451S-1

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 451S-1受信機(以下、451と記載)はコリンズの機械の中では大変に希少な存在で、コレクターの間では垂涎の的となっている。製造台数は7台とも10台とも言われ、内2〜3台は製造後、解体され、現在、存在が確認されている個体は次の所有者の僅か4台と言われている。@Rockwell Collins Musiam、ARockwell Collins Ham Club、BHeinz氏 DH2FA KM5VT、CJim Stitzinger氏 WA3CEX。

 内1台が転売され、現在のオーナー様から修理を承り、この希少な機械に触れる機会を得た。今回、オーナー様のご好意により撮影許可を得、公開が出来る運びとなった。内部写真の公開は世界初であろう。

 451はKWM−380、HF-380(以下380と記載)から送信回路を省き、受信に特化した機械である為、380と同一の基盤や部品が多用されている。

 この概要を、380と比較しながら写真と解説で紹介するので、十分に堪能して頂きたい。

 

451 フロントパネル(左側)

 フロントパネルは380より送信部を省いた形になっているが、つまみの数、配置は380と同一である事より、380のフロントパネルを流用したものと思われる。

 380との違いは、マイク端子が無い事、PTTの代わりにATTNボタンがある事、メータ切替スイッチのポジションがAF(600Ω出力レベル)/RF(Sメータ)となっている事、電源スイッチがロータリースイッチとなっている事(380はスピーカーグリルにトグルスイッチがある)等である。なお、パネル中央のメインダイヤル周りは380と同一である。

380 フロントパネル

 

451 背面

 380は背面に送信PA部の大きなヒートシンクが付いているが、451は電源用の小さなヒートシンクが付いている。

 アンテナコネクターは、380はM型なのに対して451はBNCとなっている。

 380には無いオーディオ系の端子が付いている。その他のデータ端子等は380と同一。

380 背面

 

451 内部(上面)

 ケースを外した状態の写真(下が前面)。

 電源トランス、平滑コンデンサーは380と異なり小さく、部品配置に余裕がある。

 これ以外に大きな違いはない。

 基盤を収容している内部シャーシー上蓋は380と同一なので、451には付いていない送信用バンドパスフィルターの放熱用の穴が多数開いている(写真上部)。

 

451 内部(上面)

 内部シャーシーの上蓋を外した状態の写真。

 380には付いている送信PA部、送信用パスバンドフィルター基盤、スピーチプロセッサー基盤(380でもオプション)が無い。この為に背面(写真の上部)がガランとしている。

 シンセサイザー基盤、CPU基盤、基準発信器基盤は380と同じ。

 基準発信器はHF-380と同様にOCXOが採用されている。

 受信部のフィルターは中波帯除去のハイパスフィルター、30MHzを3分割しているバンドパスフィルターで構成され380と同一である(受信基盤に付いている)。 

 

380 内部(上面) 

 

451 内部(下面)

 内部(下面)の写真。

 左側には、DC5V、9V、12V、24Vを発生している電源部がある。これは380と同一の基盤を使用している。

 右側の大きな基盤は受信基盤である。380では受信/エキサイター基盤となっていて、これからエキサイター部分を省いた様な回路となっているが、部品のレイアウトが可也、異なるため、再設計をしたと思われる。

 受信基盤の中央やや上部に空きエリアがあるが、ここにはスケルチ回路が搭載される(スケルチ搭載モデルのみ。市場に投入されたかどうかは不明)。

 テフロン同軸コネクターは、380では接触不良の温床となっている簡易型を使用しているのに対して、451ではSMBコネクターが使用され、信頼性の向上が図られている。受信基盤の右端にそれが整然と配置されているのがわかる。

 

380 内部(下面)

 

スケルチ回路図

NOTES

 

 上のスケルチ回路図の右上を見ると「SQUELCH NOTE 6」と記載されている。左のNOTESの6番を見ると、「-002 STATUS ONLY」と書かれている。この個体はPART NO 622-3577-001と刻印されていてバージョンが異なり、スケルチ回路は搭載されていない。


【参考情報】