センター国語     文責/いちかわ・9点

1.出題形式/傾向

2.試験対策/勉強法

3.お勧め参考書・問題集

◎形式

制限時間は80分。大問は全部で4題200点満点。問題構成は以下のようになっています。

 

第1問 近代以降の文章(評論、随筆等)

第2問 近代以降の文章(小説)

第3問 古文

第4問 漢文

 

また、平均点は以下のようになってます。

 

2014年 98.67点

2013年 101.04点

2012年 117.95点

2011年 111.29点

2010年 107.62点

 

このように2013年と2014年は飛びぬけて平均点が低くなっているのが分かります。

国語は難化が続いているので十分に対策をしておくべきでしょう。

 

 

◎傾向

1.近年では現代文が長文化する傾向にある(評論、小説ともに)

2.時間制限がかなり厳しい

3.抽象度の高い文章が多い

4.古い文章が少しずつ出てきている(近年では随筆の形などで)

5.現代文は時間をかければかけるほど得点が取りやすい

6.古文は文章自体が難しくそれなりにしっかりとした勉強をしないと得点しにくい

7.漢文は比較的難易度が低い

 

 

近年では評論で見開き3ページ、小説で見開き4ページの文章が出題されることは珍しくありません。どちらもこのページ数を時間内で処理するのだから並大抵のスピードでは解くことが出来ません。

また、内容も抽象度が高く、近年では随筆のような古い文章が出題されており、読みにくさも増しています(2014年度は平均点が100点を切った原因のひとつと言えるでしょう)。

 

大問別の傾向は主に次のようになっています。

 

 

第1問 近代以降の文章(評論、随筆等)

文章の抽象度が高く(つまり難しい言葉で書かれており誰にでも分かりやすく噛み砕いたような文章ではないということ)、しっかりとした文章構造の元書かれています。

 

これはどういうことかというと、対比構造(X対Yの関係)や類比構造(X、X'、X''…のような似たようなもの繰り返し比べていく構造)、順接逆接構造(A⇒B、A⇔Bのような関係)など、「論理的」に文章が進んでいくということです。

 

つまり、問題を解くときはこの文章構造を見抜き、精確に文章を読んでいく力が求められます。

また前述したとおり、この難しさに加えて文章自体もかなり長くなっているため、かなりの読解スピードも要求されます。

かなりの精確さとスピードが要求されるのが「評論」です。

 

第2問 近代以降の文章(小説)

評論とは打って変わって、こちらは砕けた文章なので(小説は物語形式なので)比較的読みやすいです。勿論こちらも精確な読解は必要であるが、第1問よりはスラスラ読み進めることが出来るでしょう。

 

しかし、非抽象的なことが多い故に、解答の根拠が絞りにくいという感じが見受けられます。

評論は構造を見抜いて論理的に読めば正しい答えを導きやすいが、小説は物語形式のため、答えの根拠が登場人物の心情などが絡んでくるので、苦手とする人も多いと思います。

 

また、一般的に勉強をすれば評論は高得点をキープすることが出来るが、小説は最後まで波がある分野と言われています。

登場人物たちの心情や行動などを根拠とし、素早く解いていくのが「小説」です。

 

第3問 古文

古文は文章自体がそれなりに難しく、単語や文法の知識をしっかり固めて読まないことには精確な読解は得られません。

 

単語の知識や文法の知識だけで解ける問題も前半に2問程度あるが、その他は単語や文法の知識を活かしつつも、文の流れを追って状況を把握し、選択肢を選ばなければいけません。

文法事項や単語の意味を正確に把握し、文脈を読み取って解いていくのが「古文」です。

 

第4問 漢文

漢文はセンター国語の中でも最も難易度が低く(2014年度は例外だが)最も短時間で精確に解きやすいと思います。

 

というのも、漢文は漢字や句形などの知識を持っているだけ半分くらいの問題が解けてしまう上に、文章が短いので読解問題の根拠も探しやすいからだと考えられます。

漢字の雰囲気だけから読んでしまうと誤読が生まれてしまう可能性があるので、句形の知識もフルに活用して読み進めましょう。

漢字と句形の正確な知識を持って素早く処理するのが「漢文」なのです。

 

 

◎解き方・考え方(演習時の頭の働かせ方)

前述した傾向を踏まえて、解き方、頭の働かせ方をより詳しくしたものを参考程度に挙げておきます。

 

まず現代文に関して

 

評論、小説のの解き方の核はずばり「答えに必要な要素の発見」と「消去法」です。

「答えに必要な要素の発見」とは、そもそもセンター現代文には(現代文に限ることではないでうが)その選択肢が答えとなる解答の要素が必要となります。

要素とは「この問題の解答は、主語がこれでこういう表現が入ってて、この接続詞で繋がっていて、この内容が核となっていれば正解だ!」という判断が出来る根拠部分のようなものです。

 

5つの選択肢は例えば

 

①要素がひとつもない明らかな誤答

②要素が2つ入ってるけど1つ要素不足

③要素が3つとも入ってるけど文のロジックや言葉表現がおかしい

④要素は3つとも入っていて、ロジックも表現の言い換えも完璧

⑤要素がひとつもない明らかな誤答

 

みたいに並んでいます。

 

この並びだと、①⑤はすぐに切れて、②はなんか違和感はあるけど明確な判断は出来ない、③④はどちらも正解に見える、というようなセンターあるあるが生じます。

 

勉強法は後述しますが、現代文を解く姿勢としては、この要素(表現の言い換え、接続詞、指示語等)をいかに早く正確に見つけ出し、判断を下せるかという点を意識して解きましょう。

 

 

古文の解き方、考え方の核となるのは「文法要素の正確な把握」と「文脈から単語の意味、文意を判断する」ということです。

センター古文の問題は、文法事項をしっかりと理解し運用出来ているかを見る問題が多いです(読解問題の方も文法色が強い)

 

つまり、下線部や根拠となる部分、選択肢などを分析するときは、しっかり文法事項を考えた上で読み取れているかを意識して解くことが重要になってきます。なんとなくの雰囲気で読んでいては必ず誤読が生じてしまいます。

 

また、文法事項を読み取れただけでは正解に至れない問題も多いです。当然の話ですが、文脈を把握し、ちゃんと文の流れを読み取れているかを問うてくる問題もあります(というより文法と文脈の両方を把握して初めて正解を得られることが多いです)

 

このように、古文では文脈と文法事項をいかに素早く正確に読み取れるかが鍵となってきます。

 

 

漢文の解き方、考え方の核となるのは「句形の知識」と「文脈の把握」です。こちらも考え方自体は古文とさほど変わりません。

 

漢文には再読文字や否定形、受動態など、読解をする上で重要となってくる句形がいくつかあります。センター漢文にはこういった句形の知識がほとんどの設問で解答に絡んできます。なので、漢文を読むとき、問題を解く時は句形に注意して進めていきましょう。

 

また文脈を意識することでちゃんと話が繋がっているかどうかも見ておきましょう。

古文も漢文も主語と目的語を取り違えないように読んでいくことが文脈把握でとても重要になってくるので、しっかりと意識して問題を解きましょう。

◎対策

上記の傾向分析、考え方を考慮するとおのずと対策方法も決まってきます。

現代文は要素の把握を素早く正確に行えるように訓練をすることが大事なので、過去問を使って制限時間を設けてひたすら要素を見つける作業、選択肢を切る作業を繰り返すことが近道だと考えられます。

また、初めてだとこの要素の把握などもちんぷんかんぷんな場合が多いので『きめる!センター現代文』などの参考書で、方法論や考え方を学ぶのも手です。
過去問と模試問では深いところでかなり傾向が違うので、過去問での演習を強くオススメします。

古文はまずは文法事項の正確な理解と暗記を目指しましょう。
つまり、文法書に乗っているような文法事項の接続、活用、意味を正確に覚えて、文章に当てはめた時しっかり読み取れるかの訓練をすることが第一歩です。
『マドンナ古文』や『古典文法基礎ドリル』などの参考書、問題集を使って徹底的に頭に叩き込みましょう。

そして、その後は単語の意味をある程度覚えて(単語帳は何でもよい)過去問を使い問題演習を繰り返して、文脈を把握できるように練習をしましょう。

漢文は句形の知識でおおむね完結してしまうので、まずは句形の知識を頭に叩き込みましょう。『漢文早覚え速答法』などがオススメです。
句形はそれほど多くないのですぐに終わると思います。その後は過去問などを使い早く正確に解けるように練習しましょう。

 

◎戦略

国語は解く順番や時間配分もかなり影響してきます。
なのでここでは、いくつか例として本番での解く順番などの戦略を紹介しておきます。

 

1.解く順番


基本的には

①古典を先に解くタイプ
第3問→第4問→第1問→第2問(3と4を逆にする場合もあります)
②現代文を先に解くタイプ
第1問→第2問→第3問→第4問

の2通りの順番のどちらかで解き進めていくことがおススメです。

前から順番通りに解いていく人も多いと思いますが、近年のセンター国語は現代文(特に小説)が長文化している傾向にあるため、どちらかというと①の解く順番をオススメしたいです。

また、古典から解き進める利点として、古典の方が現代文よりも早く解きやすいという点にあります。
ここ二年は別であるが、古典の方が点数が取りやすいという点も挙げられます。
現代文と比較して古典は勉強した分だけ点数につながりやすいのは感覚的にも分かっている人が多いかと思います。
以上の理由から、古典から解き始めることで点数をある程度確保しつつ、時間的余裕を残し、現代文に取り組む順番がいいでしょう。

 

2.時間配分


一般的な目安は

第1問…25分
第2問…20分
第3問…17~18分
第4問…12~13分
見直し…5分

くらいかなと思います。

基本的には現代文に時間を使う人が多いでしょう。
漢文は比較的問題文が短く、漢字や句法の知識で解ける問題が多いため、短時間で解くことが可能です。

重要なのは、分からない問題や選択肢が切れない問題に固執しないことです。

センターを実際に経験した身から言わせてもらうと、模試と本番では緊張感がまるで違います。
国語という科目は、他の科目と比較して1問当たりの点数の比重がかなり高いために、
本番では1問1問により長い時間をかけてしまう傾向にあります。

本番で時間配分を変えざるを得ない状況に陥るかもしれないですが、時間を使いすぎて最後まで目を通せず、設問を読まずに適当に選択肢を選ぶ、というようなことにならないように気を付けましょう。

以上より、センター対策の段階で、どの問題にどれだけ時間を掛けるのかをしっかりと決めておくことが肝要です。

 

◎勉強法 例


『現代文キーワード読解』を利用し現代文語句を文章を通し覚えて読解力を養成していく。あくまで文章を読むことを主眼にし、読書程度にさらさらと読む。

『入試現代文のアクセス』を利用し基本的な読解力を身に付ける。問題を解き、まずは自力でその文章や設問の構造を分析してみて、主張や根拠を考えてみる。その後解説を熟読し、自分の解釈とのズレを確認し違う色のペンでチェックしておき、視覚的に捉えられるようにしておく。

一通りすべての基礎となる読解力を付けた段階で古文の対策。『重要古文単語315』『古典文法基礎ドリル』を用いてひたすら暗記。アウトプット形式で暗記を図り、間違ったものに×を付け、瞬発的に口から出るまでひたすらアウトプットを続ける。

『マドンナ古文』を読み、解釈の仕方を学ぶ。講義文を読んだ後には、出てくる文や文章をすべて自力で構造分析し、理解のズレがないかを確認していく。すべての文章に対してこの作業を終えた時点で終了。あとは理解が不十分な章を重点的に何回か読む。

『古文上達』を使い得た知識を演習により昇華させる。間違った設問は、なぜ間違ったのか、を分析し、今までの参考書を参照して理解に穴を残さないようにしていく。1題終えるたびにその文章に対して重要事項をメモしていって視覚化し、復習の効率を上げる。

古文がひと段落した辺りで漢文対策に着手。『早覚え速答法』を誘導に従って進める。漢字などはアウトプット形式にアレンジし読みと意味がスラスラ言えるまでアウトプット。

すべての基礎がひと段落した段階でセンター試験の過去問を時間を測って演習。思うようにいかない部分に対しては今までの参考書を見直したり、追加の参考書に取り組んで対策をしてみる。以下、目標点が取れるようになるまでこの作業を繰り返す。

◎現代文

 

・『きめる!センター現代文』(学研)
…センター現代文対策に特化した本であり、レベルも難しすぎない。この参考書が優れている点は、前述したような「センター現代文の明確な解き方・頭の働かせ方」が体系立てて書いてあるところにある。考え方を身に付け、掲載されている過去問で演習するというシンプルな勉強方法で分かりやすく力を伸ばせるだろう。

 

・『入試現代文へのアクセス』(河合出版)
…マークセンス形式だけでなく、様々な形式をの問題を解いて読解力そのものを上げる目的で使用するとよい参考書。レベルはそれほど高くなく、解説も市販の参考書の中ではかなり丁寧なので、初学者にはぜひオススメしたい一冊。現代文はまず文章を読めるようになることが大切。

 

・『入試現代文キーワード読解』(桐原)
…これは読解問題集ではなく、現代文で頻繁に出てくる重要語句を集め、それを短めの文章に織り交ぜ、読解力と語彙力を両方鍛えていこうというコンセプトの参考書である。語句だけを覚える参考書とは違い、かなり良質な文章も一緒に読み込めるので、読解力と語彙力に自信がないひとは丁寧に取り組んでみても決して損はしないだろう。

 

◎古文

 

・『重要古文単語315』(桐原)
…オーソドックスな古文単語帳。数も315個と多くなく取り組みやすい。イラストやイメージで古文単語の中核的な意味やニュアンスを覚えることで出来る点で優れているため丸暗記にならない。二次試験レベルにも対応できるため、古文単語帳で迷っている受験生はこの単語帳で古文単語は十分だろう。

 

・『ステップアップノート 古典文法基礎ドリル』(河合出版)
…問題集形式で古文の文法を網羅できる一冊。問題のすぐそばに解説が書いてあるため、進めている間に迷うことはなくさくさく進められる。古文文法をまったく知らない初学者でも、この一冊の内容を吸収すれば、大学受験における古文文法で困ることはなくなるだろう。

 

・『マドンナ古文』(学研)
…古文解釈の入門書。学んだ文法をどう読解に活かすか、について書かれた参考書。ページ数も少なく、講義形式なのでスラスラ読める点がオススメ。単語と文法は覚えたのに文章になると流れがつかめない、という受験生に特にオススメ。

 

・『古文上達シリーズ』(Z会出版)
…古文の代表的な問題集。レベル分けされており、段階を踏んで古文の読解問題に取り組むことが出来る。重要な文法事項や単語がいくつもちりばめられており、しっかり取り組めば、古文全体の力が格段にアップするだろう。

 

◎漢文

 

・『漢文早覚え速答法』(学研)

…解説→問題演習の流れで句形はすべて解説されているのは勿論、漢文の読解に必要な漢字の読みと意味、さらに句形と漢字の両方を詰めた音読用文章までついているという優れもの。この一冊で漢文は十分に満点が狙えるだろう。