日々のエッセイ

  10月はハロウィンの飾りが街にあふれだす季節です。おどけた顔、こわい顔、いろんな表情のカボチャたちで、街が彩られています。
   




ベンチに並んだ、カボチャたち。目は三角、口には小さなキバがあるのが、基本のスタイルかな? うちでもカボチャをくり抜いて作ってみたい、と思いつつ、まだ一度もトライしたことはありません。いつか作って、ベランダに飾ってみたいな。




  お菓子屋さんには、ハロウィンをテーマにしたスイーツがいっぱい。年々、その数が増えていくような気がします。万聖節の前夜祭として、悪霊を追い出すために始まった行事なのだから、オバケたちが主役になり、ケーキもキャンディもオバケの形。でも、ちっとも怖くないオバケたちで、食べちゃうのが可哀そうになるくらいです。



秋になると、あっという間に日が暮れて、長い夜には懐かしい誰かを思い出して、手紙でも書きたくなってきます。先月末まで行われていた『絵封筒展』で、たくさんのアーティストの方々の、アイディアが光る絵封筒を見たので、参考にして、封筒や切手にも凝ってみようかな?

 

今回、ギャラリーウシンで開催された『絵封筒展』では、私が過去7年に送った絵封筒の数々も展示されていました。数年ぶりに再会する、自分が描いた絵封筒を見ると、それを作った当時のことなども思い返され、懐かしい友に出会ったような感じでした。









 切手をTシャツの柄にしてみたり・・・。路地裏の古着屋さんみたいな雰囲気を出したかった一通。








便箋を開くと、小さなオマケが幾つもついているような手紙にしようと、マスキングテープなどで立体的に作ってみたものもあります。











 こちらは、『つぎのページ』という本で、表紙画や挿絵を書いてくれた、小野寺美樹さんの絵封筒。やんちゃな男の子が、相棒のうさぎを引き連れて、バイクに乗って、勝利の笑顔。 勝ち取ったものは、切手の絵柄『大きなキャンディーの瓶』だったのですから、なんとも可愛い戦いです。

 絵封筒展にいらしてくださった皆様、ありがとうございました。

 絵封筒は小さな封筒の中に、自分の想いを込めて表現する、小さなサイズのアートですが、小さいと言えば、ミニチュア。先日、とても素敵なミニチュア・アートを見ました。




 閑静な住宅街に佇む、ヨーロッパ風なお店。ウィンドウ越しにも、アンティークな雰囲気が漂っています。古いミシンの横にあるのは、陶器の指貫ですよね。お裁縫で使う指貫は、日本ではリング型が主流ですが、外国では綺麗な絵のついた、こんな指貫がたくさん使われていたようで、集めて飾っておきたくなります。小さなベルみたい。




 ミニチュアと言っても、子どもが遊ぶ玩具のようなものではなく、手を触れずに、じっと眺めていたくなるような精巧なものばかり。こういう小さな椅子、昔、持っていて、大切にしていたのに、いつの間にか、失くしてしまったなぁ。座る部分に赤いベルベットが張ってあって、子ども心にも「高貴」な椅子に思えましたっけ。














古い洋書を開くと、そこにひっそり、ミニチュアのカフェが。 本の内容に連動したお店だったら、尚更、その物語に引きこまれますね。本を手にした人だけが迷い込める、不思議な小さなカフェ。 













                    
 寒い季節になると、ホットな飲み物が恋しくなります。ラテアートの上手な、近所のコーヒー屋さんでは、カップの中にクリームの小鳥が。おいしいコーヒーの飲める、居心地の良いカフェって、街の人にとっては大切な場所ですよね。

                    

 そんな街のカフェを舞台にした物語を、今月10日に上梓します。
 
謎解きカフェの事件レシピ『ゆめぐるま』 レシピ1 ヒントはカフェに現れる? 国土社 900円。
 主人公は、小学生の女の子・詩織。両親が自宅でカフェ(ゆめぐるま)を営んでいるので、お料理が得意。友情にあつく、せっかちな、どこにでもいそうな子です。詩織のまわりには、小さな事件がいっぱい。カフェにまつわるヒントを頼りに、鮮やかに事件を解決していきます。
 ヒントはなぜか、いつもファンタジックな形で、詩織のもとへ届けられます。作者としては、この「ヒント」を考える時間がとても楽しかったので、読んでくださる方には、ぜひ、そこに注目して頂きたいです。
 『ゆめぐるま』は、ミステリーであり、ファンタジーであるけれど、物語の軸は「毎日のあたたかな暮らし」の描写。家族や友だち、町の人たちに支えられ、元気に過ごす詩織に、私自身も励まされました。明るい気分の時は、この本で、よりウキウキできるし、悲しい時は、元気をチャージしてくれるはず。
 人気画家・pon−marshさんの可愛くて優しい絵が、登場人物に息吹と輝きを与えてくださったのも、嬉しいです。
 単行本と文庫本の中間くらいの体裁で、気軽に手に取って頂けるサイズ。誰かの”親しい友だち”みたいな本になれたらいいな、と思います。
 順次、レシピ2、レシピ3が発売予定。レシピ2は、ちょっとホラー色あり、レシピ3は少し社会派傾向・・・、それぞれ違う「味」を楽しんで頂けると思いますので、ご期待下さい。

 さぁ、セーターを出して、冬準備。今年の冬は暖冬らしいので、ホッとしますね。

 2018年10月

 トップページへ
 前回のエッセイへ
 次回のエッセイへ