京大物理 文責/(寄稿)
1.概要
2.傾向
3.勉強法
5.その他
・試験時間:理科2科目で180分(試験2日目の2コマ目)
・配点:100点(各学部によって圧縮あり)
◎力学
特に単振動の出題が多いです。単振動は電磁気や熱力学に応用されることも多く、受験物理を攻略する上では避けては通れない単元です。また、苦手意識を持ちやすい単元でもあるので、「単振動は等速円運動の正射影の運動である」という定義まで立ち返って根本から理解するとよいでしょう。微積を用いて位相⇄速度⇄加速度の関係を理解するのもおすすめです。
重心系からの出題も多いです。点差がつきやすい分野なので、十分に演習を積んで慣れておきましょう。
◎電磁気
さまざまな公式を覚えなくてはならない分野です。丸暗記に頼るのではなく、導出を理解した上で覚えましょう。コンデンサー回路、電磁誘導などが頻出ですが、サイクロトロンや振動回路なども出題されます。演習を通じてなるべく多くのパターンに触れておきましょう。電磁誘導、交流回路では微積を用いて理解するのもおすすめです。
◎熱力学
ポアソンの式、気体分子運動論が頻出です。十分に慣れておきましょう。分子運動論に関しては、PV=(Nmv^2)/3までの導出をすらすら言えるレベルにしておきましょう。熱力学はパターンの数が少ないので、満点を目指していきましょう。
◎波動
ドップラー効果と波の干渉が頻出です。波動はワンパターンではいかないことが多いので、問題文をよく読んで誘導に乗る訓練をしましょう。また、ドップラー効果が原子物理と絡めて出題されることが多いです。
◎原子
京大では原子が頻繁に出ます。京大志望である限り、原子までしっかり履修しておくべきでしょう。頻出分野はコンプトン効果やボーアの水素原子モデルです。様々な公式や仮説が生み出された一連の流れを理解しながら学ぶと、より定着しやすいと思います。
受験物理の勉強は主に3段階に分かれます。それは①公式の理解と暗記②典型題の解法のマスター③応用題への対応力の強化です。
①公式の理解と暗記
公式だけは暗記しないと使い物になりません。暗記は大変ですが、その労力を減らす方法はあります。例えば微積を使う方法。高校物理の公式のいくらかは微積を用いることで覚える必要がなくなります。物理で点数を稼ぎたい人は取組んでみると良いでしょう。また、導出ごと覚えるのも効果的です。導出を問う問題も意外と多いんですよ。
②典型題の解法マスター
公式を一通り覚えたら、次は問題演習です。重要問題集や名問の森などの問題集は、決して簡単ではありませんが入試で出題される可能性が大いにある問題設定を集めています。2、3周して問題設定ごと覚えてしまいましょう。
③応用題
最後に応用題を解いて問題への対応力をつけましょう。その際時間を計って解くのもいいでしょう。
①②③は勉強法の章での番号と対応します。
①『物理のエッセンス』(河合出版)
絶対にやるべきです。これ1冊で公式の理解、定着ができます。個人的な話になりますが、これを完璧にしたら名問の森が8割方解けるようになっていました。高2の秋頃から始められるといいでしょう。
②『名問の森物理』(河合出版)
典型題を扱う問題集はたくさんありますが、物理のエッセンスを完璧にしたなら名問の森にチャレンジしていいと思います。この2冊の間には『良問の風』 (河合出版) というものがありますが、物理が苦手だと思った方や名問の森があまりに難しいと思った方は、まずこちらからやればいいでしょう。
また、『重要問題集』(数研出版)が学校で配られている方もいるかもしれませんが、解説が不親切だったり、問題の難易度が微妙だったりするので、あまりおすすめできません。
③『京大の物理25カ年』(教学社)、『理論物理の道標』(河合出版)
直前期のために直近10年分ほどを残して進めましょう。理科は時間配分が大切なので、もう一方の科目と合わせて時間を計ってやれるといいでしょう。道標は微積を用いた考え方を詳しく解説しているので、物理を得点源にしたい人にはおすすめです。
もう一方の科目との兼ね合いもあるので、一概には言えませんが、目標点は物理で稼ぎたい人で8割、それ以外の人で6.5割です。
これはあくまで目標点なので、この点数が取れなくても、挫けず頑張ってください。