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 飼い猫クロの「甘やかしのツケ」その2です。


趣味は眠ること?

 ネコの語源は、鳴き声の擬音語ネに接尾語のコがついたものらしい。しかし一説にネは寝るのネだとも言われるように、よく寝ている。

                 
                       < 座布団の上で >

                   
                     < 庭の挽き臼の石の上で >

            
                  < 丸いのが好きなので手水鉢の中でも >

            
                    < ヨーガ修行中の妻の膝の上でも >

                
                     < 冬にはコタツの中で >

 何の悩みもなくぐっすり眠り込んでいる気持ちよさそうな寝姿を見ると、些事にとらわれてあくせくしている身と引き比べ、これが幸福の姿ではないかと思うほどである。


食べ物 

 母ネコのミケは好き嫌いせず何でも食べた。残飯に味噌汁の残りをかけたのはむろん、野菜まで食べて驚かした。
 しかしクロは、キャットフードと牛乳、肉と魚とお菓子しか食べない。煮干しをやっても食べず、残飯には見向きもしないのである。甘やかすと好き嫌いが激しいというが、クロはまさしくミケに2倍幼猫扱いして育てられたせいか、贅沢だった。おかげで食事の残り物はまた次の食卓に載ることが多くなった。  

 水は、小皿に注いでやったのは飲まず、洗面所や風呂場にかすかに残っている水滴を、舌先でペチャペチャ音させながら舐め取るのが癖だった。
 私はコーヒーに牛乳を少し入れるのだが、その容器は机の斜め後ろに置いてある。時々ペチャペチャ音がするので振り返ると、クロが背伸びして前肢を台に乗せ、ちゃっかりコーヒー用の牛乳を舐めているのだった。そういうときに限ってクロ専用の小皿の牛乳は手つかずなのである。

 若いころはよくお菓子やパンの袋を口にくわえて外から戻ってきた。隣のおばあさんのおやつを失敬してきたのではないかと、妻とひそかに訝しんでいたものだった。


他の猫には弱い 

 家の中ではわがままに振る舞うクロも、他の猫に対しては弱気である。庭に野良猫が入ってきても、尻尾をふくらませて一応ギャーと鳴いてみることもあるのだが、たいていはただ見ているだけで、追い出すことは滅多にない。
 これも甘やかされて育ったのと、飼い主に似て争うことが苦手なのかもしれない。
 いつか鼻に大きなひっかき傷をつけて来たことがあったが、どこかで争って負けてきたのだろう。

 野良猫が家の中に入ってきても、ただ見てるだけのことがよくある。野良猫を見つけると目をつり上げ、うなり声を上げて激しい勢いで追い出しにかかったミケでは考えられないことである。
 いつかコタツの中に野良猫が入っていたこともあった。クロだと思ったら模様が違う。びっくりしてコタツ布団を跳ね上げるとさすがに飛び出して逃げていったが、それぐらいクロは野良になめられているのだろう。

 つい先日、家の中に入っていた野良猫に妻がびっくりして大声を上げたら、廊下伝いに逃げようとして突き当たりのガラス戸に猛スピードで激突し、固い大ガラスを割ってしまった。
 妻は、大きなひびの入ったガラスより野良猫の方を心配し、しきりに死んだんじゃないかと言って私に探させたが、無事(?)逃げ失せたと見えてどこを探しても見つからなかった。
 ドイツからの客を迎えるので、年末にしかしたことのないガラス掃除を妻の言いつけで私がやり、ピカピカに磨き立てたばかりだったのだが、一点の曇りもない素通しの大ガラスに気づかないでぶつかったものと思われる。やはり慣れないことはしない方がよかったか、と後悔した。  


狩りは名人級 

 その気弱なクロも、狩りとなるとミケ譲りの名人(名猫?)である。
 ネズミはむろん、スズメ、カワラヒワ、セキレイ、ムクドリ、ヒヨドリまで捕ってくる。我が家の庭は、クロの格好の餌場なのである。

                      
                          < スズメ >

                    
                         < カワラヒワ >

 インターネットで調べると、猫の17歳は長生きだという。実年齢に5掛けすると人間の年齢に相応するとあるので、それによるともう85歳の勘定である。
 それにしては元気で、老描とはとても信じられない機敏さである。

 以前に、動物は人間と違ってムダな殺生をしない、と何かで読んだことがあるが、それは嘘である。食べもしないアマガエルやモグラを、畳の上で放り上げては逃げるのを追いかけて捕まえ、いじめているのを何度か見かけた。
 ネズミやスズメでさえ、弱っているのをわざと放してはまた押さえて何度もいたぶっているのをよく見かけた。
 狩りの稽古なのかと思ったりもするが、いずれ残酷な習性である。その時の目つきは、山猫を思わせる野生に満ちている。


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