センター英語     文責/いちかわ

1.出題形式/傾向

2.試験対策/勉強法

3.お勧め参考書・問題集

◎形式

大問は全部で6問。問題構成は以下のようになっています。

 

第1問 発音・アクセント

第2問 文法語法・会話文読解・整序英作文

第3問 文脈把握読解(語句類推、意見要約、空所補充、不要文削除など)

第4問 図表説明文読解

第5問 状況把握読解

第6問 要旨把握長文読解

 

また、平均点は以下のようになっています。

 

2013年 119.15点

2012年 124.15点

2011年 122.78点

2010年 118.14点

2009年 115.02点

 

問題構成、平均点ともに毎年大きな変化は見られません(出題形式が部分的に毎年少し変わっているが、求められている能力等は変化していない)

平均点は毎年60%程度に収まっているので、本番の問題次第でいつもより点数が大きく変わる、ということは起きにくい科目と言えます。

 

 

◎傾向

ここではそれぞれの大問に対して「求められている能力」と「それに応じた解き方」を紹介していきます。

 

第1問 発音・アクセント問題

発音・アクセントはまずどう勉強していくのが効率がいいのかというところで悩むと思います。たしかに勉強をしたら確実に点数は取れるがコストパフォーマンスが悪すぎると捉える人もいるでしょう。なので詳しい勉強法は後述の勉強法の部分で述べているので、勉強をしようという人はそちらを参考にしてほしいです。

 

この発音・アクセントの問題の傾向としては、過去に使われた発音・アクセントの問題に含まれている規則性が今まで何度も繰り返されている点にあります。つまり過去問を繰り返し第1問だけを集中的に解くだけでも大きく変わってきます。ここは単純な暗記で済む分野なので、一気に覚えてしまってもいいでしょう。

 

第2問 文法語法・会話文読解・整序英作文

この分野はABCの3パートに分かれており、上の3つの出題分野に対応しています。

 

文法語法問題は全部で10問あるが、どれも基本的な文法、語法、イディオムの知識を問う問題で構成されています。近年では文法事項の知識を問う問題の割合が少なくなり、語法やイディオムの知識を問う問題が増えているので、問題を見たらまずどういった知識が問われているかをしっかりと確認することが重要です。オススメの解き方を紹介します。

 

①先に4つの選択肢を確認する。

→どのような知識が問われているかを確認するため。例えば進行形やwill、過去形などが混在していたら時制に関する問題だろうし、to VやVing、to have Vppなどが混在していれば不定詞、動名詞絡みの語法の問題かな、と予想がつきます。これを行っておくと、文章を読んだときスムーズに解答に至ることが出来ます。

②文章を読む。

→ただ読むのではなく、その場面がどういう状況なのかを想像することで正解に辿り着ける可能性が高くなります。焦ってさらっと読むくらいなら丁寧に一度読んで確実に正解した方がいいのは当たり前なので、短い文章だからこそちゃんと内容を把握しましょう。

③問題を解く。

→ここの段階で持っている知識を使おう。このパートの問題は知らないと解けないので、しっかりと勉強しておきましょう。

 

次は会話文読解についてです。

 

会話文読解は会話表現が問われるのかな?と思いがちですが、センター試験の本試は純粋に読解力を見ていることがほとんどで、会話表現の知識はなくても十分全問正解が狙える部分です。従って、解き方は普通の読解問題と同じで、読みながらどういう会話がされているか(どういう状況か)を確認して、空所の前後を確認し、話の流れ的に不自然でないものを選択肢から選ぶというオーソドックスな方法で良いでしょう。

 

最後に整序英作文の問題についてです。

 

整序英作文は、選択肢にいくつかの単語が並んであり、それを並べ替えて自然な文をつくるという問題です。近年では一文、もしくは二文程度の文の中に空所があり、そこに入る文を与えられた単語を並び替えてつくるという形式が一般的です。

 

この問題は構文把握力、単語熟語語法の知識、文脈把握力などいろいろな能力を試すことが出来る形式です。故にセンター英語で点数が奮わない人はこの部分で落としていることも多いと思います。

この問題は知識を付け、慣れてくると、考えずとも反射的に解けるようになってくるのですが、最初の内は確実な解き方として以下のような方法をオススメしておきます。

 

①組み合わせになりそうなものを先につくる。

→ある程度の知識は勿論必要ですが、例えば looking forward、doing、to、is みたいな語が選択肢にあれば「is looking forward to doing」と並べ替えるでしょう。要はこのように「この単語たちだとこの組み合わせになりそう!」というものを先に全部つくってしまうということ。こうすることで考える範囲が狭くなり問題が解きやすくなります。

②主語と動詞を確認する。

①と②はどちらを先に行ってもいいが、どちらも必ずやらなければいけない作業です。主語の把握は文脈から可能である場合が多いと思います。youやtheyが一緒にある場合は文脈を見ながらも、どちらのパターンも試してみてより自然な方を選ぶといいでしょう(heやsheやIとの混合は三人称単数やamとの違いなどから比較的わかりやすい)

③自然な文になるように組み合わせる。

①と②の作業をやった時点で完結することが多いが、最後に出来上がった文章がその文脈で普通に意味を成しているのかを実際に読んでみて確認するとより確実です。

 

以上が第2問の考え方、解き方です。参考にしてみてください。

 

 

第3問 文脈把握読解

このパートもABCの3パートに分かれており、それぞれ語句類推、意見要約、空所補充(2014年は不要文削除)などの問題形式が割り当てられています。

この大問の最大の特徴は「文脈を利用して問題を解く」ことです。3パートに分かれているものの、すべて問われているのはこの文脈把握の力です。

 

それぞれの問題がどういう仕組みで解くことが出来るかというと

 

Aの「語句類推」は文字通り文章中にある意味の分からない単語を文脈から類推する問題です。基本的にどういう話題や状況で、結局この文章は何が言いたいのか、に注意していればそれほど詰まることなく解くことができますが、論理的に文章を読むという観点からディスコスマーカーなどにも注意するとより確実に選択肢を切ることが出来ます。

 

ディスコスマーカーとは

 

however「しかし(この後に前の文とは逆の話題が続く印)」

therefore「それゆえに(この後に前の文の流れを引き継いだ話題が続く印)」

as a result「結果として(今まで出してきた話題や具体例の結果として何が起こったか、何を言いたいのかという表記に続く印)」

 

などのように、文章を論理的かつ正確に読むための指標、道具のようなものです。

 

これらを意識することで、この部分の話題はこれで、次はこういう内容が来そうだな、みたいな推測が可能です。故に文脈把握にはうってつけの道具です。このパートに苦戦する人は意識して解いてみるといいでしょう。

 

 

次にBの「意見要約」についてです。

 

意見要約は、あるひとつの提示された話題について3人の人物が意見を言い、その内容を端的に表したものを選択肢から選ぶ問題です。

 

つまり「この人はこういうことを言っているんだな」というのが分かってしまえば容易に正解が出せる問題というわけです。個人的には第3問~第6問の読解パートの中では最も難易度の低い問題のように感じます。

 

ここに出てくるそれぞれの意見は

 

抽象的な内容(意見を簡潔に一言で表したような文)

→具体的な内容(自分の意見を分かりやすくするために具体例を出して説明している文)

→抽象的な内容(結論としてもう一度自分の意見を一言で述べる)

 

の流れとなっていることが非常に多いです。

 

どの部分も自分の意見について述べているので、抽象的な部分でその人物の言おうとしてることが分かってしまう人はそれだけで問題が解けてしまいます。速ければものの10秒程度です(実際にそれだけで解ける場合も多い)

 

しかし、本番などではそれほどの余裕を持って臨むことはほとんどの人が不可能であるため、具体例と結論の部分にもしっかりと目を通し「ああ、こういうことを言っているんだな」と納得してから選択肢を選びましょう。英文自体も平易であるため、それほど難しくはないはずです。

 

 

最後にCの「空所補充」と「不要文削除」について。

 

空所補充は少し長めの文章中に3つの空欄があり、4つの選択肢の文から文脈に合うものを選んでその空欄に当てはめるという問題です。前述した意見要約とは打って変わって、個人的には読解パートの中で一番難易度が高い問題のように感じます。

 

文中の空欄に文を当てはめるので、この問題も勿論文脈把握力が必要です。さらに、この問題で題材とされる文章は3つ、4つくらいのパラグラフ(段落)に分かれているため、パラグラフごとに何を言ってるのか?という視点からの読解も必要になってきます。なので問題を解くときは

 

①空所前後の論理関係の(前述したディスコスマーカーなどを利用して)把握をする(その選択肢を空欄に入れた時、文の流れは自然かどうかの確認)。

②空欄があるパラグラフは全体としてどのような内容について述べているかを考える(いわゆる要約)。

 

の2点を意識して解いてみてください。

 

また不要文削除は短い文章中に4箇所下線が引かれた文があります。その中にひとつだけ文脈上不要な文が混じっており、それを取り除く問題です。これも勿論文脈から不要な文を判断するのですが、明らかに違っていると分かるものがほとんどのため、一読で分かってしまう場合も多いように思います。基本的には前述してきたようなスタンスで文脈を読み取って欲しいのですが、明らかに文の流れ上おかしいと思ったらすぐに省いてみて、省いて読んで違和感がないか確認するくらいでいいでしょう。時間の節約にもなる問題です。

 

 

第4問 図表説明文読解

この大問はABの二つのパートに分かれており、どちらにも図や表が付け加えられており、その図や表と英文を読んで設問に答えていく形になっています。

 

結論から言ってしまうとこの大問は先程の第3問や後述する第6問とは違い、文章を要約したりする必要はありません。

 

なぜかというと、この大問で求められている能力は「与えられた図や表と英文から必要な情報を素早く正確に読み取る能力」だからです。

 

すなわち、筆者が言いたいことは何か?ということは考える必要はなく、ただひたすらに設問で要求されている数値や情報を文章と図や表から探し出すだけなのです。設問も数値を求めるものや、英文中からある一部分をピンポイントで取りださせるようなものが多いです。ABの違いにこだわらず

 

①設問から今必要な情報は何かを正確に把握する。

②その情報はどの部分にあるかを探す(ピンポイントで答えになるような表現があるので該当部分に線を引くとより確実に答えられるだろう)。

③設問の要求と該当箇所の記述が一致しているかを確認する。

 

という意識を持って解くことが重要になってきます。

 

要約や文脈把握がほとんど必要ないということは、答えが曖昧になる要素がないということです。つまりこの大問はしっかり注意して読んでさえいれば確実に満点が取れる大問ということです。この意識の元しっかり対策をして、一問も間違えないようにしましょう。

 

 

第5問 状況把握読解

この大問はふたつの視点からある同じ状況を解説した文章を読んで設問に答えていく形式です。

この大問を攻略するにはまず設問の特徴をチェックすることから始めましょう。この大問の設問構成は以下のようになっていることが多いです。

 

Aの視点の内容に関する問題(1~2問)

Bの視点の内容に関する問題(1~2問)

A、B両方の視点の内容に関する問題(1問)

AもしくはBの視点からの全体の状況を説明した絵を選ぶ問題(1問)

 

これを見てもらえれば分かりますが、注意すべき点は後半のふたつです。

 

というのも、A、Bの片方ずつの視点の問題はそれぞれの英文を読んでいれば特に問題なく解くことが出来ますが、AB両方の視点に関する問題は「A、B両方に共通してること」しか答えになりません。

なので、文章を読んでいる時点であらかじめ2つの視点に共通する部分を意識して下線を引くようにしておきましょう。問題を見てから気付いてまた読み直したりするのは時間のロスになってしまうので。

 

また、最後の絵を選ぶ問題は、この全体の状況の流れを示したり、片方の状況の流れを説明してる絵であることが多いので、事前に「誰の」「何を」示している絵なのかを把握してから文章を読んでいくと時間のロスがなくなります。

 

この大問は「同時進行」で様々な部分を意識しながら解くことでかなり時間を短縮できるのです(慣れてくると10分以内で解くことも可能である)

 

 

第6問 要旨把握長文読解

いよいよ最後の大問です。この大問は読解パートの中では一番文章が長く(600~700語くらい)途中で内容が追えなくなってしまう場合もあります。そういうことがないように、この大問と設問の性質をしっかり確認してスタンスの確立をしましょう。

 

この大問の最大の特徴は「設問がそれぞれパラグラフ(段落)ごとに設定されている」ということであります。ひとつのパラグラフにつきひとつの設問があるんです。

 

これはどういうことを表しているかというと、この大問では「ひとつひとつのパラグラフが一体どのようなことを言っているのかを把握する能力(要約力)」を見ているということなんです。

つまり、第3問で求められていることを拡大したような問題とも言えます。

 

論理的に読み、文脈も把握して進めることでひとつのパラグラフを要約し、設問に答える、という一連の流れを意識しましょう。

 

また、最後の方にはその文章全体のテーマやばらばらにされた段落のテーマを並び替えて正しい順番に戻すような設問もあります。

このような設問も結局はパラグラフを正しく要約できているかにかかっているので、多少時間をかけてでも正確な要約を心がけましょう。

 

 

各大問についての説明は以上です。

 

どれも「論理的な読解」が重視されている傾向があるので、普段からテキトウには読まず、丁寧に内容を把握しながら読むことを意識しましょう。

◎勉強法

勉強法は上記の傾向を意識して問題演習を重ねることが基本的な方法になりますが、それ以前の部分から話をしていきたいと思います。

 

まず上記のような演習をするためにはセンターレベルの英文を読むことが出来る必要があります。英文を読めない段階でこのような演習をいくら積んでも効果は薄いのは言うまでもありません。なので、まずは「英文を読むことが出来る」ようになるまでに必要な要素、過程を示していきます。

 

まず、知識的な面はある程度は頭に入れておかなければいけません(これは前述した発音・アクセント、文法語法の欄でも重要になってきます)

大きく分けると「単語」「熟語」「文法」を一通り理解し、暗記していなければいけません。

 

具体例を挙げると

 

単語→『システム英単語』の第2章~第3章までの1200~1600語の暗記

熟語→『NextStage』の熟語パートの問題を解き、使われ方とともに暗記

文法→『Forest』で文法事項を理解し、「NextStage」の文法語法パートの問題を解き、使われ方とともに暗記

 

などです(あくまで一例)

 

このような形で知識を固めると、センター試験レベルの知識面では困ることはないでしょう。

 

そして英文を読むために「英文解釈」も出来なければいけません。

 

英文解釈とは、文の構造を把握し(主語と動詞はどれか、この関係詞の修飾先はどこか、など)文の内容を理解する作業です。上記の知識だけでセンターの英文がすらすら読めてしまう人は問題ないが、そうでない人はこの解釈の対策もしていくことを推奨します。

 

解釈の対策のオススメとしては『基礎英文解釈の技術100』や『英文読解基本はここだ!』のような、易しめの解釈の参考書を利用するのが最も効率が良いと思います。

 

やり方、考え方としては、テーマ文を構造を分析しながら日本語に訳していき、解答を確認した際に自分の構造分析と英文の内容把握に模範解答との差がなかったかどうかを確認していくように進め、ひとつの英文の中に含まれている文法、解釈の知識や単語のニュアンスなどを吸収したら、ひたすら音読をすることを勧める。

 

英語は言語なので、出来るようになる上でやはり慣れも重要です。知識を使える形に昇華させる方法として音読を勧めておきました。

一通り英文解釈に必要な知識を入れて、センターの英文を読んでいきましょう。

・『システム英単語』(駿台文庫)

…単語帳は種類がありすぎてどれをやったらいいか分からない、という人に対して勧める一冊。単語やその訳の選定しかり、覚えるための工夫しかり、かなりのクオリティを誇っていることを保証します。速読英単語やDUO等の単語帳は、初学者の場合解釈の時点で躓いてしまう可能性があるため、最初の一冊としてこちらを勧めたい気もします。大学受験に必要な単語はすべて網羅されています。

 

・『NextStage』(桐原)/『UPGRADE』(数研出版)

…理解してきた文法事項や語法などを、使える知識に昇華させるための一冊。前述したように、英語は知識として知っているだけではなく、慣れが必要です。問題演習を通して、理解したも知識をいつでもアウトプット出来るようにするのが目標。熟語パートもあるので、同時に熟語力も鍛えられるのが魅力です。

 

・『基礎英文解釈の技術100』(桐原)

…前述したように「一文を正確に内容把握できるようになる」ための参考書。初学者の段階では単語、熟語、文法の知識を得ただけではその知識を思うように「読解」に活かすことは出来なません。受験英語の中心は読解なので、読解力をつけるための基本的なトレーニングをこの一冊で行うことが出来ます。使い方は前述したとおりです。

 

・『センター試験英語[読解]の点数が面白いほどとれる本』(中経出版)

…上記で書いてきたような読解の作法について学ぶことが出来る一冊。収録されている問題はすべてセンター試験の過去問なので、センター試験の研究や、実践的な演習としても用いることができ、厚いわりにはコストパフォーマンスが良いです。センター試験の英語で130~140点辺りをうろうろしている受験生に特にオススメの参考書です。

 

・『音でおぼえる発音・アクセント』(旺文社)
…第1問で点を落としたくなければやって損はないです。とてもおすすめ。