日々のエッセイ

 オリンピックの夏がやって来ました。開会前から賛否両論、盛り上がりにも欠ける大会ですが、街には旗が掲げられ、ムードを高めています。
         
 朝顔が咲いている風景を見ると、「夏」が来たと思います。切り花にするのには向かない花だけれど、あまりにも綺麗だったから、テーブルに飾ってみました。絵の具で再現したくても、なかなか作り出せない天然のブルー。
         
 今月、ちょっと嬉しかった出来事は、ずいぶん昔に贈ってもらった万年筆の修理が完了したこと。この万年筆は、中学受験に合格した記念に頂いたものと記憶しています。ローズ色の本体に、R.TAMURAと名前が刻まれていて、中学や高校の頃は、大人ぶって手紙に使ったり、大学時代は提出文書に使ったり、結構、愛用していました。けれど、もっと気軽で便利なペンがたくさん出てきて、この万年筆の存在をすっかり忘れていて・・・。最近、部屋の片付けをしていたら、「使ってみてよ」とでも言うように出てきました。長年、放りっぱなしだったので、インクが中で固まっているのか、文字が書けません。ペン先をお湯で洗ったり、自分で出来る手入れは試してみたのですが、「やっぱり専門家に」となり、川窪文具店に修理を依頼しました。
           
 待つこと半年。やっと戻ってきた万年筆は、覚えている書き味よりずっと滑らかで、文字を書く喜びを体感出来るスムーズさ。デジタル時代に筆記用具なんて、重要視されないかもしれませんが、万年筆って落ち着いた気分になっていいな、と思いました。
         
 夏は籐製品を使いたくなります。カゴバッグを提げると、涼しくなるような。カゴバッグはいくつか持っていて、一番古いのは幼稚園の時に使っていた赤いカゴバッグ。大好きなぬいぐるみを詰めて出掛けたり、友だちと交換した可愛い柄の折り紙を入れたり。丈夫なバッグで、今もちゃんと使えます。アクセサリー入れとして活用中。上の写真は、園芸店の店先に並んでいたカゴバッグ。寄せ植えの小さな鉢を入れるのに良さそうです。

          
 今月は二つ、豆本を創りました。一つ目は、たまご型の絵本。たまごって日常的なものだけれど、なんとなくファンタジーのイメージが膨らみます。朝食に作った目玉焼きが、いろいろなものに変身していくストーリー。
         
 帽子になったり、宇宙船になったり。形が変わるのに伴って、主人公もいろいろな場所へ旅立ちます。
         
 絵本を立て掛けると、こんな風にタマゴの形になります。カラフルな豆本になったかな?

 二つ目の豆本は、切り絵に挑戦。最初に絵を考えて、後からその絵に合った物語を作りました。タイトルは『FRAGMENT』です。日常の「カケラ」みたいな、ささいな想いを各ページに託して。
          
         
 はさみでチョキチョキ、形を作っていくのが楽しかったです。精密な下絵は描かずに、切り方もラフな感じで、のどかな雰囲気を出してみました。
            
 色合わせを考えるのが、また楽しい。大きな切り絵は大変だけれど、てのひらサイズなら、用事の合間に短時間でも作れるので、忙しいかたにもオススメです。
            
 小さな本だからこそ、思いっきり遊び心を詰め込んで、一冊ずつ、違うテイストで作ってみようかなと思います。きれいな包装紙やリボンなど見掛けると、「あ、これ、豆本に使えそう!」なんて、ストックするようになりました。わざわざ材料を買ってまで作るのではなく、手元にあるものを工夫して組み合わせ、本に組み立てていくのが私流。
          
            
 夏休みといえば、旅のチャンス。コロナ時代で、思うように予定がたてられませんが、ガイドブックや地図を開いてみるのは楽しいひととき。地図柄のラッピングペーパーで、こんな素敵な包装をしてくださった方がいて、贈り方の参考になります。開ける瞬間も、ワクワク。

        

 日本でもよく知られている世界の児童文学を、新鮮な切り口で紹介した『児童文学の中の家』という本を読みました。深井せつ子さんの絵と文が優しい、オールカラーの本で、物語の舞台になる「家」に着目。メアリ・ポピンズが雇われたバンクス家の間取りや、アリエッティが住む床下の家の様子など、解説してくれます。ナルニア国に通じる衣装ダンスの絵を見ると、タンスというより一つの部屋。その扉だって、ふつうの家の玄関ドアくらいあるのだから、異世界への入り口になっても不思議じゃないなぁと納得。子ども時代とは違う見方で、名作を楽しめる一冊です。

                 
 暑さ厳しくなりそうな今年の夏、噴水の画像で、少しでも涼しくなりますように!


 2021年 7月
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