどが渇いているから2本でよかった、お腹には生ハムのサンドイッチ。スイスフランが少ないのでユーロ(15ユーロ)で払ったらお釣はスイスフランでした。

3ヶ月の女の子もつれてハイキングしてます

イソーラで屋根を張りなおしていました

牛舎の備品

目的地、シルスのバス停、シルスには8年間避暑ですごしたニーチェの記念館があります。住民以外の車は入れないので静かでいいです。ここからサンモリッツへ行き、COOPで買い物してホテルに戻りました

ムオタス・ムライユのホテルです、ケーブルカーの駅と一体になってます。私たちの部屋ピンクの2回の手前の角部屋で、2方向の景色が楽しめます。

ホテルのレストランで夕焼けを見ながら食べます。20時ですがまだ太陽が見えます。ビール&白ワインで乾杯です。

前菜に、パンとサーモン

アスパラガス

ポーク、サフランのリゾット、

イチゴにアイス、この後、紅茶、コーヒーが付いて食事だけなら一人6200円くらいですが、ビールとワインを含めると9500円でした。

21:30 ピッツネイル方面の夕焼け

サンモリッツ湖からシルス湖の夕焼け

5:30 朝焼けサンモリッツからシルス湖の朝焼け

朝食、手前はヨーグルト風味の豆や木の実で美味しい
この後、チェックアウトしてハイキングに出発

氷河から流れる川で水量は多い

川を渡ると、左がセガンティーニ・ヒュッテですが、残雪で断念し右の平坦コースへ選択

セガンティーニ・ヒュッテの方角からエンガディン方面を見ると、右側サンモリッツ湖の右上に美術館が見えます。左上にはシルス湖が見え、その最上部がマローヤの村です

ロゼッチ氷河とロゼッチ峡谷、下の町はポントレジーナでこれkらベルニナ線に乗る駅です

ベルニナ・エクスプレスが見えます

ホテルに近づくと、若い牛が一人で留守番してました

もうすぐホテルです

ホテルで荷物を受け取り、ケーブルカーで下ります

ベルニナ・エクスプレス


 ムオタス・ムライユからケーブルカーで下りて、バスでポントレジーナに着きました。グレイシャー・エクスプレスの展望車両では、窓が開かず、いい写真が取れなかったので、ベルニナ線は、普通車両でティラーノへ行くことにしました。ポントレジーナでは、カーブで先頭車両が良く見える一番後ろの車両に乗りました。日本人の鉄道ファン4人がサンモリッツから乗っており、途中のアルプ・グリュムで下車して、展望台から下る列車をみて、1時間後の次の列車に乗り360度回るブルージオ橋をブルージオ駅で下りて見学して、またサンモリッツへ戻る、という鉄道ファンの王道プランのようです。私たちは、左右両方の窓を開けて、車窓からアルプグリュムまでの氷河、ボスキアーヴォまでの1000m以上下る景観を写真に取り、イタリアのティアーノでミラノ行きに乗り換え、明るい間にミラノのホテルに着きました。空いてるし、窓は開くし、展望車両にしなくて良かったです。

ポントレジーナ駅から今朝歩いた山が見えます、左の山がセガンティーニ・ヒュッテ、その下の緑の境界辺りを歩いてました。

この材木車両が、これから乗る列車の後ろに接続されました

前に5両、私たちは6両目、そして材木車両が後ろに連結された列車が道路、川と並行してベルニナ峡谷を進みます。

モデラッチ氷河が見えてきました

ラーゴ・ビアンコ湖(イタリア語で白い湖)は氷河が周囲の岩石を削り様々な成分が含まれて白くなってます。この色はグレイシャー・ミルクと言われています

最も標高の高いオスピツィオ・ベルニナ駅を過ぎると下り始め、バリュ氷河が右に見えてきます

アルプ・グリュム駅前のバリュ氷河の眺めです、ここでかなりの乗客が下りました

私たちの車両には3人の女性グループだけですから右や左は景色を楽しんでます

標高差1000mをぐんぐん下っていきます

下にボスキアーヴォの町が見えてきました

駅では、上りの展望車両と待ち合わせ、この機関車には「箱根」と日本語で書いてありました、なぜ?

路面電車のように道路に線路があります

ついにブルージオ橋にかかりました

後ろの材木車両もちゃんと付いてきてます

今度は橋の下をくぐります

段々のぶどう畑

ティラーノの町に入りました、ここはイタリアです

ベルニナ鉄道は箱根登山鉄道と姉妹関係でした

ミラノ行きまで90分ほどの待ち合わせ、やはり駅前のバールでビールです。右がベルニナ線の駅、左がイタリア国鉄の駅です。

少し、お腹も空いたので、トルテッローニ(クリームソースに豆が入ってます)

駅前広場に流れっぱなしの蛇口があり、通る人が手で飲んでいました、美味しそうなので水筒に詰めて、ミラノへの電車で飲みました

ミラノ


 3年前に家族4人で、ローマ、フィレンツェ、ヴェネチアを回りましたがミラノは初めてです(スペインに行く時にトランジットで空港に数時間いましたが)。
 初日の8日に空港からバスで着いたときは、高架したのトンネルを歩いて、ごちゃごちゃした駅裏を歩いて着いたホテル モノポールはエレベータのドアが手動で心配しましたが、朝食を食べる時間が無いと言うと、朝食パックを用意してくれて親切なホテルだと思いました。17日ティアーノから、19:40にミラノ中央駅に着いて、インタネットを使わないと言うと、シャワーからバスタブの部屋に代えてくれました。これで1泊1部屋1万円ですから、いくら眺望が素晴らしいとはいえ、スイスとの物価の差を実感しました。
 イタリアンを楽しみにしていたので、早速、駅周辺のレストランを探しました。イタリアではリストランテ(高級)、トラットリア(大衆)、オステリア(居酒屋)、ピッツェリア(ピザ屋)、バール(カフェ、バー)の序列がありますがこの日は、ピッツェリア、翌日の夜はリストランテに。
 今回、ミラノに寄った目的は、「最後の晩餐」です。25人が15分入れ替えで鑑賞し、電話かインターネットでの予約制です。9:45からサンタ・マリア・テッレ・グラツィエ教会で「最後の晩餐」を鑑賞し、それkら地下鉄で2駅先のワグネル(wagner 作曲家のワーグナーに関係あり?)の市場(メルカート・コムナーレ)までぶらぶら歩いて行きました。ここの市場では野菜、肉、魚、花、パン、食料以外も豊富で見ごたえあります。ここに住んだら毎日買いに来そうです。
 市場で買ったパンとビワで簡単な昼食をベルディの像の前で食べた後、地下鉄でドゥーモへ向かいました。地下鉄から地上に出ると、そこは巨大なドゥーモと広大な広場です。私は、都会の人ごみに疲れたので、ドゥーモで妻と別れて、一人でスーパに寄ってビールとワインを買い込み、ホテルで風呂の後に飲んで昼寝です。妻は1000枚の写真を撮って、18時ごろ帰ってきました。20時頃に食事に出かけ、気持ち飲んで帰って、荷造りしてゆっくり休みました。朝ゆっくりチェックアウトし、エアポートバスで空港へ行き、帰りはミュンヘンで乗り継ぎ、無事帰国しました。

ホテル モノポールの概観

部屋はシンプルですが必要な物は揃ってます

初日に用意してくれた、朝食パック、インド人が部屋まで届けてくれました

ミラノ中央駅の正面

駅から入った横丁のホテルの1階のピザ屋で、夕食。わたしはハムエッグが乗ったピザ、妻はパスタ、真ん中のサラダはズッキーニ、トマト、ナスを焼いたサラダ、これにビールと白ワインのボトル。お勘定は、20ユーロ、安い、他の席と間違えたようです。

ホテルの朝食はシンプルですが、紅茶、コーヒーはポットで席まで持ってきてくれます。

地下鉄でミラノ北駅のあるカドルナ駅へ向かいます

朝9時の出勤風景は日本と変わりません

結構、スクーターが幅を利かせてます

サンタ・マリア・テッレ・グラツィエ教会

二次世界大戦で半分ほど破壊されましたが、「最後の晩餐」のある食堂は無事でした。
25人が3つのドアをくぐって、名画に会います。

1498年に完成した壁画は、高さ4.2m、幅9.1mで20余年に及ぶ修復が1999年に終わってます。
上が修復前、下が修復後です

教会から路面電車沿いのしゃれた通りを30分ほど歩くと、市場(メルカート・コムナーレ)に着きます。

八百屋さんが一番多いです。妻はここでビワを4ヶ買いました

私は、オリーブのパンを買いました

買い求めた昼食をベルディの像の前のベンチでいただきます

再び、地下鉄に乗って、ドゥーモへ。圧倒される大きさで、観光客も多いですね。

入口では、警官と軍隊が荷物チェックをしてました

ミラノでの最後の晩餐は、妻が食べたかった、海老とズッキーニのリゾットです。私は、ベジタブル・パスタ、他に前菜は中皿でビュッフェでズッキーニ、オリーブ、オニオンフライ、チーズ、ホタテ、蟹のフライを上品に皿に盛りました。もちろん、ビール、ワインはミラノ産。
さすがに昨夜の騒々しいピザ屋と違い、リステランテは上品で静かで、最後の晩餐にふさわしいです。、これで合計7000円でした。

程好く酔って、ホテルに引き上げ、熟睡し、朝はゆっくり起きて、9時過ぎに朝食を取り、帰国の途へ。サンキュー、ミラノ。

買い物


 私たちは、昼食、夕食を求め毎日買い物します。何が、いくらで売っているのか非常に興味があります。また、町を歩きながら、路地のマーケットを覗くのも楽しいです。

ルッツルン、カルベ橋たもとのパン屋さん

同じく、花屋さん

湖畔のヴェッギスのスーパーではクノール製品が幅を利かしてます

ミューレンのお土産さんは素朴で、つい買いたくなってしまいます
(連続6枚の写真)

ブリエンツの木工製品の工房&ショップ、良く出来てます、お高いです(連続6枚の写真)

ミラノの市場です、野菜が豊富です(9枚連続の写真)

お土産一覧です(3枚)

妻の絵


 今回、妻は良く写生してました。ベルナー三山をシルトホルン、メンリッヒェン、ミューレンで、マッターホルンをルートホルン、ゴルナーグラート、エンディガンをムオタス・ムライユ、セガンティーニ美術館などで写生し、ホテルに帰っても私が寝ると、色をつけたりして過ごしたようです。以下の3枚は妻のスイス3部作です。

ユングフラウ
メンリッヒェンからの、ここで妻は3時間描いてました。この絵は絵葉書として使われ、スタンプが押されてオレンジの花のように見えます

マッターホルン
部屋はマッターホルンに向いてないので、ホテルのフリースペースから描いてます

エンガディン
ホテルの部屋から描いてます