PM-2の活用

Top > コリンズのメンテナンス > PM-2の活用
 
 近年、516F-2の値段が上昇し、ニ世代前の中古トランシーバーが買える位の値段がします。そこで、目に付くのがKWM-2の専用電源PM-2です。PM-2は32S-Xでも使え、廉価で入手もし易いが、別体として延長ケーブルで接続し使うには、@KWM-2にマウントするアームが邪魔、A11ピンのコネクタがどの方向でも挿しこめ安全性に問題がある、という課題があります。これらを解決する為に、PM-2をアルミケースに移植し、良い結果を得たので紹介します。  

 
1.入手、動作チェック

 PM-2はその外見から、取り扱いが面倒に見える為、オークションでは廉価で取引されている。但し、余り安い値段の機械は、肝心な電源トランスやチョークトランスが壊れている可能性があるので、注意が必要である。

 入手後、スライダックスを使い、徐々に電圧を上げながら、規定の電圧が出るかをチェックする。動作チェックは次の手順で実施する。

  • PM-2をスライダックスに接続する。
  • 11ピンのコネクタの5番-7番をショートさせて、電源を投入する。
  • 各部の電圧をチェックしながら、徐々にスライダックスの電圧を上げて行く。
  • 一次側の電圧が規定に達した時に各部の電圧は次の通り。
    • 8番-3番 AC 6.3V
    • 4番-3番 DC -50V〜-90V
    • 1番-3番 DC 275V
    • 2番-3番 DC 800V     (尚、3番はグランド)

 
2.解体

 動作チェックが完了したら、解体する。解体に際してのポイントは次の通り。
  • 下記の主要部品を中心とした実体配線図を書きながら部品を徐々に外して行く(組立時間の短縮と、誤配線の防止となる)。
    • 電源トランス
    • チョークトランス
    • ダイオード・マウントボード
    • 高圧コンデンサが付いているラグ端子(2組:コンデンサは外さない)
    • バイアス調整ボリウム
    • ヒューズホルダ
    • 多芯ケーブル
  • これらの部品を中心に配線を徐々に外して行くが、外す時は部品から出ているケーブルに番号タグを付け(スコッチテープにマジックで書きこむ)、実体配線図に同一の番号を書きこむ。
  • ハーネスは最大限に活用する。
  • 不要な部品はケースから外さず、後でケースを転売する際に活用する。
    • スピーカー
    • 11ピンコネクタ
    • スピーカー
    • 110V-220V切り替えスイッチ
    • ヒューズホルダ(220V用)

作成した主要部品を中心とした実体配線図

部品につけた番号タグと実体配線図


 
3.部品のレストア

 部品点数が少ないが、何点かはレストアすべき対象がある。
  • トランス類の錆取り、ペイント
  • コンデンサのチェック、交換
  • 古いダイオードの交換
  • バイアス調整ボリウムを開放、内部清掃、導電グリス塗布

部品を外されたPM-2


 
4.部品の準備

  新規に準備する部品は次の通り。
  • アルミケース: 潟梶[ド製 S−6: 230H×60H×160D  (516F-2のケースに丁度入る寸法)
  • ブッシング: 10芯シールド用、電源ケーブル用 
  • ラグ端子: 110V-220V切り替えスイッチの代替の配線受け (その他は現用品流用)
  • 10芯シールドケーブル: 0.75SQ×10 2m
  • 11ピンコネクタ (メス中継用)
  • ケーブル・クランプ: 10芯シールド用 (プラスティック)

  現用品を流用する部品は次の通り。

  • 電源トランス
  • チョークトランス
  • ダイオード・マウンドボード (ボード取りつけスペーサーを含む)
  • 電解コンデンサ (中圧用ブロック型+ブリーダー抵抗、高圧用コアキシャル型×4)
  • バイアス調整ボリウム
  • ラグ端子 (一部抵抗付き)
  • ハーネス
  • 電源ケーブル
  • ケーブル・クランプ: 電源ケーブル用 (プラスティック)
  • ヒューズホルダ
  • 電源トランス、チョークトランス配線貫通ゴムブッシング
  • コンデンサの金具ホルダ (必要な場合)

レストアされマウントを待つ部品達


 
5.組立

 組立は、狭いアルミケースの中に部品を入れる作業となるので、事前に部品の配置を十分に考慮する必要がある。 ケース上、ケース内部の部品の配置は右の写真を参考とされたい。ここでのポイントは次の通りである。
  • 電源トランスとチョークトランスは直交する様に配置すると良い。
  • ボード取り付けスペースの下に、一部の高圧コンデンサを入れる。
  • 10芯シールドは送信機側の11ピンコネクタをまず接続して、配線色とピンの番号の対応表を作ってから、ケース内部の配線をすると間違い防止となる。
  • 10芯シールドは、ダイオードボードの下を潜らせ、ケーブルクランプで止めてから芯線をほぐし、各配線と接続する。

ケース上の部品の配置


 
6.オプション、使い勝手

 オプションとして、516F-2のケースに組み込める様に、ケースのサイズを考慮している。

 性能は通常のPM-2と変わらないが、別体となった事により、32S-Xに使える等、利用の幅が広がる。但し、注意点として、516F-2と異なり電源容量が小さい為、SSB専用とすべき。但し、32S-Xで使う場合は、KWM-2より消費電力が少ないので、SSBでは余裕あると考えられる。

ケース内部の部品の配置


 
【参考資料】

PM2 Lightweight AC Power Supply instruction sheet
Collins Radio Company
523-0074000-0077311
7th Edition, 1 August 1965