日々のエッセイ

 12月の声を聞くと、「あー、今年も残りわずか」という感慨もありますが、それ以上に、もうすぐクリスマス、お正月と続く楽しいイベントに、心が弾みます。今年は去年と違い、街もイルミネーションで飾られるところが多く、きっと煌めいているでしょう。夕方になったら厚いコートをはおって、この季節ならではの灯りを見に行きたいです。新たな変異株も気にしつつ、12月らしさを探してみましょうか。

         
 ビルの壁に巨大な竹ぼうき。建物二階分くらいの長さがあります。最近は竹ぼうきを見掛ける機会も少なくなりましたが、近くの小学校ではお昼休みに児童たちが出てきて、昔ながらの竹ぼうきで校庭を掃いていました。BGMとして校庭に大音量で流れているのは、はやりのアップテンポの曲。シャッシャッという竹ぼうきの音と、軽やかな音楽が意外に合っていて、子どもたちも楽しそうでした。
 我が家も12月に入ったら、掃除月間として、普段は洗えない大きなカーテンやマット類も順番に洗濯してみようと計画を立てています。冬のぽかぽかな陽射しをあび、すっきりして気持ち良くなりそう。

         
 ドアにトナカイの飾りを見つけ、12月の気分がアップ。サンタクロースの相棒といえば、この動物ですよね。性格は温厚らしく、パートナーとして良いのかも。北海道ではトナカイと触れ合える牧場があるとか、いつか行ってみたいな。

       
 実家へ行ったら、母が古いクリスマスツリーをきれいに飾りつけていました。なんと、60年以上前のツリーだとか。買い足したオーナメントもありますが、昔からの物もたくさん残っていて、そういえば子どもの頃の12月の写真には、いつもこのツリーが一緒に写っていたなぁと思い出します。モールで出来たオーナメントは「昭和時代のツリーの象徴」らしいですが、今見ても、とっても可愛い。モールの手足を持った天使の飾り、子どもの時代から好きだったなぁ。自分でも作ってみようと、数年前に赤や白のモールを買ってトライしてみたけれど、思ったほど上手に出来なかった記憶があります。

        
 去年のケーキは、こんなマロンケーキでした。家族みんなが集まれる日が、なかなか決まらなくて、「この日に集合」と決定した時には、どのケーキ屋さんに電話しても予約終了の返事。何軒もたずねて、やっとこのケーキを注文することが出来ました。今年はスイーツ作りの得意な姪が、ブッシュドノエルに挑戦すると言っていたので、期待して待っています。

      
 雑貨店の店先に並んだ大きなクルミ割り人形。12月らしい物語は?と聞かれたら、『くるみ割り人形』や『マッチ売りの少女』が浮かんできます。あなたの好きな12月の物語って何ですか?

       
 Krimgenさんの12月っぽさ満載の小さな画集がロマンティックです。タイトルは、Light a Candle。クリスマスに点す四つのキャンドルには、それぞれ意味があり、hope、love、joy、peaceの願いがこもっているそう。灯りのもと、幸せそうな子どもたちが描かれています。クリムゲンさんはウィーンにお住まいと聞きました。ヨーロッパの静かで厳かなクリスマスの空気を感じます。

       
 脚本を書かせて頂いたNHK東京児童劇団の作品『スプラウト・キングダム 子どもたちの王国』のDVDが届いて、嬉しいです。これは2020年の夏の舞台用に考えたお話で、コロナ禍のため、公演は中止。延期して、今年の8月に銀座ブロッサムホールで披露される予定だったのですが、それも流れてしまい、代わりに初の試みとして、音声ドラマ化されました。なんと、お稽古もリモート、録音は分散録音だったそうで、出演する子どもたちも大変だったでしょうし、スタッフの方々もご苦労があったことでしょう。サウンドファンタジーと名付けられた音声ドラマは、配役がぴったりで、声だけの演技なのに表情や身振りまで想像出来て、とても上手。素晴らしい演出や音楽で、奥深い作品に仕上げて下さいました。舞台は実現しませんでしたが、舞台に等しい芸術作品を見せて頂いた思いです。制作に関わった皆様、お疲れ様でした。

 この物語は、子どもたちだけで社会を動かす時代が来て、初の女性大統領になったローティーンの少女が、幼馴染の少年と共に「理想の国家とは何か」を考えるーーーという内容です。スプラウトは、植物の新芽のこと。成長した野菜よりも栄養価が高いとして、ブロッコリースプラウトなどは有名ですよね。その芽に例えた子どもたち、大人よりもうまく社会を動かしていくのですが、やがて歪みが生じます。
 子どもたちが子どもらしい時間を過ごす(大人たちに見守られ、のびのびと生きる)ことの大切さを、私はこの物語に託したつもりです。

       
 そろそろ、一緒に今年も走ってきた車を、丁寧に洗車しなきゃと思う時期になりました。車好きは父に似たのか、実家の父は80代になっても原宿の通りを、結構スピードを出して走っていましたっけ。その父が運転する時、よく言っていたのが「流れに乗らなきゃ」ということ。車道では、マイペースではなく、ある程度他の車の調子に合わせて走らなければ危ないし、迷惑になるということ。ほんとにそうだな、と思います。 車じゃなくても、来年はもっと「流れに乗って」楽しく過ごしていけたらいいな、なんて願っています。
 2021年は、ありがとうございました。
 2022年も、どうぞよろしくお願い致します。

 2021年12月
 トップページへ
 前回のエッセイへ
 次回のエッセイへ