京大化学     文責/珈琲

1.概要

2.傾向

3.勉強法

4.お勧め参考書・問題集

5.その他

・試験時間:2科目で180分間

・配点:100点満点(学部によって換算あり)

・問題構成:大問が4題出題される。近年は理論・無機分野から2題(大問1,2)、有機分野から2題(大問3,4)というパターンが続いている。

◎問題形式

 ほとんどが穴埋め形式などの答えのみを解答する形式である。記述問題も出題される。制限時間に対して問題数はかなり多く、ほとんどの受験生は時間が足りないであろう。計算問題は計算が複雑なのでミスしやすい上に計算過程などは見てもらえないので、手をつけた計算問題は絶対に落とさないという心構えが必要である。なだれ失点もしやすいので、相当な計算力・注意力が必要とされる。

 

◎頻出分野

 理論分野で最もよく出題されるのは化学平衡である。その他、結晶格子や気体、電池、電気分解等の出題も多いが、化学平衡は毎年出題されるので特に対策すべき分野であるといえる。また、有機分野では有機化合物の構造決定問題や天然・合成高分子化合物の出題が多い。京都大学の化学は比較的出題される分野が偏っているといわれているが、2014年は有機分野(例年主に構造決定問題だった大問3)で実験問題が出題され、多くの受験生を戸惑わせた。やはりできる限り極端にやまをはったりせず、すべての範囲をきちんと勉強することが理想的であると思う。もちろん、化学平衡と有機分野の勉強に力をいれるのは効果的な勉強方法であるだろう。特に有機化合物の構造決定問題等は慣れが必要であるといわれているので、問題の数をこなすことも大切であろう。

 

◎傾向

 2014年は全体的に問題の量も少なく難易度もそれほど高くなかったため易化したといわれている。2015年度は難化の可能性が高いことに注意したい。また、上に述べたように、2014年は有機の大問3で実験問題が出題された。今後の出題がどうなるかがわからないので注意したい。

 京都大学の化学の問題は、応用、発展的な内容ばかりではなく、基本的、標準的な問題もあるので、いかにその標準的な問題を落とさずにすばやく解き、いかに発展的な問題に時間をまわすことができるかということが重要である。そのためにも、まずは標準レベルの問題を速く確実に解くことのできる力をつけることが必要であるといえる。標準問題をおろそかにせずにしっかりと演習するのが良いと思われる。

 次に、難問といわれる問題に対する対策も必要である。京都大学の入試問題では、一見ほとんどの受験生は初見であろうと思われる物質、化合物、実験がよく出てくるが、実は問題文中にヒントがちりばめられていることが多く、理論立てて考えれば解ける問題も多い。全体的に、計算力、基礎的な知識からの思考力、問題文の正確な読解力等が問われているので、難度の高い問題にも積極的に取り組み、問題演習をこなし、それらを身に着けておきたい。

 最後に、過去問や京大模試の問題で演習をして京大形式の問題に慣れることも必要であると思う。このときにはぜひ、時間をはかって取り組み、時間配分の練習をしてほしい。時間をかけて解けるのと、時間内に解けるかどうかは違うので、緊迫した状況でどの問題ができてどの問題ができないのかを自分で知ることも重要であると思う。また、いわゆる「捨て問」を見極める練習も過去問演習でしたい。時間を計って解いた後は、復習をきちんとして、解けなかった問題はなぜ解けなかったかをきちんと分析しておくのも大切だと思う。ちなみに、物理選択の場合は京大理科では25カ年を使うと、セットで過去問演習がたくさんできるのでできるだけセットで解いて時間配分の練習を積むことも効果的ではないかと思う。

・『セミナー』、『センサー』、『リードα』など教科書傍用問題集

…基礎的な知識の定着、基礎標準問題の演習。ここで基本的な知識を身につけておくとよいだろう。

 

・『化学Ⅰ・Ⅱ重要問題集』(数研出版)

…標準的な問題が演習できる問題集。かなり多くの受験生が使っているだろう。

 

・『化学Ⅰ・Ⅱの新研究』(三省堂)

…詳しめの参考書。筆者はわからないことが出てきた時に辞書がわりに読んでいた。高校化学のほとんどの疑問はこれで解決できると思う。

 

・『有機化学演習』(駿台文庫)

…京都大学の学生に聞くとこれを使っていた人も多かった。有機化学問題の演習ができて良いそうだ。

 

・『化学Ⅰ・Ⅱ標準問題精講』(旺文社)

…入試標準レベル、応用レベルの問題演習。問題数は少ないが、バランスよく化学の全分野を網羅できると思う。

 

・『化学Ⅰ・Ⅱの新演習』(三省堂)

…京都大学の学生に聞くとこれを使っていた人も多かった。重要問題集のあとに使う人が多いと聞く。

 

 ちなみに、京都大学の王道パターン(であろうと筆者が勝手に思っているもの)は

    教科書傍用問題集→重要問題集→新演習→過去問

であるが、自分は

    教科書傍用問題集→新標準演習→(重要問題集)→標準問題精講

という問題集を使用した。

 要するに問題集は、基礎問題→標準問題→応用問題という順序で学習すれば良いと思う。参考書に関して、あくまで個人的な意見だが、必ずしも人が使用しているからという理由で参考書を買うのではなく、自分に合った参考書を本屋などで探して見つけるのが良いと思う。

 京都大学の化学の問題は全体的には難しいが良問であるので、しっかりと対策をすれば合格点を確保できるだろう。6,7割は安定させたい。