東大理系数学     文責/田中太郎

1.概要

2.傾向

3.勉強法

4.お勧め参考書・問題集

5.その他

・試験時間:150分間(試験1日目の2コマ目)
・配点:120点満点
・構成:大問6題構成。問題によっては(1),(2)…のような小問が設定されているものもあります。
・解答用紙:A3判×2枚で、1枚目表面に第1問・第2問、裏面に第3問、2枚目表面に第4問・第5問、裏面に第6問。また、罫線や方眼はありません。

 頻出分野は、微分、確率、求積・求体積、整数、軌跡、空間図形…です。東大理系数学の問題6問のうち目安ではあるもののたいてい1~2問は易しい問題、2~3問は標準レベルの問題であっていわゆる難問奇問の類はあっても1問程度です。しかも目標の点数からしてもその難問を解く必要はありません。そこで重要となることは、 ①易しい問題を見抜く ②易しい問題を確実に取る ③標準レベルの問題でできるだけ点数を稼ぐ ということです。
 そのためにも、まず全問題の問題文を読む、そしてその中で解けると思った問題からとりくみましょう。
途中でミスをして点数を落とすと大変なことになります。あ、ミスった本当はもっととれたのに、って言い訳は本番では通用しません。普段からミスのないようよく見直しましょう。

 まずはチャートレベルの問題は見てすぐ解けるようにしましょう。ここで言いたいのは必ずしも解き方を覚えるのでなく(やってるうちに覚えてしまったとかはもちろんいいのですが)、教科書に載っているような定義や意味を理解して、何を組み合わせてどういうことをすれば解けるのか自分自身で導けるようにしましょう。
 当然のことですが問題を解いていて、できない問題がでてきたらその場で解けるようにしましょう。ここで大事なのは解答を見て、あー、そういうことか。とすぐ次の問題に行ってしまうのではなく、その解答ではまずなぜその道筋で解けることが思いついたか、各式ではどういうことをやっていて、どういう計算の工夫をしているのか、似たような問題が出た時にどういうポイントをみつければ同じように解けるのか…などをしっかり考えてことです。さらにもう一度解答を見ずに解いてみて、どういう論理を組み立てているか実際に書いてみることです。
 また、重要なことは常に意識しておくことが大事です。ここでいう重要なこととは、あるものを求めるのならその余事象を考える、だとか、場合わけがあるのかないのか・あるならばかぶりなく全ての場合をカバーできているか…といったものです。
 おそらく問題を読んでまったく手を付けられないときには、他の解ける人たちが当然のように最初に思いつくなにかに気付けていないのであって、緊張した面持ちで臨む試験本番でそういう状況に陥らないためにも普段からこういったことを、強く意識しておくことが必要だと思います。
 そういう意味では、数学は暗記科目でないのは承知の上で、ある重要な点が含まれているであろう問題集を繰り返し解いて、そのポイントを意識せずとも引き出せるようにする勉強法をとるのが賢く思えます。
 また、東大模試を受けていて思ったことですが、6題を150分で解くという機会はあまりなく、思っているほど長く普段の勉強や他のテストとは違う印象を受けました。こういう面や上述の簡単な問題を見抜ける演習をするという意味でも、過去問や市販されている各予備校の東大模試の過去問を本番と同じ時間で解くというのは効果的です。

・『Focus Gold』(啓林館)
…数学の全範囲の典型問題をカバーしています。解説も非常にわかりやすく、発展問題も充実しています。東大の数学を解く上で必要となる技法や知識が詰まっており、基礎固めから演習までいろいろなことに役立つ参考書です。一冊一冊の価格がかなり高いのが難点。

 

・東大特講√T 東大数学(ベネッセ)※通信教育
…東大対策に特化した問題集を謳う「東大特講√T」の数学編です。東大で頻出分野の過去問やそれに類似した他大学の入試問題、オリジナル問題を解くことができ、一番のメリットは東大数学で必要不可欠ないろいろな試行錯誤を繰り返す思考力(本教材では『思考錯誤』と銘打っている)を鍛えられることです。問題集というより通信教育の面もあり、三冊構成で一冊につき一つプロの採点者に添削してもらえる問題がついています。解答解説が充実していて、別解やコラムが豊富にあるのも魅力の一つです。

・点数の目安

 東大の理系の受験生は一部に恐ろしいくらい数学ができる人がいて、そういう人は安定して80点くらいをとってきます。

そういったレベルに達することはとても難しく、受験科目も多いなかで特に点数の安定しやすい理科や英語に時間を割く必要があるため、大半の受験生は、合格するためには安定してある程度の点数を確保することが目標になってきます。目安としては50点以上で、このぐらいであれば多少失敗してもとれるし、他の科目の足を引っ張らずに済みます。

 ただし、理3志望の人は別で、最低でも60点、安定して80点は確保できるようにする必要があります。