75S-3の受信音の改善 |
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75S-3は強力な信号で受信音が歪みやすく、AGCの動作やダイナミックレンジに課題がある。これに対しては、種々の改造記事が発表されているが、このなかで、軽微な改造ながら大きな効果が期待できる改造を試行し、良い結果を得たので紹介する。 | |
1.概要 <改造内容>
<対象>
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2.AGCの改善内容 75S-X共通の特性だが、SSBで使用する場合、近年の受信機と比較してAGCのリリース時間が短く、受信音が忙しなく聞こえ、聞き疲れする。 これを改善する為にはAGC時定数を長くする必要があるが、次の部品が改造候補となる(右の配線図参照)。
各部品の変更の効果を考察すると次の通りとなる。
R88にパラに抵抗を接続する。抵抗値はカット&トライの結果、220KΩとした。 |
AGC回路周辺の配線図 |
3.AGCの改善手順 改造箇所の配置は、右の写真を参照願いたい。概ね次の手順で改造を実施する。
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AGC回路周辺の写真 |
4.ダイナミックレンジの改善内容 75S-Xは、強力な信号により信号のピークで歪みが発生し、受信音がかすれた感じとなる。 一つの原因として、AFアンプ初段(V9:6AT6)のカソードバイパスコンデンサー(C56:100μF)の劣化が有名だが、次の根本的な問題がある。 75S-Xは強力な信号によりプロダクトディテクター(V8A:6EA8)で歪を発生する。KWM-2のプロダクトディテクターも75S-Xと同様な回路を使っているが、受信音に歪を感じない。これは、KWM-2と75S-Xのプロダクトディテクターのカソード回路に相違がある為である。KWM-2は820Ωでカソードがグランドに落ちているのに対して、75S-XはL16:100μHが使われている。L16を820Ωに交換するとカソード電圧が+51V⇒+71Vとなり、この結果、動作点が変化してダイナミックレンジが増大する。これにより、ゲインが若干下がるが、問題とならない程度と考えられる。 本改造は、L16:100μHを取り外し、820Ωに交換する。 |
改造箇所の配線図 |
5.ダイナミックレンジの改善手順 改造箇所の配置は、右の写真を参照願いたい。概ね次の手順で改造を実施する。
以上で改造は完了する。 |
改造箇所の写真 |
6.改善効果
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外したL16 |
【参考資料】 Collins instruction book Collins 75S-3B and 75S-3C Receivers Rockwell International 523-0756533-007311 7th Edition, 15 November 1975 |
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