都内でのキロワット
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1KWを取りたい
DX熱が冷めている私が1KWの免許取得を目指した理由は、「コリンズの30S-1を使いたい」の一点にありました。このためにタワーを建て、面倒な検査を受けたわけですが、そこには道楽ならではの心地よい非合理さがありました。都内という特異な環境では決して簡単なプロジェクトではありませんでしたが、それ故に学べた点が多々ありました。
ここで得た結論は、「住宅密集地でも、ご近所と上手くお付き合いして、インターフェアを地道に潰せば可能である」。ただし、これは「一過性の物ではなく、継続的に努力を要する」。これらは既に諸先輩方が種々の形で指摘していますが、今回は身をもって体験することができました。
以下に、1KW取得までの各手続きのポイントを説明したいと思います。
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コリンズの30S-1を使いたい!
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課題と計画 私の1KWの免許を取得する上での課題は次の通りでした。
- 電波防護指針上から、従来の屋根上のアンテナではクリアできず、タワーを建設する必要がある。
- 住宅密集地なので、インターフェア対策を確実に実施する必要がある。
- 新興住宅地で近所交流が希薄なので、近所との付き合いを積極的にする必要がある。
以上の課題を念頭におき、免許交付までに以下の手続きを実施しました。
1.準備
- 調査・計画
- 近所への説明
- タワー建設
- 申請書類作成・提出
- 変更許可通知の受領
2.設備の整備
- 無線設備の整備
- 試験電波発射届の提出
- インターフェア調査
- インターフェア対策
- インターフェア調査結果の報告
3.検査
- 登録点検事業者への検査依頼
- 検査の受検
- 落成届の提出
4.免許状交付
- 無線局検査結果通知書と無線局免許状の送付
- 指示事項に対する措置報告書
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住宅密集地
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1.準備
◆調査・計画
タワー建設に3年をかけ(資金調達を含め)、インターネットを情報源とした調査計画に半年をかけました。
調査・計画のポイントは以下の通りでした。
1.実施スケジュールの計画
準備計画〜設備整備〜検査受検まで、大きな「資金」、「時間」、「エネルギー」が必要なプロジェクトだったので、仕事や他のプライベートな予定と如何に調整をするか。
2.設備の整備計画
タワー建設が最大の課題だった。家族や近所に理解を得やすくする為には小さなタワーがやり易く、インターフェアや電波防護指針の点では高いタワーが有利なので、これらの妥協点を探した。その他、コモンモードフィルタ類の選択、アースの設置をどのようにするか。新スプリアス規制をクリアするエキサイターの選択も今となっては重要な考慮点となる。
3.近所対策の計画
タワー建設、インターフェア対策に関してどう理解を得、協力を仰ぐか。
4.申請書の書き方の調査
申請書類の書式、記載事項の改正が時折あり、電波防護指針という規制が出来、インターフェア調査の要求が厳しくなり、片や役所の検査に代えて登録点検事業者の検査を利用できるようになった。以上の環境変化の中で、どのような申請書類が必要で、これらを満たすためにどのような事前準備が必要となり、申請の流れがどうなるか。
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新スプリアス規制について
先般、無線局設備規制の改正及びその経過措置が発効されましたが、これによると、H29年12月1日以降の免許更新において、新スプリアス規制対応機種以外の無線機(以降、古い無線機)は許可されなくなります。 これにより、その5年後のH34年12月1日以降には、全ての古い無線機が使えなくなりますが、その期限は免許の有効期限により異なり、最も早い局では、H29年12月1日となります。これはハイパワー局にとっては、検査のやり直しを意味する重大事です。
私は、この改正を正しく理解していなかった数多くの一人で、古い無線機で1KWの申請をしてしまいました。H20年1月にこの重大さに気づき、総合通信局に検査前に無線機(エキサイター)の差替えが出来ないかを相談しましたが、既に変更許可通知が出た後だったので、全ての申請をやり直す必要があり、諦めてそのままで検査を受ける事としました。
技適制度を利用した無線機の申請に関しては前述の通りですが、認定制度を利用した古い無線機や自作品の取り扱いについては不透明な部分があります。認定制度の活用や特別措置の新設等、今後の動きに期待したいところです。
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◆近所への説明
近所へ説明するタイミングの考え方としては、次のいずれかです。
- タワー建設の前に計画を説明して理解を得る
- タワー建設後に既成事実に基づいて近所に説明する
この選択に迷いましたが、私は後者を選びました。その理由としては、次の通りですが、この判断は個々の状況により異なると思われます。
- タワーは威圧感があり所詮常識では理解が難しい構築物である
- 出来ていない物を説明する事は難しい
近所への説明のポイン次の通りでした。
- タワーの使用目的 (総務省から正式な免許を受けたアマチュア無線)
- 安全対策 (安全柵、強風時・雷発生時のクランクダウン、強固な基礎工事)
- 総務省の指示で(言い方として)、後日、電波障害でご迷惑をお掛けしていないかを調査する事の予告
- (菓子折り持参)
この中で感じたことは、使用目的に関する質問が意外に多かった事です。中には、テロの標的になり得る通信設備でないことを確認された方もいました。趣味で行っていること、総務省の正式許可を得たアマチュア無線局である事を説明をすると、一定のご理解が得られました。私のケースでは怪しくないことの確認がポイントとなっていた様で、倒壊の危険性に関する確認は1件もありませんでした。クランクアップタワーの視覚的効果が出ていたようです。
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コンクリートへの穴あけ作業
クレーンでの据付け作業
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◆タワー建設
当初は、傾斜型アンテナを展張できる自立型タワーを建てる計画でしたが、強風や雷発生時の安全策、近所へ与える不安感の軽減を優先してクランクアップタワーとしました。タワーの高さは、1KWで電波防護指針をクリアし易くするために20mHとしました。
タワー建設に関する事前説明はしませんでしたが、常識として、建設当日は騒音や業者の駐車に関するお断りの挨拶を行ないました。
基礎工事では、コンクリートに掘削機で穴をあける必要が有り、半日間は結構大きな騒音が出ました。また、タワーの据付けの際には、クレーン車が来て大きな構造物を立ち上げる作業となるため、休日はギャラリーが多く説明が大変であることが想定され、平日に工事を実施しました。
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◆書類作成・提出 インターネットで「1KW 申請書」をキーワードとして参考になりそうなサイトを検索しました。
申請の流れを理解するのに参考となったのは、鰍eTIのサイトでした。
書類の作成にあたっては、JK1IQK(鈴木功 氏)が作成した免許印刷というフリーソフトを活用しました。必要事項を入力すると、申請書類を作成してくれるので重宝しました。特に電波防護指針の計算を繰り返し実施するのには便利なツールでした。
書類作成にあたっては、許可の正当性を出来るだけ理路整然と、かつ解りやすく説明する事が重要です。その為には、読む事務官の立場に立ち、「証明書類」や場合によっては「誓約書」を入れ、許可を出しやすいように作成します。
1.準備する書類
提出が必要な書類は下記の通りです。
(青文字:「免許印刷」で作成。 緑文字:独自にExcel等で作成。 黒文字:その他。)
- 変更申請書(鏡)
- 申請書に付属する書類一覧
- 無線局事項書及び工事設計書
- 送信機系統図
- 電波防護指針に関わる適合確認の計算書
- 電波防護指針付属計算書
- アンテナの垂直面指向性 (アンテナメーカーより取り寄せ)
- 1KWでの発射周波数の制限について
- 周辺図
- 自局アンテナ配置図及び周辺のテレビ受像状況
- アンテナ配置図
- (変更許可通知返信用封筒)
2.書類作成上の注意点
作成の上で注意すべき点は以下の通りです。
電波防護指針に関わる適合確認の計算書
- 電界強度の計算は、エレメントの先端から起算して、一番近い家屋のまでの距離となる。2階建て家屋の場合は、2階床面の高さ(3m)+人間の頭の高さ(2m)を考慮に入れ、地上から5mに防護する対象がある事となる。20mHのアンテナの場合は、エレメントとの垂直距離は15mとなる。アンテナからの距離は、水平距離との対角線長となる(「免許印刷」では、人間の頭の高さを予め考慮して計算をしてくれる)。
- 概して28MHzの計算値が厳しい。3eleトライバンダーを28MHzのアンテナとして使ったが、フロントゲイン6.8dBを考慮に入れると電界強度の計算値が基準値を超えた。多エレメントのアンテナはもっと厳しい。この為、垂直方向のビームパターンによる減衰(俯角減衰)や同軸ケーブルの減衰を考慮に入れる必要がある。 但し、考慮に入れる場合は、減衰量が証明できるメーカーのデータを提出する必要があるので、私の場合は俯角減衰量だけとした(アンテナメーカーからデータを入手)。
- これらの計算書を添付した(電波防護指針付属計算書)。
1KWでの発射周波数の制限について
- アンテナの関係で3.8MHzを変更申請の対象外とするために、3.8MHzでの出力低減措置方法の説明書(アンテナが共振しない旨の説明)、3.8MHzでは1KWを出さない旨の誓約書を提出した。1KWの許可を必要としないバンドがある場合は、同様な書類を提出するとすんなりと通る。
周辺図
- 電波障害に注意すべき施設(病院、警察、消防署、他の公共設備)の有無を表す地図を作成する(私のケースでは半径500mで作成した)。
自局アンテナ配置図及び周辺のテレビ受像状況
- 自局アンテナ配置図として、アンテナの水平図・垂直図、直近の家屋との距離を表した図面を作成する。この距離に基づき、電波防護指針の電界強度計算を実施する。
- 自宅周辺のTVの受像状況(地上波、ケーブルの別)の地図を作成する。この図に基づき、インターフェア調査実施報告書の実施箇所の地図を作成する。
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局免印刷
【申請書類のサンプル】
(画像をクリックすると大きくなります)
申請書に付属する書類一覧
電波防護指針に関わる適合確認の計算書
電波防護指針付属計算書
アンテナの垂直面指向性
1KWでの発射周波数の制限について
周辺図
自局アンテナ配置図及び周辺のテレビ受像状況
アンテナ配置図
交流アースの装備
フィルター類の装備
インターフェア調査用紙
(画像をクリックすると大きくなります)
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◆変更許可通知の受領
総合通信局より「変更許可通知」、「必要な手続きの概要説明書」、「提出書類の様式」が送られて来ます。この中には、登録点検事業者の利用についての案内もあります。
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2.設備の整備
◆無線設備の整備
インターフェア対策の基本を守り、安全対策にも配慮することをポイントとしました。特に、古いリニアアンプを使うために、事前にこれらの整備を十分に実施しました。
1.フィルター
コモンモード対策で次のフィルターを装備しました。
2.電源
次の電源強化を実施しました。
- リニアアンプの為に、AC200Vを引いた。
- ノイズ対策として、複巻きトランスを装備し、一次側とのアイソレーションを考慮した。
3.アース
シャックが2階なので高周波アースは装備出来ないので、「安全対策」、「ノイズ対策」、「無線機の安定動作確保」の為に交流アースを装備しました。交流アースの重要性はなかなか理解されず、高周波アースが取れない環境ではおざなりにされがちです。アースの概要は次の通りです。
- 10cm幅の銅版を壁に這わせ、アース母線とした。
- アース母線から30cmくらいのアース線を出し、各機器に接続し、個々のアース線には高周波を遮断するために、トロイダルコアを使った高周波フィルタを入れた。
- 地上にアース棒を3本打ち込み、アース母線に接続し、その間の配線に高周波が乗らないように、2mおきに高周波フィルタを入れた。
アースが身を守る! (実話)
その日は、今にも雨が降りそうな日でした。
外出から戻り、シャックの無線機の前に座り、ふと一息ついた時でした。 何処からともなく、「パチッ!パチッ!」という放電音が聞こえてきます。リニアも点けていないし、放電が起きる理由が判らず、なんだろうなと思い音を頼りに、音がする場所を探しました。すると、ミニコンポの筐体と受信機の筐体の、わずか5mmの間で火花が飛んでいました。
初めは、ミニコンポの電源のリークが原因だと思いましたが、連続して火花が飛ばず、1〜2秒おきに火花が飛んでいたので、直感的に帯電が原因だと思いました。 よくよく考えてみると、ミニコンポにはタワーの頂部に取り付けてあるVHF用の多素子の ログペリが繋がっています。それだと思い、コネクターに触れないようにアンテナを外し、 窓枠にアンテナコネクターを近づけたところ、コネクターから窓枠に火花が飛び始めました。
タワーはフルアップで、ログペリは地上高25mなっています。空電によりログペリが帯電して、 そこから火花が飛んでいたのです。 雨が降りそうな空ではありましたが、雷鳴や稲光は全く無く、まさかアンテナが帯電するとは 思ってもいませんでした。知らずにコンポに触っていたら、感電していました。電源を差し込んでいても、電位は下がりません。
改めてアースの重要さに気がつきました。 勿論、それから直ぐにコンポにもアースを取ったことは言うまでもありません。 シャックにはアースの母線が設置されていて、そこから全ての機械がアースされています。
空電時にアンテナコネクターから火花が飛ぶのは、一度ならず経験しています。 アースが不完全だと、機械が帯電する事は明らかです。 帯電やレアショートの漏れ電流から身を守るために必ずアースは設置しましょう。 また、帯電に弱いCPUが搭載された無線機を壊さないためにも。 但し、雷の直撃を受けた場合は助かるすべは有りませんが・・・。
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◆試験電波発射届の提出
周辺設備の整備完了後、無線機の調整、インターフェア調査の実施のために、試験電波発射届を提出しました。
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◆インターフェア調査
近所へのインターフェア調査のポイントは次の通りでした。
1.調査用紙の準備
総合通信局より変更許可通知とともに送付されてきた「規定様式」をそのまま使用し、調査用紙としました。
2.近所への調査協力依頼
調査依頼のポイントは次の通りです。
- 事前に総務省からの指示(言い方として)で調査をする事、調査の方法、調査用紙の記入方法を説明した。
- よほど親しくないと家には上がらせてくれないので、その家の方に調査を実施してもらう事を前提と考えた。
- 調査範囲は、TV、インターフォン、ラジオ、電話、ステレオ。
- 実施時間は、近所の方が十分に確認でき、あまり時間を取らせない様に15分間とした。
- 年配の方も居るので、複雑な調査や記入方法をお願いすると、意図した通りに実施してもらえない。○×と簡単なコメントくらいに留めるべき。
- 相手も忙しく、忘れることが有るので、実施時間の直前に確認を入れた。
- 1回に実施する件数は多い方が効率が良いが、相手の都合もあり、なかなか意図どおりには行かないので、調査は何日かに分けて実施した。
3.試験電波の発射
試験電波発射のポイントは次の通りです。
- 予め発射する時間と周波数を決め、15分間を、1分発射/1分休止と区切り発射した。こうする事により、後で障害が出た時間を聞いたときに、概ねどのバンドが原因かの見当がつく。
- ローテータで回転が出来るアンテナは、回転をさせながら電波を発射した。障害はフロント方向が出やすいので、回転範囲を対象のお宅の±45°位に限定しても良い。
4.調査用紙の回収
調査用紙回収時のポイントは次の通りです。
障害が無いお宅の対応
- 調査用紙に署名をお願いした。署名欄と捺印欄があるが、自筆の署名だけでも良いので、捺印は個々のお宅の方の判断に任せた。
- 調査用紙は総務省に提出することを説明し、控えのコピーを後日お渡しした。
- 今後のフォローとして、障害が発生した場合は責任を持って対応することを約束し、直ぐに連絡ができる携帯電話の番号をお渡しした。 (総合通信局や調停機関に直接連絡をされないためにも重要)
障害が発生したお宅の対応
- 責任を持って対策を実施すること、後日、改めて対策を実施することを告げた。
- その場で日程を約束できる場合はその場で実施した。
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◆インターフェア対策
インターフェア対策に関しては、ケースにより異なり、ノウハウに関する文献も多いので、ここでは流れだけを紹介します。障害対策は次の手順で実施しました。
1.事前準備
電波を出しながら対策を実施するので、ローカル局への協力依頼が必須。ご近所の信頼を得るために、迅速かつスマートに対策を実施することが重要なので、フィルタ類は事前に準備しておく。無骨な自作品は、安全性の点で不信感を与えるケースがあるので十分に注意が必要。
2.障害の再現
直接お宅にお邪魔して、そのお宅の方の立会いのもとで障害を再現させる。これが出来ない場合は、確実な障害対策が困難となる。調査と同様な方法で、各バンドで電波を発射し、障害が出るバンドやアンテナの方向を特定する。
3.障害の状況の確認
「音声が入る」、「画像が乱れる」、「雑音が入る」、「異常動作をする」等の障害の内容とその程度を確認する。
4.電波混入ルートの特定
「電源から」、「アンテナから」、「外部接続ケーブルから」等。
5.対策の実施
以上の状況より判断し、事前に準備した中から最適な対策を実施する。一回で解消出来ない場合は、カット・アンド・トライとなるので、時間がかかり、お宅の方のご理解が必要となる。
以下に、参考のために私が実施した障害対策事例を紹介します。
【BCIが発生したお宅の対応】
- 14MHzで送信すると、ラジカセのAM放送に音声が混入する。AC100Vを電源として使っていたので、電源のコモンモードフィルタを入れたが改善しなかった。良くお話を聞くと、普段はCDを聴くのみでAMラジオは殆ど聞かないとの事。ラジオは調査依頼があったので調査しただけで利用には支障が無いとの事で、問題ないと了承を頂いた。このケースでは相手の話を良く聞くことが重要だった。
【TVIが発生したお宅の対応】
- TVの1チャンネルの画像が乱れる。その後、他のチャンネルも画像が乱れるとの申告がある。調査時に、たまたま停波状態で現象が発生したので、別の原因と推定。TVのアンテナケーブルが外れかかっていたので、接続を確実にしたところ障害解消。そのお宅の方も納得し、障害無しで署名を頂いた。
【インターフォンIが発生したお宅の対応】
- 14MHzで送信すると、カメラ付きインターフォンが鳴動。親機の電源回路、子機との信号ラインにトロイダルコアで作ったコモンモードフィルタを挿入したが、症状は軽減するも解消せず。製造元であるパナソニックの修理窓口に相談し、ST101というフィルタを紹介してもらった。これを2個挿入し障害解消(効果の大きさに驚いた)。本フィルタに関する記事がJK4USW定金氏のページに詳細に掲載されています。
【小型TVにTVIが発生したお宅の対応】
- 特定の方向にアンテナを向け14MHzで送信すると、小型TVの画面に縞が発生し、音声が混入。電源ラインにコモンモードフィルタを挿入し音声の障害解消。アンテナ、ビデオラインにコモンモードフィルタを挿入し画面の障害解消。結局、ご主人の意向により、電源のコモンモードフィルタは外す(人目に触れる所に設置され邪魔との事)。インターフォンIの対策で、フィルタを付けさせて頂き、TVにまで多くのフィルタを付けたので、心象を害したらしい。「障害軽減の為にはフィルタを付けたほうが良い」という理屈では解決できず、障害が発生しない様な運用をする事で了承を得、署名を頂いた。障害が残った場合は、今後の運用のために、障害の内容と、障害が発生する条件(周波数、アンテナの方向)を把握しておくことが重要となります。
インターフェア対策を完了した結果、近年はケーブルTVが普及しているために、TVIは想像以上に少ない感想を持ちました。結局、TVIは1件のみ2階の小型TVで発生し、居間にある大型TVでは皆無でした。
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◆インターフェア調査結果の報告
前述の通り、インターフェア調査結果は近所の方に記入してもらいますが、インターフェア対策結果はこちらで記入した上で近所の方に見て頂き、署名をしてもらいます。注意点として、利用上で支障が無い場合でも、インターフェアを解消せずに「運用上で回避する」旨を報告すると、局免交付時の「指示事項」として、インターフェアの解消及びその措置報告を求められます。(「4.免許交付」参照)
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3.検査
◆登録点検事業者への検査依頼
検査には国の検査を受検する方法と登録点検事業者を利用する方法が有ります。私は、やり易く、精神的な負担が軽いと思われる登録点検事業者を利用する事としました。検査時のトラブルを避け、検査完了後に即座に落成届を提出するために、次の事前準備を実施後に検査依頼をしました。
- インターフェア対策が完了していること (特に、自宅のTVIが無いこと)
- インターフェア調査結果が揃っていること (調査用紙に署名を貰っていること)
- 設備の動作確認が出来ていること (申請の送信機・アンテナの正常稼動、出力)
- 検査対象の書類等が揃っていること (下記「書類等の検査」参照)
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◆検査の受検
検査の流れは概ね以下の通りでした。
- 書類等の検査 予め点検事業者の方が準備してきた点検表に従い書類を確認。従来の役所の検査と同一で、検査対象は、「申請書類(控え)」、「無線局免許状」、「無線従事者免許」、「無線検査簿」、「業務日誌」、「時計」、「電波法令集(有効期間内)」、「変更許可通知書」。これらは、予め机の上に並べておくと検査が早い(役所の検査受検では常識)。
- パワー測定 各バンドで、終段部の電圧、電流(入力の計算)。出力の実測。
- スプリアス確認 スペアナを使い、規定内に入っている事の目視確認。
- 実通及びTVI確認 適当なバンドを選び、実際に交信をする。その間に、点検事業者の方は自宅のTVにインターフェアが無いかを確認する(近所の調査はしない)。
以上、1時間以内に完了しました。問題が無ければ簡単な検査だと思います。
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◆落成届の提出 検査の受検後、登録点検結果通知書が交付されるので、これに工事落成届等を同封して、総合通信局へ送付します。送付書類は以下の通りです。この後、総合通信局で「書面検査」が実施され、問題が無ければ無線局免許状が交付されます。
- 工事落成届
- 登録点検結果通知書(登録点検結果通知書:書類検査のチェックリスト等、無線設備実働試験結果通知書:実通の交信記録、送信機試験成績表:パワー測定の記録)
- インターフェア調査状況報告書:インターフェア調査箇所の地図
- 電波障害調査依頼書:署名を貰った書類
- (無線局免許状返信用封筒)
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インターフェア調査状況報告書
(画像をクリックすると大きくなります)
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4.免許状交付
◆無線局検査結果通知書と無線局免許状の送付
落成届を提出してから1ヶ月弱で無線局検査結果通知書と無線局免許状が送付されてきた。無線局検査結果通知書には、合否の結果と指示事項の有無等が記載されている。私の場合は、「放送の受信に支障を与えているので、相当措置すること」という指示事項が付されていた。前述の通り、TVIとBCIが残ったお宅があり、そのお宅の方と運用で回避する旨の同意を得たので、署名を貰うためにその旨をインターフェア調査報告書に記載したが、これに対して役所からは「TVI等につきましては、隣人の了解が得られたといたしましても、当局といたしましては、看過することはできませんので・・・」と、措置の実施と1ヶ月以内の報告を指示された形となった。同意ではなく、インターフェアの有無が問われるので、この点には十分に注意が必要である。
◆措置報告書
上記のインターフェアは、近所の方に事情を説明し、強化した電源コモンモードフィルタを取り付けさせて頂き、何とか解消をして事なきを得た。その旨を措置報告書に記載し提出した。
以上
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