【ギルガメシュ叙事詩のあらすじ】 物語の主人公ギルガメシュはウルク(現在のイラク中南部にあった都城)の王で英雄、暴君でもある。なかでも彼が都の娘を強奪する蛮行に耐えかねた人々は神に救済を求める。神は民の願いを聞き届け、エンキドゥという勇者を粘土で作り、地上の野獣たちとともにウルク郊外に置いた。エンキドゥを目撃したものからの報告を受けたギルガメシュは娼婦を遣わしエンキドゥを誘惑させる。エンキドゥがウルクにやってくると早速、二人の英雄は格闘を始めるが、その結果二人は互いの力を認め合い、友情が芽生える。 二人はウルクの安逸な生活を嫌い、遠方の森に遠征し森番フンババを征伐する。恋多き女神イシュタルはギルガメシュの勇姿に魅せられ誘惑するが、ギルガメシュは応じず嘲笑する。激昂したイシュタルは神々に訴え、神は「天の牛」を遣わした。戦いの末「天の牛」を倒したエンキドゥは、神々により死を宣告され12日間の闘病の末死ぬ。悲嘆にくれたギルガメシュは永遠の生命を求め、不死を得たとされる聖王ウトナピシュティムを訪ねるため旅に出る。ここで聖王は、昔あった大洪水と、箱舟を作って洪水から逃れたという自らのエピソードを語る。永遠の生命の秘密はただ神々のみが知っているだけで聖王さえ知らないという回答にギルガメシュは落胆するが、帰る間際に聖王から海底にある永遠の若さを保持できる植物について聞き、その植物を得て勇躍帰路に着く。しかしギルガメシュが油断した隙に蛇がその植物を食べてしまう。失望したギルガメシュはウルクに辿り着く。(叙事詩はここまでで終わっている。) マルティヌーはこの長大な叙事詩の中で前半部分と、エンキドゥの死及びギルガメシュの嘆き、永遠の生命を求める終盤部分を中心に抜粋してオラトリオにしている。 |