センター数学     文責/いちかわ

1.出題形式/傾向

2.試験対策/勉強法

3.お勧め参考書・問題集

◎形式

センター数学はセンター試験の科目の中で唯一他の科目と違った形式を取っています。他の科目は純粋に複数の選択肢の中から解答を選んで正解不正解が決まる科目ですが、センター数学だけは穴埋め形式となっているため、勘などはほとんど通用せず自力で解かなければいけません。

 

例えば

 

2x^2-3x-9=(x+(ア))(x-(イ))

 

のような解答形式となっており、この(ア)(イ)に当てはまる数字(もしくは文字)を、問題を解いて自力であてはめなければいけません。ここにセンター数学の難しさのひとつがあります。つまりはちゃんと自分で解いて出来る状態まで勉強をしていないと、平気で0点を取ることもあり得るということです(他の科目は全部勘でマークをしても何問かは正解出来る可能性が高い)。

 

また、センター数学の問題構成は

 

数学ⅠA
第1問 A 数と式 B 集合の要素と個数
第2問 二次関数
第3問 図形と計量/平面図形
第4問 場合の数と確率
(新課程ではこれに「データの分析」が加わり、平面図形→図形の性質に拡張されます。今年が変更初年度故に問題構成ははっきりとは分かっていません)

 

数学ⅡB(第1問、第2問は必答問題。第3問~第6問はこの中から2題選択)
第1問 三角関数/指数対数関数/図形と方程式(この中から2分野が題材となることが多い)
第2問 微分積分
第3問 数列
第4問 ベクトル
第5問 データの分析(新課程ではⅠAに移行)
第6問 統計
(新課程では数学ⅡBの内容が大きく変わるわけではないが、若干の変更は予想されます。)
のようになっています(示したのは旧課程のもの)

 

また、平均点は以下のようになっています。

 

数学ⅠA
2014年 62.08点
2013年 51.20点
2012点 69.97点
2011年 65.95点
2010年 48.96点

 

数学ⅡB
2014年 53.94点
2013年 55.64点
2012年 51.16点
2011年 52.46点
2010年 57.12点

 

数学ⅡBは例年50点代前半で安定しているが、数学ⅠAは1~2年ごとに急激に難易度が変わっています。勿論今後も難しい年にあたる可能性は十分にあるので、甘く見ずに対策をしておきましょう。

 

◎傾向・考え方

ここでは実践的な解き方、センター数学の考え方を記していきます。

まず、センター数学の特徴のひとつとして「問題の最初から最後までちゃんとした流れがある」ことが挙げられます。どういうことかというと、ひとつ大問の中に乱雑に複数の問題が並んでいるのではなく、どの問題も最初の問題設定に絡んでいたり、前の小問の答えを利用したりしているということです。

 

つまり、注意深く問題の設定や前の小問の答えを見ながら、全体の問題の流れを捉える姿勢が、素早く正確に解く上で重要となります。

 

具体的には、

二次関数の大問で

 

    平方完成して頂点の座標を求める
    →求めた頂点の座標を使って未知の値を求める
    →求めた値を使って最大値最小値を求める

 

のような流れが見られます。

これを意識しながら解く練習をすることで、センター数学の誘導に乗ってスムーズに解くことが出来るようになります。この形式に慣れておくのは非常に重要です。

また、センター数学は「解き方が決まっている」ことが多いです。
どういうことかというと、どの問題に関してもセンター試験側が「こういう解き方で解いてくるだろう」と予想しているような形で出題されます。

具体的には

図形と計量/図形の性質の大問で

 

    二辺と間の角度から残りの辺を求める問題

    →余弦定理

 

    円に内接する四角形が出来上がる

    →対角の和は180°

    

    円の中で交線が出来てるor円の外に交点が出来る

    →方べきの定理

 

などのように「おそらくこう解いてほしいんだろう!」「こうやって解いて後の流れに乗るように設定してあるんだろう!」という問題がほとんどです。

なので、センター数学は、基本的には設定されている誘導に素直に乗って解いた方がいいと考えられるます(いろんな方法を思いつき乗らずともすらすら解けてしまう人は別であるが、得意でない人などは素直に乗る方が結果的によくなると。)

これがセンター数学を解く上での基本的なスタンスになります(心構えみたいなものですが)

他の科目と同様に、二次試験に数学がある人、ない人、高得点を目指す人、平均点より少し上を目指す人など、当人のレベルによって勉強の内容が大きく変わってきます。

センター数学と二次試験の数学の形式や求められている能力はそれなりに違います。

なので、レベルごとにどういう勉強法が考えられるかを例として示していきます。

 

  1. ◎二次試験で数学を使う人(理系や旧帝大文系の受験生)

この層の人たちはセンター試験までには二次試験に向けての勉強をほぼ完成までしていると思うので(していない人は戦略的に二次試験の数学であまり点数を取ろうと考えていない人くらい)基本的な問題の解き方や考え方はマスターしていると思います。

あとはセンターの形式に慣れる(上手く誘導に乗る練習をする)程度で90%以上の得点率は見込めると思うので、12月くらいからセンター形式の問題を解いていく感じが主流になります。

より完璧を目指すなら『きめる!センター数学ⅠAⅡB』を一通りやると、かなりセンター数学を完璧なものに出来ます。

 

    ◎二次試験で数学を使わないがセンター数学で高得点(90%以上)を目指す人

この層の人たちは二次試験に数学がないので、どうしても二次試験用に思考力をがっつり鍛えている時間は多くは取れないと思います。

なので基本的な解き方や考え方は網羅系問題集で早めにマスターして、早い時期からセンター演習に特化することが必要になってきます。

センターはどの教科にも言えますが、問題演習、つまり経験がかなりものを言ってくるので、解いては復習しを繰り返すのが正攻法のように思います。

復習の時のオススメの方法としては(特に伸びがあまりよくない人)答え合わせの時に自分がうまく使えなかった考え方や解き方部分を一冊のノートにメモをしたりするといいでしょう。

問題演習をこなして答えを見てインプットするだけで出来る人は問題ないが、それだけではできない人がほとんどだと思うので、しっかり自分の弱点と向き合ってひとつずつ出来ることを増やしていくのが王道であり、最短で成績を伸ばす方法だと思います。

 

  1. ◎二次試験で数学を使わずセンター数学で最低限の得点(70%付近)を短期間で目指す人

この層の人たちは数学で足を引っ張らない程度の得点を取ることを目標としている人たちを想定して書きます。

この段階だと最初からセンター特化の参考書や問題集をやりこむことが最も効果的です。具体的に言えば『センターチャート(緑チャート)』(センターに必要な解法だけを短期間で身に付ける用途)『センター数学ⅠAⅡBが面白いほど解ける本』等の解法講義本(センターに必要な解法をセンター形式に合わせて覚えていく用途)などを最初からガンガン進めていくのがいいでしょう。

一通り演習をし解き方や考え方を理解したら、センター型の問題を解いていきましょう(復習方法などは上記を参考に)

最初からセンター特化にすることで、少し難しい問題に対する対応力は落ちるが、比較的短時間で70%くらいの最低限足を引っ張らない得点は確保できると思います(これが記述網羅系を最初にやるのとやらないのとの違い)

 

現時点での実力の違いや環境の違いもありますが、以上が多少の目安を示したつもりです。

・『はじめからはじめる数学ⅠAⅡB/元気が出る数学ⅠAⅡB』(マセマ出版)
…数学がまったく分からない、教科書レベルも不安、基礎的な部分から理解したい、というような人たちにオススメです。この問題集は基礎的な問題しか載っていませんが、解説が全ての数学の参考書の中で最も親切です。途中式や行間の思考部分を一切省かずに示してくれているので、まったくの初学者でも高校数学の基本を短期間で身に付けられます。(実は到達点も意外と高く、この本とセンター過去問予想問だけで80%以上の得点も可能です)

 

・『チャート式 センター試験数学』(数研出版)
…有名なチャート式のセンター試験数学特化バージョンです。センター試験に必要な解法を厳選して載せてあるので、センターのみで数学を利用する人にオススメです。センター試験対策の上で無駄となるような問題は一問もないので、コストパフォーマンスは良いと思います。しかし、ある程度他の参考書等で解法を身に付けてしまった人には不要かなとは思います。到達レベルは70~80%くらい

 

・『きめる!センター数学ⅠAⅡB』(学研)
…おそらく、センター数学の対策本の中では一番分厚く、一番難しいです。しかしオススメする理由は、何よりその情報量の多さと網羅度の高さです。はっきり言ってこの参考書はセンター数学で95~100%を目指す以外はオーバーワークなので使う必要はありません。しかしこの参考書には、基本的なセンターの解法から二次試験でも使える考え方や解法まで記してあり、さらに難しめの問題にも対応できるように、豊富な種類の問題を収録しています。この一冊をしっかりとやれば、センター試験で常に95%以上を狙える上に、二次試験の数学力の上昇にも繋げられます。数学に多くの時間を割ける理系向けの参考書です。基礎力がない状態でやっても身に着かないという性質もあるので、ある程度基本的な問題はスラスラ解ける人が使いましょう。