ライフゲームの起源
ライフゲームは1970年、まだコンピューターの黎明期にイギリスの数学者ジョン・コンウェイが考案したゲームです。普通のゲームの様にプレーヤ(競技者)がいるわけではないので、コンウェイは0人ゲームだと言っています。
ゲームの規則は単純ですが、生まれてくる結果は、ちょうど囲碁のように驚くほど複雑、豊潤です。
生物界、地球環境、文明の興亡との類似
ライフという命名のとおり、これは生物の集団が生まれ増殖して繁栄し、やがて過密で衰退していく様を、極度に単純化したモデルと考えることもできます。そう考えると何だか地球の人口問題のようでもあり、また歴史上の文明の興亡のようでもあり、興味深いのではないでしょうか。
オートマトンとの関係
ところがライフゲームのもう一つの側面として、これがコンピュータの理論モデルにもなるということがあります。ライフゲームは、コンピュータの理論モデルとしてノイマンが考えた自己再製オートマトンの一例になっているのです。
参考文献1と4には、ライフゲームの4つのユニット(グライダー、グライダー砲、イーター、ブロック)を組み合わせて、ANDゲートやORゲート、記憶素子等を実現する方法が具体的に示されています。
人工知能、進化論との関係
さらにコンウェイによれば、「十分な広さをもったフィールドで十分な時間をかければ、たとえランダムなパターンから出発したとしても、ライフゲームがコンピュータに進化する確率はゼロではない」というのです。このことはライフゲームから自然発生的に知的機械(人工知能)が出現することを暗示しており、何とも興味深い話です。
現実になぞらえると、地球生誕から何十億年もの化学反応(分子の組み合わせゲーム!)の試行錯誤を繰り返し、生命やDNA が生まれ進化の最終段階で人類が登場したことを、シミュレーションしているわけで、まさにライフという命名にふさわしいゲームだといえるでしょう。
カオスとの関係
「簡単な規則で記述できるのに、初期条件がちょっと変わるだけで結果が一変してしまうシステム」をカオスと言います。この定義に従えば、ライフゲームはカオスであると言えます。
カオスには有名なバタフライ効果という例え話があります。これは「北京で今日蝶が羽を動かして空気をそよがせたとすると、来月ニューヨークでの嵐の生じ方に変化がおこる」(参考文献5)というものです。極端なたとえ話の様に思うかもしれませんが、これに似た現象はライフゲームではよく見かけられ、「ライフ博物館」でもいくつか紹介します。