日々のエッセイ

 

 春ですねぇ。どこを見ても花々が嬉しそうに咲いている今の季節、気持ちもはずんできますね。新学期、新生活で毎日が緊張と発見の連続、という人もいることでしょう。4月は見慣れた風景でさえ、新しい色が差したように思えます。さらに今年は、元号も発表されて、新しい時代がすぐそこですものね。

           
           

 川越の、桜並木が見事な川沿いにある一軒家ギャラリー『USHIN(ウシン)』さんで、BOOK展が開かれています。4月2日から、4月27日までの、ほぼ一か月。私の本『ゆめぐるま』を飾ってくださるとのこと、本にまつわるメッセージなどを、この展示に向けて書かせて頂いています。川越方面にいらっしゃる際には、ぜひ、寄ってみてくださいね。

              
              

 こちらは、津田沼で一日だけ開かれる春っぽい展覧会です。4月7日の日曜日。カフェ279(つなぐ)さんにて。午前11時から午後4時までです。午後2時からは、中野区の図書館で児童へのイベントなどをやっている鈴木敦子さんの読み聞かせタイムがありますよ。子どもじゃなくても、物語を耳で聴くっていうのは、楽しいですね。

            

 『こどもの本』4月号(日本児童図書出版協会)に、『ゆめぐるま』(国土社)についてのエッセイを書いています。この物語シリーズが生まれたきっかけなど、『ゆめぐるま』に託す私の想いを寄せています。ウェブでも見られますので、もしご興味がありましたら「こどもの本web」で検索してみてくださいね。

                  
 文化村ザ・ミュージアムで『くまのプーさん』展を見てきました。平日の午前中なのに、すごい人。私の子どもの頃も、プーさんと言えば人気者だったけれど、今も変わらず愛されているキャラクターなのですね。私とプーさんの出会いは、小学生の頃。家に、ケース入りの岩波少年文庫があり、まず表紙の、シェパードさんが描く絵に魅かれました。クリストファーロビンの巻き毛や、子どもらしい仕草も可愛くて。たくさん出てくるキャラクターのうち、私が好きだったのは、くたびれた感じのロバ、イーヨーです。今回、展覧会を見て、このイーヨーが自分のことを「わし」と呼んでいて、びっくり。ロビンもプーも、イーヨーも、みんな子どもだと思っていたけれど、違ったのかな? もう一度、ゆっくり読んでみたいです。

                 
 私は児童文学の同人誌『15期星』に入っているのですが、メンバーの方々が、この春に素敵な御本を出版されました。上の写真は絵本『夜のこども マッコロ』(作・画 まき えつこさん SHIMAUMA PRINT) 子どもたちにとって、「夜」はこわいイメージなのでしょうが、この絵本を開くと、夜のおかあさんは優しく包み込んでくれる愛のかたまりのような存在。主人公の夜の子どもマッコロは、好奇心いっぱいで、無邪気で、とても優しい子。迷子のウサギ・ラビを助ける、凛々しい面もあります。どこか別世界のような、美しい夜の森の描写は、幻想的な絵や文で活躍されているマキさんならでは。寝る前に読むと安眠できそうです。

                 
 社会派の児童文学をたくさん書かれている、ゆめ はつみさんの新作は『すてねこ事件』(文芸社)です。原発事故で被災した家族のその後が、子どもの目で温かく、切なく描かれています。もし、あの事故がなかったら、家族の一員だったワンちゃんは、どうなっていたでしょう? 仲が良かったお父さんとお母さんは、、今も同じテーブルでチョコレートケーキを食べていたでしょうか? 被災された人たちの苦しみ悲しみを忘れてはならないと、強く、けれど優しく訴えてくる物語です。短編集で、最初の一編は、児童文学で描くのは難しそうな、生活保護家庭のことが題材になっていて、子どもたちだけではなく、大人も一緒に読んで、いろいろ語り合いたくなります。

 同人の皆さんの活躍は励みになります。私も日々、少しでも前進していくように、頑張りたいです!

              
 さくら坂は、六本木のメイン通りのすぐ裏にあるのに、あまり人が通らないので、歩きながらのお花見にちょうど良い場所です。名前の通り、かなり長い距離に、さくらのアーチが続いています。ブリッジになっている箇所もあったり、高いビルを背景にした桜が撮れるビューポイントも。行った時は、あいにくの曇空。でも、薄曇りの空に、淡いピンクが溶け出すような感じで、静かな美しさがありました。
 春らしい、ワクワクすることがありますように。

         2019年4月

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