園芸巻柏の概要

本題に入る前に ちょっと一言
この Web は気が向いた時に少しずつ作ったので、継ぎ足しで構成されており、
閲覧していく中で、重複する記述が多々あるかと思いますが、ご容赦頂きます。

また、無教養な管理人は、趣味の参考書以外の書物を読んだ事が無く、新聞も読まず、
ニュース等はもっぱらテレビに頼っています、その様なわけで、文章の構成においても、
正しい句読点の扱いも解りません、読み難い事は重ねてご容赦の程 お願い致します。

園芸巻柏の概要

 現在知られている園芸巻柏の最も古い記録は、今から約300年前の元禄七年(1694)に
発行された「花壇地錦抄」が始まりで、葉の長短で2種類に分けた記録があるそうです。

斑入りの記録は、それから130年後の文政10年(1827)に発行された
「草木奇品家雅見」に、「いただき岩ひば」と記された図の掲載が有るそうです。

その2年後の、文政12年に発行された「草木錦葉集」には、現在の「唐花」や「蜀光錦」
及び現在の「西ノ有明」だと言われている品種を含む、5種類の掲載が有るそうです。

 この園芸巻柏の歴史に付いては、後の項に譲るとして、ここでは今まで巻柏に馴染みが
薄かった方が、これを閲覧頂く為の予備知識として、江戸時代から幾多の先人達の手に
よって作出されてきた園芸巻柏変化種の、色彩や形態等の概要に付いて触れてみます。

前述の「草木錦葉集」が発行された、僅か十数年後の天保14年(1843年)には、56品種を
掲載した「東都岩檜葉名寄取組」が発行され、その品種構成を見ると、葉形や色彩において、
様々な容姿の品種が見られ、形態や色彩の類別基準となるものは、出揃った感が有ります。

さらに17年後の萬延元年(1860年)に、東都植木屋連中により発行された 岩檜葉名寄では、
掲載された85品種が、特徴別に分けた形式になっています。  (詳細は後の項に譲ります)


 
原種の岩檜葉は、長年繰り返されてきた繁殖の中での、微妙な遺伝的変化や、自生地の
環境等で葉形や葉組に違いは見られますが、殆どが緑色で檜の葉の様な形をしています。

それに対し園芸巻柏は、葉の形や色彩が観賞価値が高く変化した品で、株分けや
挿し芽で繁殖しても、その特徴が小苗に遺伝して、同じ特徴を現す個体です。

園芸巻柏として選抜された特徴の概要 詳細は用語の項を参照下さい


葉の形による選抜 

常葉


左端のものが原種に近い基本的な葉形です。

野生種の様な檜の葉の形でも色彩に変化の見られる事や、葉組が密な事、
逆に葉組みが粗い、葉が太い、細い、短い、鱗が荒い等、野生種に比べて、
葉の違いが明らかで観賞価値が高い葉形を、常葉と表現し選抜されています。

右端は「華鳳」の若株の葉です、基本的に常葉と判断すべきでしょうが、
ある程度大きくなった株では、茂りの良い一本葉の様に見えます。

ここ写真に紹介したのは、常葉と呼ばれる葉形の中の一部ですが、
御覧の通り常葉と言っても、葉形の違いは千差万別です。


 龍葉


全く枝状にならずに、一本のまま紐状に伸びる葉に変化したもの。


 手葉 


芽だし時は一本葉で伸びて、やがて葉の先が複数に分岐して、手のひらのようになった葉。 
 
巻柏の葉形を表現する時は、基本的にはこの三種の形態で表現しますが、
これらの異なる葉が、混在する品種もあり、幾多の形態が構成されています。

 

色彩による選抜

萌黄葉類


葉の地色が萌黄色をした品種です。
この類に属する品種の大方は、同系色の曙斑も表します。

写真の左側は「月光」です、右は「栄獅子」の細葉変化種で、一名「金糸雀」
と言われる品種です。同じ萌黄葉類の檜葉形の常葉でありながら、
葉幅の違いによっても、印象が全く違って見えますね。



 曙斑類 

特定の季節になると、葉の中央又は葉の先などから、白や黄色などの地色と
異なる色彩を表す品種で、その色彩や斑の形、現れる面積なども様々です。

この斑はその年の気候や日照、又は肥料や管理等で、色彩の濃淡に影響が現れます。

以下の4枚の画像は、クリックすると大きな画像が見られます。
   
有 明            貴美錦

   
金麒麟            雲井鶴

 大別でも曙斑の仲間に入れるべきかどうか迷う所ですが、砂子斑類も気候や
管理が色彩に大きく影響します。 そのほかにも迷って、その他の斑物類と
表現する事のある非固定の斑を表す品種もあり、この形態も千差万別です。



 固定の斑
 
若葉の出芽時より葉の一部に、白や黄色等の地色と異なる色彩を有する品種で、
一度現れたこの色彩は、季節や管理に関わらず、落葉まで数年現れています。

葉先のみに小さく現れる爪斑と、出現場所や斑の大小を問わない刷毛込み斑が有ります。
次の2枚の画像は、クリックすると大きな画像が見られます
   
   爪 斑 高 砂     刷毛込斑 瑞光錦

 その他にも季節斑と言うべきか紅葉というべきか、夏は緑一色でありながら気温の低下と
共に、赤や焦げ茶色に、近年では銀杏の黄葉の様な、澄んだ黄色になる品種も有ります。


容姿による選抜

 葉の形とは別に葉の性質が立ち性、平性、下垂性、受け葉性、獅子性(巻き込み)など、
その性質が特有である事により、ひとつの品種として選抜されているものも有ります。

また大きくなるに連れて、自然に盆栽風の形になるものや、球形、
半球形になるものなど、品種によってその性質も様々です。

 以上のように 色彩、葉の形、容姿、等の各要素が相まって、
色々な特徴を持つ幾多の品種が形成されています。

しかし巻柏は隠花植物ですから、人為的に交配して改良種を作り出すのは極めて困難です。
これらの品々は一朝一夕に出来たものではなく、僅かな変化も見逃さず、それを保護して
年数を掛けて繁殖させて来た、巻柏をこよなく愛した幾多の先人たちのお陰でも有ります。

中には自然界では、生息がやや困難では無いかと思う品種も有りますが、これも先人達の
経験と培養技術が引き継がれ、消滅する事無く何処かで育成されているのです。

 私も巻柏をこよなく愛する一人です、私が巻柏に携わる期間は、長い巻柏の歴史の中では、
ほんの一瞬に過ぎませんが、私の経験を基に書いたこのWedが、巻柏愛好家のみなさんに、
一部でも参考にして頂ければ幸いに思います。

 おいおい、今日はどうしちゃったんだや、馬鹿にかしこまった事を書いて居んじゃね〜が、
せっかぐ、ちった〜 春めいて来たちゅうのに、これじゃ〜、あしたの日光やまは雪だんべ〜。


         
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