京大文系国語     文責/地学マスター

1.概要

2.傾向

3.勉強法

4.お勧め参考書・問題集

5.その他

・試験時間:120分間
・配点:150点(学部によって圧縮あり)
・問題構成:第1問が文系・理系の共通問題の現代文、第2問が文系受験者用の現代文、第3問が文系受験者用の古文である。漢字を除くと全て記述問題である。配点はすべての大問について均等に50点である。

 現代文では、評論、随筆、小説とジャンルはさまざまである。頻度としては随筆が多い。近世の硬質な文章が多く出題され、読みにくさを感じるだろう。内容も掴みづらく、文章の内容を自分の頭で整理し直して理解することが求められる。また、解答欄がとても広く、膨大な記述が求められるが、全てを埋める必要はない。記述量が膨大で、本文の長さは短いため、重要な要素は各設問で何度もつかうことがよくあるが京大の問題にはよくあることなので気にしなくて良い。あくまでも噂であるが、学部によっては採点がかなり厳しいらしい。漢字については書きとりの年度であったり読みの年度であったり、出題されない年度もあるため出題方式が一定ではない。出題された時は5問出題される。また第1問(文理共通)と第2問(文系専用)を比較すると第2問のほうが難易度が高いことが多い。設問数が多かったり、設問がひねられていたり、解答の根拠が拾いにくかったりするためである。

 古文では、「訳せ」と「説明せよ」の問題で構成され、「説明せよ」の問題も基本は本文のある部分を訳すことで解けることが多い。つまり訳すことができれば得点につながるといえる。和歌が関連した問題も多く、和歌の解釈問題は和歌以外の本文も丁寧に読み取って解釈しなければいけないので難易度は高い。本文の長さは標準的であるが記述量が多いというところが京大の特徴である。記述問題の字数指定はない。

 京大現代文の本文は短い上に本文全体をふまえた設問も多いので、最初に全体を一通り読むことをおすすめする。2周目に入る時は傍線部にぶつかると、設問をチェックしその解答の根拠となりそうなところを探しにかかる。根拠となりそうなところを一定数みつけたら、本文の表現そのままでいいのでうまくそれを並べて解答をつくるのが基本的な解き方である。上級者は本文のわずらわしく長い表現を簡潔で抽象的に表現できれば理想的だ。本文から読み取れる情報を頭の中で整理して本文の内容を理解する必要があるが、実際は年度によっては文章の内容の理解すらも難しい。京大入試の大きな特徴の一つである広い解答欄であるが、せっかく与えられているので加点要素となりそうな記述をすべて盛り込んでしまえばいいと思う。過去問等を演習するときは京大入試の原則通り「みんながとれるポイント」を落とさないことが大切で、特別になにかをする必要はないのだ。以上が京大現代文においての頭の動かし方・注意点である。

 

 では次に京大の過去問に対応するための現代文の力をつけるための勉強法を紹介したい。入試や模試で現代文はどのように採点されているかというと、Aという問いに対して本文から読み取れる根拠が解答欄に何個入っているか、が基になっている。では、現代文で高得点をとるためのステップは①本文から解答の根拠をみつけること②減点されないかたちで記述することの2点で、ステップ①がきわめて重要である。本文から解答の根拠をみつけるためには指示語(文中の”それ”が何をさすのかを把握する)・接続語(傍線部の前後の文が”しかし”や”だから”、”なぜなら”でつながっているとその文が傍線部とどのような関係にあるのかがわかり、解答の根拠を見つけるのに役立つ)等を活用したり、本文から傍線部とちかい表現・傍線部と因果関係にある部分を探そう。そういったことを教えてくれる参考書として『入試現代文のアクセス』がおすすめである。また解答の根拠を探す、というステップはセンター試験でもかなり重要なので『きめる!センター現代文』でセンターの問題を題材としながら根拠探しのステップを学ぶことも可能である。京大等の硬質で容易に本文の内容を把握しきれない文章が出題される入試においては根拠探しの前に「本文を理解する」というステップで苦戦することもある。また、本文を理解することは思った以上に難しい。そういうことを教えてくれる参考書として『現代文と格闘する』をやっておくことをおすすめする。そして京大の現代文では膨大な記述問題が出題されるのでその演習として解説が詳しく記述問題にほぼ特化した『得点奪取現代文』が最適である。過去問演習をするときは上に示した「京大現代文の頭の動かし方・注意点」を意識しながら解いてほしい。そして解いた後は、自分だけで解答要件を満たしているか判断するのが難しいと思うので信頼できる人に採点や添削をしてもらうことをおすすめする。そういった人がいないときはZ会やベネッセのルートKを受講するのも手である。

 

 京大古文は訳せれば解ける出題になっているので、「直訳する力」がかなり重要である。その力を得るためには「古文単語力」「古文文法力」の2つがおもに必要である。これらの力は参考書や授業を活用して身につけたい。参考書の例をあげると『読んで見て覚える古文単語315』『ゴロ565』『富井の古文文法をはじめからていねいに』『古文文法ステップアップノート』等である。これらを通して助動詞や敬語、助詞などの訳出の仕方も完璧に暗記する必要がある。傍線部の和訳をするときは、まず傍線部の品詞分解からはじめ、分解した箇所に一対一で訳出をすると訳し漏れがなくなりおすすめである。さらに指示語などを具体化し、古文でよく省略されている「主語」や「客体」を補ったり、指示語を具体化したりすることが不可欠である。さらに傍線部だけで判断するのではなく、傍線の前後や本文全体の文脈から複数の意味をもつ単語や助動詞について適切な意味を判断したり、必要な言葉を補ったりすることも大切である。古文の現代語訳問題で大切なことは、きれいな訳出をすることではなく「加点要素を満たす」訳出をすることで、それはつまり傍線に含まれている重要単語や文法事項の訳出を「自分はこれがわかっていますよ」ということを採点官に伝えるつもりでわかりやすく反映させることであると考えている。そして現代文と同様に採点や添削が絶対に必要である。

 

 京大国語をまとめて演習するときは解く順番・時間配分にも気をつけるべきである。おすすめは比較的軽い古文をまず片づけて、膨大な記述のある現代文に時間を回したい。そして「これは明らかに厳しい、根拠が見つからない」という設問と遭遇した時は思い切って適当に切りぬけ、次の設問にとりかかるのが吉である。京大国語の基本は「取れるところで取りきる」ことである。

◎現代文


・『入試現代文へのアクセス』(河合出版)
…現代文の基本的な解き方を問題演習を通してわかりやすく解説してくれている参考書で、入試で現代文を必要とする人全員にまずやってほしい一冊。

 

・『現代文と格闘する』(河合出版)
…現代文をきちんと「読む」ことに重点をおいた本です。論理構造を意識したり、筆者の主張をしっかり把握するための読み方を教えてくれる。内容も重く、要約が課せられたりするが本文の内容・筆者の主張を理解するための修行だと考えてやりきってほしい。

 

・『得点奪取 現代文』(河合出版)
…完全な記述に特化した参考書。最初の5題で記述問題のさまざまなパターンについて、かなり丁寧に解説されていて、ある生徒の答案を採点官がどういう視点で点数をつけるか、というところまで触れられている。残り30題ではさまざまなジャンルの文章を読み記述問題の演習が明確な採点基準のもと、できるようになっている。記述問題が出題される旧帝志望の受験生はぜひやっておきたい一冊。

 

◎古文

 

・『読んで見て覚える重要古文単語315』(桐原書店)
…頻出の古文単語315個それぞれが丁寧に解説されていて、覚えやすい工夫もされている古文単語帳。見落としがちな意味やその古文単語の元の意味、反意語・類義語もセットで掲載されている。イメージごとに単語がグルーピングされていることも覚えやすくしてある工夫のひとつ。巻末に古文常識や和歌の知識、頻出表現等がコンパクトにまとめられておりそこも使いやすい。

 

・『ステップアップノート30古典文法基礎ドリル』(河合出版)
…古文文法を網羅した問題集。ある程度の前提知識は必要。繰り返し解けるように書き込まないほうが良い。これ一冊で古文の文法の知識は一通りそろう。

 

・『古文上達 基礎編 読解と演習45』(Z会出版)
…文法の確認が45題と易しめ~標準的な古文の文章問題が45題掲載された参考書。まとまった量の演習ができる点と良問が多い点が評価できる。Z会から出版されておりレイアウトもきれい。

 

・『得点奪取 古文』(河合出版)
…記述問題に特化した参考書で、現代語訳問題や和歌の解釈、説明問題等の記述で注意すべき点を丁寧に解説してくれている参考書。採点基準がしっかりと設けられており自習するときもあまり困らないと思われる。古文の記述問題が入試で出題される人はぜひやってほしい一冊。

・解く順序の例
(あくまで一例)
第3問古文(35分)→第1問現代文(40分)→第2問現代文(45分)

 

・目標得点
 最後に目標得点について話したい。

6割を超えるのは至難の業で得点開示をみたとき90/150を超える人はまずいない。年度にもよるが上位層は75~85/150を得点し、他教科で武器となる科目をもっていれば60/150程度でも合格は十分可能である。差がつきにくい科目とはいえ対策が手薄だったのかわからないが、40/150程度で留まってしまう人もいるため油断は禁物である。