日々のエッセイ

 夏が来ました! 本来なら、オリンピックで日本中が湧いている時期ですが、コロナ禍の2020年は夏を戸惑い気味に迎えることになりました。
            
 オリンピック・ミュージアムの前にある五輪のオブジェ。人もほとんど集まっていなくて、時折、近所の小さな子どもたちが、輪くぐりの遊具として楽しそうに通り抜けていきました。

             
 歴代の聖火台も野外に展示されています。色鮮やかな、長野五輪の聖火台。開かれる土地のカラーを意識した、凝ったデザインの聖火台が並んでいて、人の少ない今なら、静かに見られます。

              
 来年は、安心してオリンピックを楽しめる環境になっているといいですね。せっかくフェンシングのチケットが買えたのだから、実際に見て応援したいです。これからの平穏を願って、神社にお参り。7月なので、七夕にちなんだ星型のおみくじが売っていました。キラッとした青い色を選んだら、中に良いおみくじが入っていましたよ。

             
 この銀色のポストは、なんと天の川に手紙を届けるポストだそうです。雨になることが多い七夕に向けて、織姫と彦星が無事に出会えるよう、星に願いを込めた手紙を書いてみましょうか? それとも、もう会えない誰かに、出せないままだった手紙を、そっと投函してみましょうか? 奇跡が起こりそうなポストですね。

              
 この夏はプールも閉鎖、遠くに旅行へ出掛けるのも、どうしようかなぁと迷ってしまう夏ですね。学生さんたちにとっては、夏休みもだいぶ短縮されて、慌ただしい夏になるのかもしれません。遠くに行かない代わりに、街なかの異空間を探して、訪れてみるのも気分が変ります。たとえば、都心の路地に作られたツリーハウス。ビルの二階のドアから通じていて、中に入ると木のぬくもり。窓の外には、向かいのビルがすぐ見えるけれど、なんとなく自然に囲まれているような気になってきます。

                

 昔懐かしい瓶入りコーヒー牛乳も、サーブの仕方を変えれば、いつもと違って夏休みらしい特別感。小さなブリキのバケツに氷をいっぱい詰めて、そこに差しこんで出されたコーヒー牛乳は、どんなに暑い日でも、いつまでもヒヤッとしていて美味しいです。

                 
 ドーヴィルの海岸でポーズを決める、ちょっと太めな女の子、ルルちゃん。彼女が主人公の絵本『おてんばルル』(河出書房新社)を古書店で買いました。作者はイヴ・サンローラン。
「モードの帝王」と呼ばれたファッションデザイナーですから、若い世代でも知っている人が多いでしょう。そのサンローランがハタチの時に、自ら絵を描き創ったキャラクターが、ルルちゃんなのです。1967年に出版された、サンローランの唯一の絵本。若きデザイナーが、自分の理想(?)を託して生まれた女の子。
                
 中は、赤が効いたコミック風。ルルちゃんは、最初から最後まで、奔放で、一筋縄ではいかない子。友だちにしたくないタイプの子。仲間に意地悪で、残酷で、うぬぼれで、狡猾で・・・。「シュミュック プリュック!」と叫んでは、あちこち動き回って、何かしら悪い事をやっているのです。ドーヴィルの海でも、ある女性の恋人を横取りして、バカンスを台無しにさせる快楽に浸っています。絵本だからと思って、子どもコーナーに置いたら、教育上良くない? だけど、寂しがり屋で、カラ元気を出しているようなルルちゃんが、だんだん健気に思えてくるから不思議。日本語訳は12年ほど前に出されていて、その頃はアニメでも放映され、ファッション雑誌にもたびたび登場していたようですね。暑くてダラリとした生活を送っている時には、パンチの効いたルルちゃんの行動が刺激になるかも? とりあえず、「シュミュック プリュック!」と叫んで、自分に活を。

                
 大賀ハスが綺麗に咲いている公園があるので、少し早起きして、行ってみました。ハスは、午前6時から9時頃までが見頃だそうですね。ピンク色の大きな花は、そばで見ると本当に美しい。泥にまみれた根から想像もつかない清らかな花をつけるので、世の苦難をくぐっても、そうと知られず品格を保つ人に例えられます。蕾も可愛らしい。

                
 ご近所に、カーポートならぬ、カヌーポートのようなものを備えたお家があり、前を通る時に気になっています。階段を上がって、二階部分にあるので、運び出すのが大変そうだなぁ、なんて思ったりして。でも、あんな船を浮かべて、ゆったりと湖水を漂うのは、夏らしくて気持ちが良さそう。

 暑い毎日ですし、まだまだコロナ不安からも解放されない夏ですから、皆様、お身体には気をつけて。

 2020年7月

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