日々のエッセイ


 春の始まりを実感するのは、梅の香りや淡い色合いのファッション、それにお雛様・・・かな。各地で桃の節句イベントが行われていますね。年代別のお雛様が並んだ展示を見ました。小さな子たちが手を伸ばそうとすると、パパさんやママさんが「お外へ行こうよ、おもしろいものがあるかも」と上手に誘い、弾んだ声や足音が和室からお庭へと移っていきます。お祭りらしい空気があふれていました。写真は、明治期のお雛様。
    

 春といったら、”卒業”のシーズンでもありますね。毎日、顔を合わせていた友だちと離れ離れになる寂しさを、新生活への慌ただしい準備が埋めていく季節でもあります。

    
  学校が変わって、遠く離れた友だちと連絡をとるのは、もっぱらメールでしょう。でも、手紙のやりとりを楽しんでいる人たちもいることと思います。メールには出せない温かみが手紙にはあります。 封筒を開けるための、こんな可愛いペーパーナイフがあります。幸せの青い鳥。スッとしたフォルムが部屋に馴染み、尾を押すと、しばらくユラユラ揺れて、飾り物としても素敵。
 青い鳥が出てくるモーリス・メーテルリンクの童話は、子どもの頃から大好きでしたし、チルチルとミチルを主役にしたお芝居なども、その頃はたくさん上演されていた記憶がありますが、今はあまり聞きませんね。 お芝居といえば、劇団四季の春の舞台に『王子と少年』という演目があり、マーク・トウェインの『王子と乞食』の改題だと知りました。乞食は差別用語でしょうが、昔のタイトルで馴染んでいると、最初「?」と思います。

     


 今月、読んだ本は『ユニコーンレターストーリー』(集英社)です。小説というより、北澤平祐さんの画文集のような本。とてもキュートな物語です。幼馴染の二人が、日本とアメリカとで別々に暮らすようになった小学生時代から大学生になるまでの書簡によって、物語が進んでいき、二人の人生も進んでいきます。ユニコーンは、二人にとって、とても大切な存在。はじめは、幼い女の子の持っていたぬいぐるみとして”ユニコーン”が登場し、やがて成長した男の子の所属するバンドのポスターとして”ユニコーン”が活躍します。ユニコーンは、遠く離れた二人をつなぐ”夢と希望の生きもの”になっていくのです。 そういえば、ユニコーンと似たイメージの架空の動物がいますね。それは、ペガサス。ユニコーンには一本の角があり、ペガサスには羽があります。

     
  日本とアメリカ、それぞれのお家のポストに届くお手紙が可愛い。物語の設定は80年
代になっているので、確かにその頃は文通というのが流行っていました。80年代のゲームやスナック菓子のイラストもページをめくると、ちょこちょこ現れるので、懐かしいです。(ゲームボーイとか、チートスとか) 北澤さんというと、洋菓子『フランセ』のファンタジックなパッケージを描いている人、という印象が強いですが、この本に出てくる普通の女の子や男の子もチャーミングです。

     
 
 春の陽射しに似合いそうな、カラフルな水上ホテル群。久しぶりに天王洲の運河沿いを歩いたら、テラスに春を待ちわびた人たちがたくさん出ていました。運河に浮かぶホテルからは、空の色や水面の色が刻々と変わっていく様子がよく見えるでしょうね。泊まり心地はどうなのかな?

     


   優しいパープルは、なんとなく春の色。大人可愛い手編みのポシェットを頂いたので、春のお出掛けに持って行きたいです。
 街角に小さな幸せを見つけられそう。

  皆さま、良い春を!

  2025年 3月

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