日々のエッセイ

 紫陽花の花がもう茶色味を帯びているのを見て、今年は季節が駆け足で通り過ぎていくなぁと思います。これからどんどん暑さが増していきそうですね。
    

 大都市で緊急事態宣言が続く中、去年あたりからハマり始めた豆本作りを、また楽しんでいます。今回は緑の美しい季節を反映して、植物をモチーフにした本を二冊。
          

 一冊目は、PENSEE(想い)というタイトルの豆本です。表紙に挟みこまれたフェルトの葉っぱは、取り外し可能。この一葉が繰り広げるささやかな物語を考えました。

            
 葉っぱを摘んだ青年は、ポケットに入れて、それを持ち帰り、ラッピングして、また出掛けます。葉っぱを届けた先はーーー。
             
 もちろん、青年が想いを寄せる女性。そこから時を超えた物語が始まります。(といっても、それほどスケールは大きくない)  青年の想いがどんな形で届いたかーーー結末は、やっぱりハッピーエンド。楽しい本を作りたいから。

             
 二冊目は、『6月のおしゃべり』という、花の豆本。6月初めって、あたりを見回すと、いろいろな花が咲いているのです。春から頑張っているツツジとか、先月が盛りだった薔薇とか、ひと足はやく開いた朝顔とか・・・。色とりどり。そういう花たちを見つけては、カメラに収め、写真絵本にしてみました。

            
 ベランダで咲いた赤い薔薇を切って、ダイニングのテーブルに飾っていたので、その薔薇の写真から物語が始まります。タイトル通り、花たちの自由気ままなお喋りの本。

          
 道ばたに咲いていた三色スミレが可愛らしかったので、写した一枚です。そういえば、パンジーとビオラって、どう違うのかと思ったら、花の大きさで呼び方が変わるのですね。大きいものはパンジー。そして、昔の少女小説に出てきそうな”三色スミレ”という呼び方も素敵だなと思います。

 豆本がいくつか出来たので、今度はそれを並べる小さなサイズのディスプレイ台をDIYしてみようかな、と思案中。あまっていた板をクギで組み立て、色を塗って・・・、本物の本棚を作るのは大変だけれど、ミニチュアならDIY初心者の私にも出来るかな?

 朝からよく晴れた日に、以前から行きたいと思っていた『蔵の図書館』へ車を走らせました。千葉の四街道市にある図書館は、古い蔵を改造して作ったとのこと。開館日も少ないし、開館時間も短いので、HPで確認してから出発。
              
 この道でいいのかなぁ? と迷いながら、ナビどおりに里山の細い道を進んでいくと、もう夏休みに入った気分になる風景が広がっていました。看板があったので安心して、この辺りで車を降り、歩いて進みます。

               
 手作りの看板がとてもいい感じ。うっそうとした林の中に、なるほど、小径があります。まわりに誰もいないから、この看板がなかったら、きっと困ってしまっただろうなぁ。

                 
 小径の道案内が、看板から風車に変わります。赤い風車が回って、「こっちだよ、こっちだよ」と招いてくれます。

                  
 そのずっと先には、今度は緑の風車。点々と並ぶ風車を追いかけながら、道を歩くうち、どんどん子どもに戻っていくような・・・。子どもの頃の冒険心がむくむく湧いてきます。泥だらけになって遊びたくなります。

               
 「わー! 登ってみたい!」と、思わず叫んでしまう、立派なツリーハウスが木々の間に現れます。ちょっと北欧テイストのツリーハウス。部屋の中には、素敵なステンドグラスが見えたのですが、この日は登るハシゴが外されていたので、残念ながら、外から眺めるだけ。

                
 竹藪の下に、秘密基地みたいな大きな穴が開いていました。それが幾つもあって、友だち同士でこっそり中に隠れて秘密のお話をしたら、わくわくしそう。中は暗くて、不思議な生き物が潜んでいそうでもありますが。

              
 木々の間を渡るロープで出来た吊り橋も、絵になります。子どもなら、いろんな遊び方を考えて、一日いても飽きないでしょうね。

                    
 林を抜けたところに、やっと目的の蔵が見えてきました。築百三十年。今もがっしりと堅牢な蔵です。赤いのれんがモダンで、緑の中の鮮やかな差し色になっています。
                     
 入り口の上部に吊るされているのは、江戸時代の防火水槽らしいです。今は蔵の飾りですが、消火器が無い時代は、これがあるだけで安心出来たことでしょう。

                    
 蔵の中は、想像以上に広くて、明るくて、心地良くて、涼しくて、びっくりしました。本は全て、寄贈本とのこと。二千冊以上あり、新しい本、話題の本もたくさんありました。絵本や児童書が中心なのも嬉しいな。

                     
 蔵の中、というシチュエーションも楽しいのに、本のラインナップも充実していて、もし近所だったら、ずっとここで本を読んでいたくなります。実際に、借りることも出来るそうだけれど、返却が難しくなるから、読みたい本があったけれど諦めて帰りました。

                    
 蔵の入り口に置いてある「招き犬」。猫じゃなく犬というのが、珍しいしユーモラスな貯金箱。遊びに来た子どもたちが、お小遣いの中から、五円とか十円とか入れていくのでしょう。

 本と自然がいっぱいの、夏休みを先取りしたような一日を過ごせました。

 家にある防災備蓄品の乾パンが、いつの間にか賞味期限ぎりぎりになっていたので、開けてみました。乾パンを食べるのは、もう何年ぶりだろう? 食べてみたら、思っていたよりずっと美味しくて、それ以来、おやつは乾パンの日々です。ケーキよりもアイスクリームよりも、今は乾パンに夢中。同じメーカーの物を金沢から取り寄せてしまったほど。
                     

 開けた缶はスナフキン・カラーで、右下にスナフキンの絵が描かれています。ムーミンとのコラボ缶でした。(今は乾パンのコラボ缶は無いようです) スナフキンといえば、我が家のスナフキンは、東銀座の不思議な薬局(お店の大部分がレアなムーミングッズで占められていて、ムーミンファンにはよく知られています。今は移転したらしい)生まれです。ショーウィンドウにずっと飾ってあり、買った時もすでに日焼け気味だったのですが、髪の長さや目鼻の感じ(人形によって微妙に違う)が可愛くて、十年くらい前から我が家に居ます。「ウナちゃん」という名前がついています。自由を愛し、孤独を愛し、マイペースのくせに、ムーミン谷のみんなから一目置かれているスナフキン、実は人付き合いにも長けているのかもしれません。我が家でも幅を利かせていますよ。

 梅雨の6月。体調に気をつけて過ごしたいですね。

 2021年6月

 
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