日々のエッセイ


  桜の盛り、近所のお花見スポットに出掛けようかなと思っているうちに、シーズンが急ぎ足で通り過ぎてしまいますね。 今年はちょうど桜の時期に、川越で展覧会をやっていたので、  川沿いの絵のように美しい桜並木を満喫しました。 うちの近所でも桜がきれいな場所があるので、買い物ついでに出掛けてみたら、薄桃色がとても綺麗な風景でした。
              

  BOOK展も無事に終了。 いらして下さった方々、ありがとうございました。 今年は、少年少女が主人公の、四つの名作を軸に、私がアナザーストーリーを創作して、小野寺美樹さんが絵を描いてくれました。 展示の様子は、こんな感じです。
             

 もとになった本と、その物語に登場する小道具を、解説つきで展示。自由に手にとっていただけるようになっていました。 壁には、あらすじと、アナザーストーリーも。
              
 ミヒャエル・エンデの『モモ』をテーマにした絵。アナザーストーリーは、落書きで、人の時間を売買する少女の物語にしました。

                

 村上春樹の『海辺のカフカ』のイメージ画。 ”カフカ”って、チェコ語で”からす”の意味なんですね。アナザーストーリーは、夏休みに家出した少年が、田舎のデパートに隠れ住む話。

                

  サリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』の絵は、都会の夜が背景。アナザーストーリーは、女の子の誕生日会に呼ばれた小学生男子が、不平不満ばかり言いながら、内心ドキドキしている話。

                 
 アゴタ・クリストフの『悪童日記』の絵は、双子の美しい少年たち。アナザーストーリーは、狂った時代の中で育つ男の子が、殺人につながる、あどけない遊びに熱中する話。

 展覧会の様子は、絵本WEBサイト『新作の嵐』にて公開されていますので、ぜひ検索してみてください。

 BOOK展用の短編集『つぎのページ』も、おかげ様で、持参した分が完売になりました。買ってくださった皆様、ありがとうございます。
                  
 最終日に、ギャラリーウシンにいらした、カリグラフィー作家の五木田摩耶さんに、名前入りの蔵書票を作って頂きました。大切な本に貼ったら、さらにその本の価値が高まることでしょう。
                  
 ギャラリーウシンのティータイムは、器も凝っていて、オーナーさんとおしゃべりをしながら、楽しいひととき。

                     

  BOOK展は、今年で7回、続けてきたのですが、ここでちょっと、ひと区切り。つぎに展覧会に参加する時は、パワーアップして、皆様とお目にかかれたらいいな、と思っています。

  さて、最近、読んだ絵本はーーー、「本が主人公の本」です。
         
 『もしぼくが本だったら』(アノニマ・スタジオ)は、タイトルどおり、本の気持ちで書かれたお話。 本だったら、という箇所を人間に置き換えても、納得できそうな内容です。 とくにラストのページの言葉は、私の気持ちに重なります。 小さな頃に触れた本の中身は、大人になってもはっきり覚えているもの。その後の、自分の生き方の方向を決める切っ掛けになる、なんてことも。 いつまでも影響を及ぼす、子どもの頃の本との出会い。どのページも、共感しながら読める、シンプルな絵柄の絵本です。

   暑すぎず、寒すぎず、一番いい気候の今を楽しんでくださいね。
                
                     2018年4月

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