センター地理     文責/地学マスター・いちかわ・9点

1.出題形式/傾向

2.試験対策/勉強法

3.お勧め参考書・問題集

◎形式

 

制限時間は60分。大問が6つに分かれており、各大問につき小問が5または6問となっており、全35問。

 

近年のセンター地理の各大問の問題形式は

 

第1問 世界の自然環境

第2問 世界の資源エネルギー、産業、農牧業

第3問 都市と村落、生活文化

第4問 地誌

第5問 現代世界の諸課題

第6問 地域調査

となっている。

 

また、平均点は以下のようになっている。

 

2014年 69.68点

2013年 61.88点

2012年 62.16点

2011年 66.40点

2010年 65.11点

 

このように例年60点台に収まっている。難易度のブレが少ないので、しっかりと対策をすればある程度の得点は必ず見込めるだろう。

 

 

 

◎傾向

よく「地歴」という表し方をされるが、地理の問題を解くときは歴史科目と違い地理的な「思考力」が必要となる。地理的な思考力とは、例えば「この地域はCsの気候だから夏は乾燥する。つまり乾燥に強い作物のオリーブやブドウなどが育てられているはず。つまりこの地域ではブドウが原料のワインなどが特産物の可能性が考えられるな…それに農業の方式もこの気候に合わせているだろうから降雨のある冬は雨による水分が栽培にある程度必要な小麦などが盛んかな?夏に乾燥したら牧草も枯れるから家畜は高山に移動するし(移牧)…」などのようなものです。気候ひとつとっても、ここまで考えたりして問題に向かうことが出来ます。

なので、問題を解くときは単に暗記した知識を使うだけではなく、そこから考えられることを問題に応用しようとする姿勢が大事になってきます。

 

また、地理では地図やグラフが与えられて、与えられた情報と自分が持っている知識を組み合わせて問題を解きすすめないといけません。例えば「コートジボワールはアフリカのギニア湾に位置していて、カカオ豆の生産がさかん」という知識をもっていれば、「アフリカのギニア湾近辺で大量になんらかの作物がとれている」という情報が与えられていて、その2つを組み合わせると正解にたどり着けます。地理の解き方の基本姿勢は「与えられた地図やグラフ、表から自分のもっている知識と結び付けられる箇所を探す」ことです。

◎対策

勉強法は用語や地図の理解、暗記以外に、上記の地理的思考力を養成することを主眼として考えるのが良いと思います。

授業を受けている人は、ひとつの国、ひとつの地域の気候をとっても、先生が言っていること以外にもどういう角度から考えることが出来るだろう?と疑問を持つだけで、圧倒的に早く地理が出来るようになります。

 

また、独学や初学者の人はこういった思考力を参考書等でつけるのが良いと思います。具体的には『山岡の地理B教室』『村瀬の地理Bをはじめからていねいに』などをオススメします。両方とも、なぜこの地域はこのような特色を持っていて、どういう発想で問題に応用すればよいか、などまで懇切丁寧に書かれていますので参考にしてみてください。

 

また、問題集としてはセンターの過去問のみならず『センター地理Bの超重要問題集』などもオススメします。まず地図問題の対策ですが、こういった参考書や地図帳を用いて「文字だけの知識」ではなく「文字と地図を対応させた知識」にしてほしいです。例えば、宗教の分布や農業の形態の分布は文字での知識も大切ですけど地図のかたちでインプットすることが重要です。

 

勉強法として、白紙の紙に略地図を書いてその分布を何も見ずに再現してみる訓練はおすすめです。地図帳にはどんどん書き込みして地図と知識のインプットに役立てるように活用しましょう。例えば、熱帯雨林のセルバとよばれている地域をマジックで囲んだりして南米の植生を整理することは必要だとおもいます。

 

次は表・グラフ問題の対策です。「国の経済力のイメージ」が持てると解決する問題が増えます。前提として経済力はある程度、教育の充実度、医療の発展度合い、インフラの充実度と相関関係があります。すると、主要な国の経済力のイメージを掴んでしまえば相関関係にある図表の読み取りをかなり有利に進めることができます。経済力のイメージとは難しいものではなく「アメリカは超先進国」「韓国はほぼ先進国並みだけど…」「エチオピアは極貧」みたいな単純なイメージで大丈夫です。あとは自分たちにはつかみにくい感覚ですけど「この国はかつて、どんな国だったのか」を抑えることも大切です。時間の経過によって経済成長の度合いがどう変わるのかもおさえてほしいです。東欧諸国だと社会主義の崩壊やEU加盟などのきっかけで経済成長の度合いが大きく変わります。東南アジアだとシンガポール→タイ・マレーシア→インドネシア・フィリピン→その他といった順番で経済成長します。「今」だけをおさえるのではなく「今にどういたったか」という視点も大事です。

 

また統計もチェックしましょう。「自動車」や「船舶」といった工業製品の生産上位国も時代とともに変遷します。参考書や授業で時代の変遷が登場したところはセンター試験でも狙われやすい分野なので注意してください。第6問の地域調査では地形図の読み取りや写真問題も出題されますが基礎的な問題なので一つずつ確認しましょう。

・『山岡の地理Bをはじめからていねいに』(東進ブックス)
…この参考書は地理の初学者が地理とはどういう科目なのか、どういった現象があるのか、を体系的かつわかりやすく説明してくれている参考書です。初学者でもわかりやすく親切な参考書なのですが、知識量がセンター試験に足りないので、この参考書を導入本として以下で紹介する講義本をやることをおすすめします。

 

・『はじめからわかる地理B』(学研)
…この参考書はセンター試験に必要な地理の内容を網羅した本です。図や表が比較的、多く用いられわかりやすく説明されています。この参考書を読みすすめ、地理についての理解を深めてください。国や都市の場所がわからなくなったら地図帳で確認しながらすすめてください。この参考書に掲載されている統計は必要最低限知っておくべきものだととらえて把握するようにしてください。

 

・『センター試験地理Bの点数が面白いほどとれる本』(中経出版)
…この参考書はセンター試験に必要な地理の内容を網羅した本です。掲載されている知識量は『はじめからわかる地理B』よりも多いので高得点を狙う人向けです。講義本としてはじめに地理の内容を理解したのちも知識の確認、理解の確認のため読み込むことをおすすめします。また過去問を解いている中でわからないことがあればこの本に戻って調べる、といった辞書的な役割もあります。

 

・『解決!センター地理B』(Z会出版)
…センター試験の過去問からチョイスされた問題が掲載されているセンター向け問題集です。テーマごとに問題が掲載され、センター地理特有の図表や地図を使った問題の解説がていねいにされています。そのため難しく感じる人もいるかと思いますが、分からないところがあれば講義本や地図帳等で調べる癖をつけながらすすめてください。