センター日本史     文責/いちかわ

1.出題形式/傾向

2.試験対策/勉強法

3.お勧め参考書・問題集

◎形式&解き方・考え方

センター日本史の形式は、大問が時代ごとに分けられているので分かりやすいです。

 

第1問 テーマ史(2つのリード文を読んで全時代からある歴史的テーマに関して出題される設問に答える形式)

第2問 古代

第3問 中世

第4問 近世

第5問 近世~近現代

第6問 近現代

 

というように分かれています。

 

さらに、第1問~第4問まではそれぞれ6題ずつ、第5問は4題、第6問は8題の全36題と、近世(江戸辺り)から近現代(明治~平成)の出題が若干多くなっています(しかしほぼ均等)

 

次に、問題単位の形式を具体的な例とともに挙げていきます。

センター日本史の出題パターンは大きく分けて4種類あり、以下のようになっていることが多いです。

 

  1. 語句穴埋め問題

これはリード文に2つ空所があり、文脈から空所に入る語句を選ぶ問題です。難易度は低く、かなりストレートに知識を聞いてくる設問です。

 

例)

【リード文】蓮如の(ア)による布教で勢力を拡大した本願寺は…(中略)移転を繰り返した本願寺の跡地のうち、古代以来の要所としても知られる場所には(イ)が建設された。

 

問4 空欄(ア)(イ)に入る語句の組み合わせとして正しいものを①~④のうちから一つ選べ。

 

①ア 題目 イ 安土城 ②ア 題目 イ 大阪城 ③ア 御文 イ 安土城 ④ア 御文 イ 大阪城

(2014年度 日本史B 本試験 第3問 問4 正解は④)

 

この問題形式は文章の途中に空所があるが、文脈把握というよりも一問一答的な単純な知識問題であることが多いです。なのでしっかりと勉強し知識を得ているのなら問題なく解ける問題だと思います。

 

  1. 正文(誤文)選択問題

あるテーマについて正しい文(誤っている文)を選択肢から選ぶ問題です。センター日本史の設問形式の中では最も出題率が高く、難易度も低すぎず高すぎない問題であるように思います。

 

例)

下線部a(平氏の焼き討ち)に関連して、源平の争乱について述べた文として正しいものを、次の①~④から一つ選べ。

 

①崇徳上皇と白河上皇の政権をめぐる抗争は、武士の政界進出の契機となった。

②源平の争乱が終結したのち、院政を再開した後鳥羽上皇は鎌倉幕府との協力関係を重視した。

③源平の争乱を描いた『太平記』は琵琶法師によって語られ、人々に親しまれた。

④源頼朝は、兵士が西国へ敗走したのち、後白河法皇と交渉し、東国支配の権限を認められた。

(2014年度 日本史B 本試験 第3問 問1 正解は④)

 

この問題は解説も付けておきます。

 

①武士の政界進出の契機となった保元の乱は崇徳上皇と後白河天皇の対立である。白河上皇が誤り。

②後鳥羽上皇は反幕府の体勢を取って承久の乱を起こした。よって、協力関係を重視していないので誤り。

③琵琶法師によって語り継がれたのは『平家物語』なので『太平記』が誤り。

よって④が正解となります。

 

このように語句単位の誤文箇所から、歴史の流れ上の誤文もあります。

つまり、一問一答知識だけでなく、教科書の地の文の部分からの正誤判定も混ぜてあるので、かなり正確な知識が要求されます。

普段の学習からどれだけ教科書を読み込んでいるかが勝負の分かれ目になると思います。

※誤文判定問題も形式や考え方は同じである。また二つの文章の正誤を直接判定する問題もあるが、こちらも考え方は同じです。

 

  1. 年代並び替え問題

選択肢に書かれている出来事がそれぞれどの順番で起こったのかを起こった順番に並び替える問題です。

 

例)

下線部cに関連して、中世の流通に関して述べた文Ⅰ~Ⅲについて、古いものから年代順に正しく配列したものを、下の①~⑥のうちから一つ選べ。

 

Ⅰ 平氏が取り組んだ日宋貿易により、宋銭や陶磁器が輸入された。

Ⅱ 建長寺の修造費を調達するため、貿易船が元に派遣された。

Ⅲ 明銭が流入するとともに、粗悪な私鋳銭が広くみられるようになった。

 

①Ⅰ―Ⅱ―Ⅲ ②Ⅰ―Ⅲ―Ⅱ ③Ⅱ―Ⅰ―Ⅲ

④Ⅱ―Ⅲ―Ⅰ ⑤Ⅲ―Ⅰ―Ⅱ ⑥Ⅲ―Ⅱ―Ⅰ

(2014年度 日本史B 本試験 第3問 問3 正解は①)

 

実はこの問題は簡単です。

 

なぜなら中国王朝が宋→元→明と移っているのを知ってさえいれば容易にⅠ―Ⅱ―Ⅲと分かるからです。

これが分からなくても、教科書をしっかりと読んで時系列を整理して覚えていれば答えられますが、年代並び替え問題にはこういうヒントが隠されている場合があります。なので出来事や時系列、為政者や王朝の移り変わりなど、いろんな角度から歴史を考え、学習するのがこのような問題を解く鍵となります。

 

  1. 資料&史料読解問題

センターでは配点的にも難易度的にもかなり重要なウエイトを占めるのがこの資料&史料読解問題です。

形式としては日本地図や歴史文献、グラフなどの図を見て、出来事が起こった位置や出来事の内容、出来事の推移などを考え答える問題になっています。

 

この問題が重要と言える理由としては、センターは歴史文献や図を使って、単なる知識に留まらない歴史的思考力を試す問題を好み、それ故に問題の難易度が多少高く(特に地図問題は)他の受験生に差をつけやすいということが挙げられます。

 

この対策としては前述したように、教科書などを様々な角度から見ておくことが重要です。地図や史料などにもしっかりと目を配っておくと確実に得点できるようになっています。

 

正誤判定が主であるが、センター日本史は大きく上記のパターンに分けられる。考え方とともに参考にしてください。

 

長くなりましたが、最後に平均点を記載しておきます。

 

2014年 66.32点

2013年 62.13点

2012年 67.92点

2011年 64.11点

2010年 61.51点

 

例年60点台に収まっています。同じ歴史科目である世界史よりは高く、しっかりと勉強をすれば社会科目の中でも得点は取りやすい科目と言えるでしょう。

◎対策

センター日本史の勉強法としては「教科書の精読」を強くオススメします。

 

これは先程も述べたように、センターの正誤判定には教科書の地の文がかなり影響してきます。重要語句の意味にとどまらず、教科書に書いてあることすべてから出題されるので、教科書を丁寧に読み込み、整理して覚えていけば自然とセンター日本史の点数もアップしていくでしょう。

 

しかし、最初から教科書を読んでも「一体何を言いたいのか理解できない」「重要な点が分かりにくい」という人もいるはずです。そういった人たちは、初学者向けにつくられた参考書、いわゆる講義本を最初に読むことをオススメします。具体的には『はじめからわかる日本史B』『石川日本史B講義の実況中継』などがオススメです。

講義本を読んだ後は教科書もかなり読みやすく、前述した様々な角度からの精読も可能になるはずです。

 

また、一問一答による知識の定着も、地味で辛い作業だが効果はあります。『センター試験日本史B一問一答』などセンター試験用の一問一答もあるので、教科書を読みながらも知識の確認、定着を図るのが有効です。

 

 

◎勉強法 例

 

『はじめからわかる日本史B』をスピードをつけて流し読みする。このとき深い理解にまで囚われず、表面的な理解でも、一通り読み通し、日本史の流れを掴むことを優先する。

流れをなんとなくつかんだところで「教科書」を精読する。細かい部分まで教科書を読み進めていき、ある程度読んだところで『一問一答』で読んだ知識をアウトプットし、定着させていく。

次の日に前日分の一問一答と教科書をチェックし、新たに因果関係などを見つけることが出来たりしたらそれを教科書に書き込み視覚化し復習の効率を高める。

『解決!センター日本史』でセンター形式の問題の考え方を学び演習をする。すべての選択肢について関連事項を確認し、忘れかけている部分が教科書に戻って復習をする。

・『詳説 日本史B』(山川出版)

…言わずと知れた山川出版社の教科書です。僕が教科書を勧める理由は、センター試験の問題は教科書の記述をベースにつくられており、教科書の範囲を逸脱することがないからです。つまり、教科書の内容を消化して、センターの問題が解けないということは絶対にありえません。実際理解力のある人は教科書を一通り読んだだけで90%以上の得点も可能です。しかし、初学者にとってはとっつきにくく、スラスラと理解できない可能性もあるので、その前に一冊講義本を挟んでおくのがいいかもしれません。

 

・『はじめからわかる日本史B』(学研)

…初学者向けの講義本です。センター試験範囲をすべて網羅しているわけではないものの、流れをつかむにはうってつけの参考書です。かなり詳しく、面白く読むことが出来るので、日本史をはじめてやる人はこの本をさらっと読むことから始めてもいいかもしれません。

 

・『解決!センター日本史』(Z会出版)

…日本史のセンター対策の参考書の中では最もコストパフォーマンスが良いと思います。というのも、本当に必要な知識だけを厳選しており、その的中率もかなり高いため、この薄い本を一通り回しただけで70~80%の得点が見込めます。日本史の目標点が80%くらいの人は、教科書をがっつりやるよりは、この本で最低限の知識を身に付けつつ演習する方が短時間で目標点に達することが出来るかもしれません。