朝の公園、ピンクのイルカが、暑さなんかへっちゃらな顔で、水しぶきをあげる準備をしていました。ピンクのイルカに出会うと恋愛が叶う、なんて噂がありましたっけ?
それを聞いて「いるわけないじゃないか」と笑うか、「探せば、いるかも・・・」と、ときめくかで、随分、気分の高揚感が変わってきますね。ピンクのイルカ、案外、街の中にもいるかもしれませんよ。
この夏、シンプルなタッチが素敵な絵の展覧会を、二つ、続けて観てきました。
一つは、お馴染みのスヌーピー。 カリファオルニアにあるスヌーピー美術館へ、いつか行きたいと思いつつ、なかなか行けずにいましたが、東京にも出来たと聞き、足を運びました。
入り口で出迎えてくれる、大きなフィギュアたち。
六本木の駅から少し離れただけなに、とても静かな通りに、美術館はあります。 スヌーピーの相棒、ウッドストックの澄ました看板が、道案内。 ところどころに嵌め込まれた、こうした看板も、いちいち可愛いのです。
中は、思ったより小さかったけれど、作者シュルツ氏の貴重な原画が観られたり、懐かしいグッズに出会えたりして、楽しめました。 館内のカフェでお料理を注文したら、犬用のお皿に模したプレートで出てきて、スヌーピーの仲間になった気分。この漫画に登場するキャラクターたちを、“ピーナッツ”と呼ぶけれど、カフェで出されるピーナッツクリームは絶品でした。
お土産に買ったのは、ルートビア。昔、ピーナッツ・コミックスを読んでいたら、キャンプに行った子どもたちが、ルートビアをよく飲んでいて、「どんな味なんだろう?」 「ビールなのに、子どもも飲めるの?」 なんて思ったものでした。 ずっと気になっていて、今回、初めて、飲んでみました。 お酒じゃなく、炭酸飲料です。 味は・・・、なんだか、うがい薬みたい。でも、一緒に飲んだ人は「美味しい」って言ってたから、好みの問題でしょうね。
これは、私の大切なコレクション。
雑誌『SNOOPY』です。昭和48年に、ツルコミックスという出版社から、毎月、発行されていました。 欠かさず買って、暗記するくらい読みました。日本語と英語の両方で表記され、幼かった私は、もちろん日本語で読みました。だから、谷川俊太郎さんの訳が身についています。
最初は小さなコマ漫画が、ぎっしり掲載されていたのに、年を追うごとに、1ページに載るコマの大きさが、どんどん大きくなっていく。日本に紹介するスピードが速すぎて、作者の新作を待つ状態になっていたのでしょうね。写真まん中の、記念すべき創刊号、昔ふうな顔のスヌーピーのほっぺたに「相合傘」の落書きが。私が書いたのか、家族の誰かが書いたのか・・・。
もう一つの展覧会は、根津の東京大学門前にある、弥生美術館で行われていた原田治さんの“オサムグッズ誕生40周年”展。
1980年代、原田さんの絵は文房具などに多用されていて、私も使っていました。 展覧会の会場に入ると、その時代のグッズがたくさん並んでいて、タイムスリップした感。
原田さんの描くキャラクターたちは、イギリスの『マザーグース』に登場する人物(動物)たちに由来しているそう。 タマゴの姿をしたハンプティ・ダンブティ、泣き虫ベティなど、可愛いキャラが日本人好みにアレンジされ、 シンプルなロゴと組み合わさって、季節で言えば“夏”のさわやかさ。
原田さんの本で、私が愛蔵しているのは、1980年代に買った、こんな本。 マザーグースの童謡が、原田さんの絵でよみがえります。
もう一冊が、『ベッドタイムストーリーズ』。分厚いペーパーバックのスタイルで、中身は創作短編集。林真理子さんや秋山道男さんが執筆されています。表紙も挿絵も、原田さん。この本は、展覧会でも、ガラスケースの中に展示されていました。貴重品かな?
真夏は、入道雲の下で、思いっきり遊ぶのもいいけれど、エアコンのきいた室内で、暑さを忘れて読書三昧もいいかも。あんまり難しい本じゃなく、目で楽しめる本がいいな。
最寄り駅の駅前に、小さな童話のための図書館が、いつの間にか出来ていました。誰かのお家みたいな、くつろげる部屋に、世界の童話が見やすく並んでいます。わりと新しい本が多いので、知らない作家の作品も手に取ることが出来て、とても嬉しい場所。宣伝をしていないせいか、夕方くらいに行くと、いつも誰もいないので、なんだかゆっくり本の世界に浸れます。
今月、買って読んでいるのは、『本の夢 小さな夢の本』(芸術新聞社) という田中淑恵さんのエッセイ。 豆本を作っていらっしゃる作者の、本への愛情が伝わってくる、カラー写真も豊富な美しい本です。
花の切手で作られた豆本。 内容に合わせた装丁を考えるのは、きっと楽しい作業でしょうね。
いろいろな豆本の形。 手作り本だからこそ出来る、自由な発想の本作り。 参考にして作ってみたくなります。夏休みの工作に、いかがですか?
夏はやっぱり、スイカ、って思う人に、こんなスイカをプレゼントしたいなぁ。
ハート型のスイカです。近所の八百屋さんに展示されていました。楕円形や四角いスイカは見たことがあったけれど、ハートは初めて。半分に切ってしまうのが、もったいない・・・ですね。
暑い暑いと言っているうちに、“今年の夏”は過ぎてしまいます。だから、入道雲、セミの声、風鈴の音、なんでも享受しましょうか。
良い夏を!
2016年8月
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