光鳳園の、培養の手引き

光鳳園では「いわひば 作り方楽しみ方」と言う小冊子を、昭和42年から発行していました。
培養の手引きとなる参考記述が、皆無といっても過言で無かった当時、初心者にとっては、
とても貴重な参考書であり、手軽に見られる便利さも手伝って、大好評だったそうです。

昭和40年代末頃から始めた私も、この恩恵に授かり培養のいろはを会得してきました。
平成の始めまで増版発行されていましたが、残念ながら現在は発行していないそうです。

光鳳園発行の 「 いわひば 作り方楽しみ方 」

以前に頂いた「作り方楽しみ方」が
保管して有り、光鳳園のお許しを
頂きましたので紹介します。

この 「いわひば 作り方楽しみ方」は、
昭和59年に発行された、第28版の
内容です、培養の参考にして下さい。

      

      

      

各写真をクリックすると、ページの文字を転記した箇所にジャンプします。


 表 紙 (写真は石付けした玉獅子)
 イワヒバは、江戸時代から栽培されてきた
古典園芸植物で、その葉形や葉姿の美しさ
から近年楽しむ方々も増えてきました。
ここでは、イワヒバの栽培管理からふやし方
について解説いたします。
光鳳園  岡島 秀光
        岡島 雄一郎

栃木県 宇都宮市 

 
イワヒバの品種 (写真は 金冠)

イワヒバの園芸品種は、元禄時代のころは2品種であったものが、江戸時代末期に
85品種となり、現在の品種は160余種を数えます。それらは、葉形、葉の色彩、葉性
などによってさまざまに分けられます。
 ● 葉形  ヒノキの葉形に似た檜葉形、竜の葉といわれる枝のない一本葉、
        それらの組み合わさったもの、サンゴのような葉形などが有ります。
 ● 葉色と斑 色彩では緑色の濃淡と黄色に加えて、色彩の徐々に変わる曙斑、
        特定の季節に葉の一部が色変わりする季節斑などの斑ものがあります。
        なかでも全品種数の約60%をしめる曙斑が主流です。
 ● 葉性  葉性(葉の姿)では、立ち性、平性、下垂性、巻き込み性など有ります
        (2ページ図参照)。 このほかに葉幅の広狭、葉肉の厚みなど、さまざまな
        要素が組み合わさって品種を形成しています。         写真に戻る

2ページの写真
  

イワヒバの成長と休眠

■ イワヒバの生長  
  イワヒバは春から夏にかけてが生長期です。1年間で倍に生長します。
  また、芽ぶきから4〜5年で新旧葉が人れ替わりますので、観賞葉はだいたい
  4年間茂ることになります。不十分な管理では芽ぶきが悪く、色彩も冴えなくなります。
■ イワヒバの休眠(冬眠)
   ―方、イワヒバは冬を迎えると、葉を巻き込んでしまい、潅水しても葉が開きません。
  初めての方は、枯れたかと思うかもしれませんが、イワヒバの習性で、休眠といいます。
  休眠明けは、サクラ(ソメイヨシノ)の咲くころで、この前に葉が開いたとしても再び巻く
  ことがあります。潅水はサクラの開花を基準に始めるようにし、休眠期には与えません。
  休眠期には、戸外に 置いたままで冬を越させる(自然越冬)か、雑木の落葉期に入ったら
  潅水をやめて自然に乾燥させ、小屋や軒下に取り込みます(乾燥越冬)。  写真に戻る

  (3ページの写真は、休眠中のイワヒバ)
イワヒバの栽培管理

■ 用土と鉢
  イワヒバは鹿沼土、軽石粒など粒状の、水はけがよく、水保ちのよい用土がよく、
 泥や微細土を除き、鉢の下半分には大粒のものを人れ、根の細部は中粒で植え、
 表面には化粧用に小粒のものを置きます。
  鉢は育苗用には素焼きの鉢を用い、観賞用として支那鉢、瀬戸鉢などがよろしい。
■ 潅 水
  春と秋は1日1回、夏は朝タ2回与えます。冬の休眠期には与えません。
 イワヒバは乾燥に強く、夏でも10日くらい潅水しなくても枯れません。
 なお、腰水はよくありません。
■ 肥 料
 イワヒバは本来、草も生えないような岩地に自生しているもので、肥料は少なめが原則です。
 10cm鉢で、油かすに骨粉を1割程度混ぜたものを2〜3つまみ程度が適量です。
 化学肥料ならば緩効性の固形のもので、アズキ大のもの2〜3コで十分です。
 施肥期は開葉半月後(葉ザクラのころ)から初夏までで、油かすなどでは、1か月おきに
 施します。化成肥料は春1回です。
■ 日照と斑の関係
 イワヒバの園芸品種の約60%が曙斑類です。
 春には一面緑色であったものが、葉先から 白黄色の斑が徐々に広がって、夏には
 全葉におよぶといった変化をする品種を曙斑類といいます。
 曙斑は日照によって生じ、日陰では全然といっていいくらい色の変化が見られません。
 イワヒバにとって、中でも曙斑類は日照の加減ひとつで、色彩を濃くも淡くも好みの色に
 することが可能です。
 なお、さまざまな品種のうちで、とくに盛夏の強い日照を30%程度遮光したはうがよい品種  (有明、金宝錦、宝獅
子、玉姫龍、白雲龍、富士之華、楊貴妃、花車、麗峰、龍之王、など)  や、日陰でないと特徴のでない品種(峯乃
雪、白王龍、など)があります。  写真に戻る

■ 植え替え
イワヒバは、できれば毎年植え替えを
行います。
時期は、イワヒバの―番育つ人梅前に
終えれば理想的です。

鉢から抜いて、根の底部をていねいに
広げ、イワヒバの大きさよりも大きめの
鉢を選び、植えつけます。

 植え終わったら鉢底から水が流れ
出るほど十分に潅水します。


■ そのほかの管理上の注意
 ● 剪定しない  イワヒバは生長するにつれて下葉が落ち、根立ちして、自然に盆栽風に
    仕上がってきます。剪定してつくるものではありませんし、根も切りません。

 ● 枯れ葉を除去したら  枯れ落ちた葉は根に付着して、根からの水分の発散を防ぐ
    役目をしています。枯れ葉が目ざわりで除くようなときは、代わりに水ゴケを薄く根に
    巻いておきます。                               写真に戻る

 ● 温室は不可 イワヒバの葉は無数のウロコで覆われています。
    温室で育てると、徒長してウロコとウロコの間が空いてきます。
    温室つくりのものは軟弱で、戸外の管理に耐えられませんし、
    色彩もはなはだしく劣るので、温室の栽培ではよくありません。
 
 ● 病気と害虫 イワヒバは水はけの悪い場合の根腐れ以外には、傷むことが少ない
    植物ですが、ツトムシの被害にあうことがあります。
     安全のため、草花用の殺虫剤を2か月に1回程度の割合で散布します。
    薬剤があまりに濃いと薬害にかかることがありますから、規定にしたがって
    散布することが大切です。
 (5ページの写真は、金龍です)                          写真に戻る


イワヒバのふやし方

 イワヒバをふやすには、さし芽、株分け、胞子まきの3つの方法が有ります。
その中で胞子まきは、発芽したもののほとんどが緑―色の原種に戻ってしまいますので、
ここではさし芽と株分けについて説明します。どちらも入梅前が適期です。

■ さし芽
 ● さし芽の要点  
右図のように、3〜4年を経た葉の葉先を
 3〜5cm 切りとって、培養土に並べます。

 イワヒバは、下葉の元から根がでるのではなく、
葉先が分けつして発芽して きますから、
葉先が用土に密着するよう に注意します。 

 さし芽というよりはむしろ「寝せ葉」になる
 わけで、葉を小石や水ゴケでおさえて
 葉の移動を防ぎます。

約1か月で発芽をみますから、
そのあとで小石をとり除きます。
水ゴケはそのままにしておいてよろしい。

  ● さし芽苗の管理  日当たり、通風ともにやや悪い場所がよろしい。
    潅水は表面に湿りがある程度を目安にし、1〜2日に1回くらいになるでしよう。
    肥料はまったく与えません。芽は秋に約1cm ぐらいの大きさになります。
    戸外での乾燥越冬に十分耐えられます。 翌年の春に移植をします。  写真に戻る

■ 株分け
  株分けは、さし芽苗の移植の際、数芽ごと取った子株を分ける場合が多いのですが、
 子株をはずす、1株ものを割るなどの方法もあります。
 根の配分と根落ちに注意し、堅く組み合った根は水で洗いながら分け、むずかしいものは
 刃物を少し入れて割ります。 株分けは多少の根傷みは避けられません。
 植え付けたものは日当たり、通風ともに少々悪いような場所に置き、勢いのよいものから
 順次普通の場所に移します。
  (7ページの写真は、金麒麟と栄獅子です)


巻 柏 の 適 照 表

 8ページ 〜11ページまでは、日照適合表になっていますが省略しました。
 200余種が掲載されていますが、その大方は、このページの「品種別日照適合表」と、
 大差はありません。 見たい方は ここをクリックして、ジャンプしてください。
 
※ 枠外に記された参考記述 
  強日・・・ 1日 5〜6 時間以上の日照
  中日・・・ 1日 3〜4 時間の日照 又は白の寒冷紗で遮光
  弱日・・・ 1日 3 時間以下の日照 又は黒の寒冷紗で遮光          写真に戻る 





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