こんにちは!今回は宮古島の神秘の石庭のお話です。
石庭の主である新城定吉さんは、船井幸雄氏(船研)の著書である
「これから10年-愉しみの発見」に紹介されている方です。
約3000坪の自宅裏庭の土中に埋まっていた何トンもある大きな石を
たった一人で数百も掘り起こし、何とも不思議な石庭を創りあげられました。
私達はぜひその定吉おじさんに逢いたくて宮古島を訪れました。

<宮古島の神秘の石庭>

宮古島の神秘の石庭 ’96年3月、私達は沖縄・宮古島を訪れました。今回ご紹介するのは、宮古島に住んでおられる新城定吉さんという方ですが、その方の存在を知ったのは上記の船井氏の著書でした。この本は、著者が今後混乱が予想されるご時世に人類がそれを乗り越え、素晴らしい21世紀を迎えるだろうという確信のもと、上手な生き方の一つとして愉しみを発見し、愉しく生きておられる方々の実例をあげて、そのコツをわかりやすく紹介してあるものです。その中の一人として新城定吉さんは登場します。定吉さんは今年で80歳を迎えられますが、石を掘り起こし始めたのは60歳からだそうです。最初の5年間に30トンもある巨石を含めて約600個の石を土の中から掘り起こしました。しかも、誰の手を借りることもなくたった一人で、テコ棒と必要量のおもり(石)とバール(鉄棒)のみを使って掘り起こしたそうです。これには本当に驚きました。

 定吉さんが造られた石庭は宮古島空港の裏、車で10分程のところにあります。地元のタクシーの運転手の方に「新城さん宅の石庭」と言えば、どなたでもご存知で、今では観光バスもその石庭に立ち寄って行くそうです。私達も胸を躍らせ定吉おじさんの石庭へと向かいました。まず目にするのは、こじんまりとした民家ですが、チラッと見える庭を見るとそこが神秘の石庭であることは、すぐにわかります。勝手に中に入ってはいけないと思い、開け放たれた家に向かって声をかけましたが、どなたもいらっしゃる気配がありません。しばらく待っていましたが、帰って来られないので石庭だけ見せてもらうことにしました。

 個人の庭とは思えないほどの広さに蘇鉄がくっついた奇妙な形の石が見渡す限りにニョキニョキと立っていて、それはもう今までに見たことがない光景です。掘り起こされた石の一つ一つが全部見て歩けるよう庭の中には細い道が張り巡らされています。そして庭の中央あたりに12畳ほどの芝生があり、その周りを取り囲むようにまた石が並んでいます。そこへ来た時に初めて先客があることに気づきました。そして、その方々に説明をしておられる老人が、どうやら新城定吉さんらしいことが何となくわかりました。勝手に庭に入った非礼を詫びようと声をかけたところ「ここは自由に皆さんに見ていただきたいと思っているので構いませんよ。」とやさしい言葉をかけてくださいました。そして、ここを訪れた方はこの約600個の石の中に縁がある(何故か気に入ってしまう)石を必ず見つけるのだそうです。

 私達も多くの石の中から自分達が心惹かれる石に出逢い、まるで懐かしい人物に出逢ったかのような感覚がしました。さらに先述の12畳程の芝生の上を裸足で歩くと、そのどこかに居心地の良い場所があり、あまりの心地良さにいつまでもそこに居たいような離れがたい感じがします。その場所は人それぞれ違うようですが、地球の奥底と自分自身と天が一つに繋がっているのが実感できます。自分にとってのその場所を見つけた時、私は思わず大の字に寝転んで澄み切った空と向かいながら、自分がこの広い宇宙の中に一人の人間として存在して、こういう体験ができていることに深く深く感動しました。

 その後、定吉おじさんにいろいろとお話しを伺うことができました。定吉さんは50歳くらいまでは、人間は弱いから神を頼るのだと無神論者で、自分自身の能力にも自信があり、思い通りに生きてこられたそうです。そこに神の助けがあることなど考えもしなかったそうですが、少年の頃から白昼夢や夢でのお告げなどの不思議な体験は多かったそうです。ご自分が住まれる家も30代後半の頃に「おまえの住む家は平良にある」と夢で告げられ、外観から間取りまで夢と寸分も違わない家が見つかったそうです。それでも定吉さんは神などいない…という態度を取り続けてきたのです。しかし、度重なる不思議体験をするうちに次第と「自分は何か見えない力によって生かされているのではないだろうか?」と感じるようになりました。ある日のこと、道を歩いていると啓示的な言葉が浮かんできて「不思議が存在する限り神は存在する…神がいるから人が存在し、神と人は同じ空間にいる…」と、この時に初めてその意味を悟ったそうです。石庭造りもこういう体験の後に、あるきっかけで始められたものです。

掘り起こされた石  石庭造りの最初のきっかけとなった石は、以前から庭歩きのたびにつまずいたり、ズボンを引っ掛けたり、履物を取られたりする石で「邪魔な石だなぁ…」くらいにしか思っていませんでした。しかし、何となく気になる石で、まるで地中に生き物が寝ていて「一人では起き上がれないから、力を貸してくれ」と言っているような感じがしたそうです。ある日、伸びていた草が足に絡まり、その石の上に倒れて手足を怪我したことから、腹立ちまぎれにその石を取り除く決心をしました。初めは簡単に掘り出せる小さな石だと思い、シャベルで周囲を掘っていましたが途中で根石だということが判明し、掘り出すのに1週間もかかったそうです。重さは約1トンもあり、その石を立ててみたところ、人の顔が地上に置かれているような奇妙な感じを受けました。そこで上下を逆さまにしてみると今度は福禄寿の顔に見えてきたそうで「石とはこんな物体なのか…置き方や立て方で様々な姿に変化して、我々人間に想像力を与えてくれる…」と石の神秘を感じたそうです。その日から地中に埋まっている石を掘り起こして、石の形を見たくて見たくてたまらなくなったそうです。

 その日を境に毎日毎日、石と接していくうちに地球上の人間が一人一人、顔形や姿が違っているように石にも個性があり、人間と同じように心さえあるように思えてきました。そういう思いで石を見つめていると、「石を利用して石を動かす」というヒントや「おもりの紐はアンテナ線が良い」などの啓示のようなひらめきがタイミング良く湧き起こってきたそうです。そして2年後、掘り起こした石の数も増え、地元の新聞社やテレビ・ラジオなどの取材がくるようになりました。多くの見学者も訪れるようになり、ある日のこと二人の女性が定吉さんにこう伝えました。「この庭の一体一体の石柱から真っ白なテープ状のものが、十二支の方向と天体に向かって伸びていますが、途中で切れて浮いています。早く連結することで、人間が住める最後にできた神秘の島として、宮古島が地球のヘソのような位置となります。」定吉さんはそれを聞いて、尊くありがたい言葉だと素直に思ったそうです。

 石は長い長い地球の歴史を秘めた塊でもあり、小さな一個の石が大きな大自然の風景を想像させたり、石にくい込んだ貝殻にその貝が生きていた時代の海の美しさを感じたりします。地球上に姿を現しているほとんどの石は総て数億年からの熱光、風雨の沁み込んだ忍耐の魂が宿っています。石に秘められている神秘な姿の中に、私達人間に何かを語り知らせ、教え悟そうとしているように思える…と定吉さんは語ります。そして石には宇宙のエネルギーが込められているため石と出逢い、石の波動(エネルギー)と自分の波動を繋ぐことによって、生まれ変わったような素晴らしい気持ちになれるそうです。お話しを伺っているうちに、石は人間と宇宙を繋ぐ媒体のような気がしてきました。

 定吉さんは約600個の石を掘り起こし「この仕事はもう終わったな…」と掘るのを止めて2・3年経った頃、見えない声が「穴を掘りなさい」と定吉さんに言ってきたそうです。そしてその声が聞こえた近くに穴を掘り始めましたが、以前ほどの熱意が湧かず途中でやめていたところ、またその声にせかされました。仕方なくまた続きを堀り始めた時に下から冷気が立ち昇って、中を覗くと6畳程の空洞があったそうです。ある日、沖縄から来たという一人の女性がその穴のそばに座っていました。彼女は掘りかけの穴を指差して「あそこから人類の平和に役立つ光を放つ石が、あと少しで出現しようとしています。」と言いました。これは聞き捨てならないと定吉さんは思い、私達が訪れた当時もまだそこを掘り続けておられました。それらしい石は出てくるそうですが、これだ!と思う石はまだ出現していないそうです。

 あれから4年半が経ちましたが、その後どうなったのでしょう。定吉さんはある女性が石庭を訪ねて来られるのを待ち望んでおられました。その女性がどこのどなたであるかは定吉さんにもわからないそうですが、平和の石の出現に大きなお役目がある方のようです。地球上に本当の平和が訪れるまで、定吉さんは石を掘り続けられるのでしょう。そして、定吉さんは石庭造りを振り返って「若い頃でもできなかった30トンもの重い石を、60歳を過ぎて独力で立て起こしたのは、まさに智慧の力でした。地中に埋もれている巨石を掘り起こし、このような石庭を造るよう自分を導いた目には見えない不思議な力に様々なことを教えられ、今では心の底から感謝しています。」と語られています。

神秘の石庭 世の中には定吉さんのように石と心を通わすことができる方や作家の故・芹沢光治良氏のように樹木と会話をしたり、『愉しみの発見』にも紹介されているタンポポと話しをされる沖縄の新垣哲男さんをはじめ、自然界と心の交流をされている方がいらっしゃいます。その方々が共通しておっしゃることは、人間は誰でもその能力を持っていて、ラジオのチューナーを合わせるように意識のチャンネル(波動)を変えるだけで誰にでも可能なことなのだそうです。自然界のものとチャンネルが合っていないだけだとおっしゃいます。そして、一説によりますと地球が次元上昇(アセンション)するにあたり、動物・植物・鉱物などの自然界は準備が完了しているそうですが、準備が一番遅れているのは人間だけだとも言われています。

 しかし、あせる必要はなさそうです。本当に自分がしたいこと、やりたいことを心のままに行動していると定吉おじさんのように、自然に自分自身の内なる声に素直に従えるようになるのではないでしょうか?したいことが見つからないと思われる方は、取り合えず積極的に何でもやってみられるのも良いでしょう。一つ一つの体験からまた新たな発見や可能性が広がっていきます。私達も本を読んで新城定吉さんという方に逢いたい…という一心で宮古島を訪ね、神秘の石庭をこの瞳で確かめ、直接ご本人に逢って貴重なお話をたくさん伺うことができました。機会があれば、ぜひ神秘の石庭に満ち溢れるエネルギーを皆さんも感じてみられてはいかがでしょう。その時も定吉おじさんは元気に石を掘り起こしておられることと思います。

∞ 月ノ宮 沙季 ∞


※ 参考文献 : これから10年−愉しみの発見  船井幸雄著 (サンマーク出版) 
            宮古島の神秘の石庭  新城定吉著 (月刊沖縄社)        






            
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