日々のエッセイ

 暑かった夏が過ぎましたが、まだまだ残暑が続く9月ですね。それでも秋の色は、あたりに広がって、落ち着いた気分になってきます。レンガ色の似合う秋が始まります。
      

 この時期、恒例の絵封筒展が行われ、今年も私は参加しています。会場となるギャラリーウシンさんから届いたのは、こんなオシャレな絵封筒。カラフルな封筒が並んで、楽しい展示を予感させます。
       
  
今年の私の絵封筒は、ロボット型。目が切手になっています。鶴と亀のデザイン切手で、縁起も良いかな?
       
 背中側が封筒になっていて、中にはトレーシングペーパーの手紙が入っています。このロボット君の、勤勉な一日を描きました。規則正しい生活、だけど”ゆるーい”勤務実態。テレワークをしているから、お昼寝タイムをひそかに作ったり。

         

 この手紙を豆本に仕立てたものも作りました。展示会場で実物を見て頂けたら嬉しいです。「昨日とおんなじだって、いいじゃない?」という副題をつけました。平穏だけど、ちょっぴり退屈なロボット君のつぶやきを聞いてみてくださいね。
         

 夏の間に、もう一つ、豆本を作りました。季節ごとに、何か作りたいなと思っていて、これは夏バージョン。夏といえば、海。『青い海』というタイトルです。
      

 今月、読んだ絵本は、きむらさとしさんの絵が弾んでいる『ジョイバルー』(小峰書店)。きむらさんは、絵封筒をテーマにした絵本も出していらっしゃって、そちらも素敵ですが、この絵本は去り行く夏の気分に似合います。
       
 文は南アフリカ生まれの作家、ハーウィン・オラムさん。いたずら盛りの男の子が主人公で、金曜に会える架空の友だち「ジョイバルー」と遊ぶのを楽しみにしています。ジョイバルーは巨大な犬のような、不思議な生き物で、見ているだけで安心感があります。
   
      
 川や森で遊んだ、たくさんの思い出。これ以上楽しいことは無いだろうと思えるほどの冒険。だけど、ジョイバルーはだんだん疲れをみせ、やがて、プツッと姿を消します。9月に読むと、ジョイバルーは「夏」という季節みたいだなと感じます。暑さが日ごとに弱まり、「動」的だった人の気持ちが、じょじょに「静」的になっていきます。男の子はジョイバルーと別れた後、ひとりで楽しいことを探さなきゃならなくなり、途方に暮れますが、「それは、そんなにむずかしいことではなかったのです」と、すぐに頭を切り替えます。笛の練習をしたり、花を摘んだり・・・。まるで穏やかな秋を受け入れるように。そして、またジョイバルーと会える日のことを夢見て、眠るのです。 夏にやり残したことがあったとしても、「また来年・・・」、大人が読めば、そんな希望が持てる絵本です。

     
 凝った手紙をもらうと嬉しいように(手紙というのは、凝っていなくても嬉しいものですが)、凝ったラッピングの贈り物をもらうのも嬉しいですよね。これは、”フランス”色の可愛いラッピング。リボン代わりの紐まで、国旗の赤青白の三色で撚ってあります。奥の絵葉書は、バレリーナの帽子がエッフェル塔になっています。開けるのがもったいないくらい。

     
 読書の秋に、こんなディスプレイを見掛けました。本のページを折り込んで、お店の頭文字「M」を浮き出させています。もしも、古くなって捨てるしかないような本があったら、このアートに挑戦して、好きな形を作ってみるのも楽しいかも。作るのに道具が要らなそうな点も、いいですね。

 読書の秋、心の友となる本に出会えますように。

 2022年 9月

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