センター化学     文責/いちかわ

1.出題形式/傾向

2.試験対策/勉強法

3.お勧め参考書・問題集

◎形式

制限時間は60分で大問は4つ。

センター化学の大問別の出題範囲は大きく次のようになってます。

 

第1問 理論分野前半(物質の性質や反応など)

第2問 理論分野後半(熱化学方程式や中和滴定、酸化還元など)

第3問 無機分野

第4問 有機分野

 

どの分野のどの知識も万遍なく出題されるので、苦手分野をつくらないことがとても重要になってきます。

 

問題形式は多岐に渡るが、ざっくりと分ければ「知識問題」と「計算問題」に集約されます。

後述しますが、計算問題の方が苦手とする受験生が多いので、解き方だけでなく、実験や反応で起こっていることをしっかりとイメージして式や言葉に置き換えられるくらいの丁寧な理解をこころがけるべきだと思います。

 

2015年度からは「化学基礎」と「化学」に分かれますが、化学基礎は従来の化学の理論分野部分のみ、化学は従来の化学の化学Ⅱ分野も含んだもののようになっているようです。細かい出題範囲等は募集要項や公式サイトで確認してください。

 

また、平均点は以下のようになっています。

 

2014年 69.42点

2013年 63.67点

2012年 65.13点

2011年 56.57点

2010年 53.79点

 

近年は易化傾向になっていることが分かります。差をつけられないようにしっかりと対策をしていきましょう。

 

 

◎傾向

前述したとおり大きく「知識」と「計算」問題に分けられるので、それぞれの考え方を示していきます。

 

まず知識問題はその名の通り「知っているか知っていないか」「知っていることをその問題に当てはめて考えられるか」の二点が問われる問題です。

 

知識を持っているのは受験生として当たり前なので、知っていることを問題に当てはめることを主として考える必要があります。これらの力は後述する演習によって得られますが、問題を考える際に、化学の場合は「与えられている物質の性質」「与えられた条件下での反応の仕方」「その実験や操作は何をしているか」などを正確に理解し、見抜けるかがポイントになることが多いと思います。これらの知識を普段から得ておくことは重要ですが、問題を解く際も逐一冷静に考えてみると開けることが多いです。

 

また、計算問題は知識問題で記述した二点の他に「与えられた条件、状況を式化出来るか」「計算を正確に行えるか」も問われます。

 

与えられた条件に関する知識を持っていることは当然ですが、それがmolや質量の比例関係なのか、電子や熱の出入りがあるのか、半反応式から化学反応式をつくらなければいけないのか、など、どのような関係でどのような式を立てれば状況を的確に表すことが出来るのかを常に考える必要があります。普段から問題演習の際は意識をして解きましょう。

 

また立てた式を計算し、要求されている値を正確に出せるかどうかも重要になってきます。

 

数学みたいに式変形等で迷うことはそれほどないと思いますが、化学は有効数字や小数点などの細かい計算が要求されるので、時間をかけててでもしっかりと解くことが重要です。センター化学は比較的時間には余裕があるので、1周した後に、見直しとしてもう一度計算し直すのも有効な手段だと思います。

◎対策

化学は理科の中でも「計算」と「知識の理解&暗記」が最もバランスよく問われる科目です。(例えば物理は計算などの数学的な問題が多く、生物や地学は暗記で済む社会的な問題が多い。)

つまり両方に対応できるような幅広い理解と知識、演習量が必要になってきます。

 

上記のような力をつけるためには、まずは化学の用語や現象などに対する正確な理解を得ることが必要になってきます。

 

学校や予備校の授業で化学を取っている人は、理解に関してはそちらで十分対応できる可能性が高いですが、独学の受験生にはやはり講義本を勧めます。具体的には『岡野の化学をはじめからていねいに』や『センター化学の点数が面白いほど取れる本』などをオススメします。これらは初学者でも完全に科学の概要を捉えられるように分かりやすく書かれているので。

 

そして本当の理解は講義本を読んだり、授業を受けたりするだけで身に着くものではありません。学んだ知識を実際に問題演習で使ってみる作業が絶対に必要です。

 

使う問題集は何でもよいが、独学の受験生ならばセンター試験の過去問をはじめ『化学ⅠⅡの新標準演習』『セミナー化学』『きめる!センター化学』『解決!センター化学』などのセンター試験出題範囲を演習するといいでしょう。

 

演習を通すと理解が深まるだけでなく、丁寧に理解したことが頭に染み込んで、反射的に問題が解けるようにもなってきます(余談だが、このように反射的に問題が解けるようになるまで演習を繰り返すことは全教科で重要になってきます)

 

また、計算問題はより演習が重要になってきますが、計算問題を解く際も漫然と解いたりはせず、「この計算は何を求めるためにやっているのか?」「どういう現象を扱っているのか?」「どの分野の考え方を問われているのか?」など、いろいろな角度から問題を考えて解くことを心がけましょう。

 

こうすることで応用力が身に着いて様々な問題に対応できるようになってくることは勿論、化学的な思考が身に着き、化学の面白さに気付くきっかけにもなると思います(これも全教科に言えることではありますが)

「ひとつの問題から学ぶ」姿勢を大事にしましょう。

 

 

◎勉強法 例

『岡野の化学をはじめからていねいに」』内容を理解しながら一通り読む(この段階ではそこまで深い理解必要ない。表面上でも納得することが重要)

また、必ず前日読んだ部分も読むようにし、2日連続で同じページを読むようにしていくと暗記、理解の両面で効果が上がる。

『岡野の化学をはじめからていねいに』を章ごとに読み進めながら、『化学ⅠⅡ新標準演習』で分野ごとに基本問題を演習していく。解けなかった問題に×をつけ、解説を読み、講義本を参照して理解を深める。

×のついたままの問題が全体の2割以下になったら、復習を並行しつつ『大宮理のセンター化学Ⅰ合格点への最短距離』でセンター形式の問題の攻略法を学び、過去問と予想問を目標点に達するまで演習⇔復習を繰り返す。

・『岡野の化学ⅠⅡをはじめからていねいに』(東進ブックス)

…化学がまったく分からない、化学って結局どういうの?という受験生のために書かれた入門の一冊。基本事項をここまで丁寧に解説した本は他にはほとんどなく、初学者でも安心して取り組むことが出来る。問題数は少なく、全事項を網羅しているわけではないので、この後に網羅系の問題集等に進もう。

 

・『化学ⅠⅡの新標準演習』(三省堂)

…受験化学の基本問題をすべて集めた一冊。かなり分厚いが、解説もそれなりに詳しく、この本を一冊やりきれば、センター化学は90点以上の得点も難しくなく、また二次試験の土台となるレベルの基礎力が身に付けられる。比較的化学に時間を割くことが出来る理系向け。

 

・『大宮理の化学完結 センター化学Ⅰ 合格点への最短距離』 (旺文社)

…センターの必出ポイントを集めた問題集。かなり薄く、ポイントも絞ってあるので、化学にあまり時間が書けることのできないセンターのみの文系にオススメ。解説も簡潔なので、あくまで最低限の知識は持っている前提で使うべきである。