京大文系数学     文責/地学マスター

1.概要

2.傾向

3.勉強法

4.お勧め参考書・問題集

5.その他

・試験時間:120分間

・配点:150点(学部によって圧縮あり)

・問題構成:数学ⅠAⅡBと旧課程の一部(回転体の体積を求める等、詳しくは確認してほしい)を含んだ範囲から5題出題される。

 文系数学全体のセットでみたとき、近年、難易度が易化傾向である。「京大の数学だから難しい」ということは全くなく1題は基礎的な問題が含まれている。1題、難しい問題が含まれているかどうかで残りは標準的な問題である。また、京大文系数学では、数通りの解法で解けるような問題が多い。例えば、一見、図形の問題にみえてもベクトルで解くこともできる上に座標になおして解くこともできる、といったようにさまざまな解法が用意されていることがある。もし数通りの解法を思いついたなら、ミスしにくい解法はどれか選択して解きすすめる必要がある。

 頻出分野は、微分積分・図形(ベクトル含む)・確率・整数問題である。特に重点的に対策するのもアリだと思う。

 一つの大問が(1)(2)といった小問に分けられることは他大に比べて少なく、着想から答えに至る筋道を小問の力を借りることなく自分で考えなければならない、というのも京大の特色といえる。裏を返すと、解答への筋道が制限されておらず、「自由の校風」が反映されている、といえるかもしれない。

 京大文系数学の多くの問題が典型的な標準レベルの問題で構成されていることから、重視すべきなのは標準的なレベルの問題がインプットできているかどうかである。問題とその解法が適切な量、掲載された参考書やテキストの問題が完璧に解けるかどうか、にこだわってその軸となる書の完成度を高めてほしい。そういった参考書の一例として『標準問題精講』『合格!数学』『黄チャート』『フォーカスゴールド』等がある。自分のレベルと残された時間からインプット用の参考書を決めてほしい。インプットした知識が使えるかどうかを新しい問題でチェックするアウトプットをそのあとにしてほしい。一例としてアウトプット用の参考書をあげるとすると、数学が苦手な人は『文系数学入試の核心』、数学を得点源にしたい人は『文系数学の良問プラチカ』がおすすめである。このように標準的な解法のインプットやアウトプットが終われば次は過去問対策である。

 

 ここから本番や過去問を解くときの頭の動かし方の話に入る。最初の問題から解き始める前に、まず全ての問題のチェックをする。出題された5題を解法が思いついた問題/じっくり考えれば解けそうな問題/捨て問題の3種類くらいに分類し、確実に解けそうな問題から解きすすめるのが定石である。この分類は結果に大きな影響を与えるので10分程度のまとまった時間を割くべきである。次に問題を解くときは計算ミスには細心の注意を払う。膨大な計算を要する問題よりは発想が大事な問題が多いので計算ミスのチェックはそこまで大きな負担にはならないはずである。文系数学も「みんながとる問題を落とさない」という基本姿勢が大事である。このような訓練をするためには過去問1年分を120分間で解く、というトレーニングがかかせない。

 

年間学習プラン(あくまで一例)

 

~7月       標準的な解法のインプット

~9月       標準的な解法のアウトプット

~12月中旬   過去問&復習

~センター    センター対策

~2次       最終チェック

・『標準問題精講』(旺文社)

…標準的な解法のインプット用

 

・『合格!数学』(マセマ)

…標準的な解法のインプット用。『標問』に比べると問題数が厳選され解説もわかりやすい。

 

・『文系数学入試の核心』(Z会出版)

…標準的な解法のアウトプット用。やや易しめ。文系数学で最低限の点数を確保したい人におすすめ。

 

・『文系数学の良問プラチカ』(河合出版)

…標準的~やや難易度の高い問題がそろったアウトプット用の問題集。頻出の問題ばかり。文系数学で高得点をとりたい人におすすめ。

・目標得点の目安

 京大文系入試における数学のウエイトはかなり大きい。数学の大問を1題正答するかどうかで30点の差が生じる。他教科でこの差を埋めるのはなかなか難しく、数学で生じた点差がそのまま合否に直結してしまうのだ。受験生は「数学を最優先科目」と位置づけて優先して取り組むことを薦めたい。難易度が年度によって大きく変わるのであくまでも目安であるが、数学で高得点を狙う受験生は100/150、苦手な受験生でも75/150を確保したい。