日々のエッセイ


 うだるような暑さの日々には、木陰でのひとときがパラダイス。 子どもの頃の夏休みを思い出して、木登りしながら涼風を感じてみたい人も、いるんじゃないでしょうか? そんな人たちに、お勧めの『ツリーハウス』があります。

                      



 私の書いた物語に『気球に乗って』(愛育社『静かなネグレクト』に収録)という短編があるのですが、この物語の主人公が向かう、従妹の家が「ツリーハウス」になっています。しかも、全面ガラス貼りの家で、森の木々と、住宅の壁との境目が曖昧な、だまし絵みたいな家という設定。 謎の従妹の、神秘的な暮らしぶりを描きたくて、そうしたのですが、ツリーハウスには以前から、興味を持っていました。 椿森コムナ(千葉市)は、町の真ん中で、森っぽい冒険が楽しめる遊び心いっぱいの広場。 そこに、二つのツリーハウスがあり、休日になると、子どもたちがひしめいています。

椿森というのは、ここの地名なのですが、広場の名称にぴったり。 風鈴のように、色とりどりのビニール傘が揺れているのも、涼やか。





  憧れのツリーハウス、子どもたちに交じって、上ってみようと試みましたが、途中で挫折。だって、怖いんです。 階段は、心もとないハシゴだし、木の上から広場を見下ろすと、その高いこと、高いこと。 だけど、秘密基地みたいなワクワク感は、 体験出来ましたよ。 夏休み気分!



 広場自体は小さなスペースですが、通りの向こうは大賀ハスで有名な千葉公園なので、緑が豊かです。





 






 ツリーハウスの足元には、机が無造作に置かれています。 木陰なので、ほんとに涼しい。こういう場所で勉強したら、宿題もはかどるでしょうね。


 ときどき、鳥や虫が遊びに来て、勉強どころじゃなくなるかな?














  広場には、エスニックな色調のハンモックが揺れていました。子どもたちが、ちゃんと順番を待って、次々に乗っていました。気持ち良さそう。













 子どもたちが夢中で遊んでいる間、見守る大人たちは、しばしコーヒーブレイク。 ラフな看板がカッコいい珈琲屋台から、良い香りが。 コーヒーを飲もうかな?でも、このところ、カフェインを取りすぎだから、ハーブティーもいいなと迷って・・・。








               


  結局、エアコンの利いた室内で、ローズヒップ・ティを一杯。 ハイビスカスとブレンドされた、この赤い色に誘われました。 どこか懐かしくなる、深みのある赤。民藝品に使われるような色かな?











   こんな風に思うのも、最近よく開く本、『柚木沙弥郎 92年分の色と形』(グラフィック社)の影響でしょう。  この本には、深い赤が印象的に使われています。  型染めの第一人者として知られる柚木さんに
興味を持ったのは、お菓子屋さのパッケージとして柚木作品に出会ってから。   飄々として、素朴で、お洒落で、可愛らしい人間や動物たちの絵が好きになりました。   この本には、出版当時92歳だった柚木さんの、ゆるぎない美学が紹介されています。






     まるで柚木さんのお家に遊びに行ったような気分になるアトリエの写真が多数。   近頃、ミニマムに暮らすのを良しとする風潮がありますが、アトリエはまったく逆。 好きなものを、好きなように、いつでも見られるように並べておく、雑然としていそうで、なにか統一性があるような。 個性があって楽しいお部屋です。 柚木さんのコレクションから、夏らしい瓶の写真を。



  「ものを選ぶということは、自分に自信を持つことなんだ」という、本の中の言葉がいいなと思います。好きだから、選ぶ。自分の目で、選ぶ。「好き」と思える物や人が、自分の中にきっちりあると幸せだなと思います。

                            
   住宅街の塀の上で、仲良く寄り添って読書する子ども像。普通のお家の塀ですが、けっこう大きな像で、目を引きました。夏休み、この子たちのように、本を楽しむ子どもが増えるかな? 炎天下での読書は、注意しましょうね。


                        


       日比谷公園の噴水です。  ささやかな涼を、皆様へ。  元気に過ごしましょう!




                                                          2016年 7月

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