日々のエッセイ
 カレンダーが9月になると、気温もぐっと下がって、急に秋めいてきた感じがしますね。はしゃいだ夏が終わり、何事にも落ち着いて取り組める季節の到来です。
 今月初めには、毎年参加している『絵封筒展』が開かれます。
         
 上の写真は、ギャラリーオーナーさんから届いた、絵封筒です。紐で縛る、音符柄の布の封筒の上に、透明なラッピングがされていて、そこに切手やラベルが貼られています。涼しげで楽しい贈り物。『三徳袋』という名前がある、日本古来の入れ物らしいですね。

         
 私が作ったのは、こういう封筒。なんでもない茶封筒に、色画用紙で椅子の形を切り抜き、劇場風に貼ってみました。中には、この絵封筒展のために作った、物語が一編。『ある日の手紙屋』というタイトルで、渋谷の裏通りで、代筆を請け負う女性の、短い物語です。渋谷には、かつて『恋文横丁』と言われる英文ラブレターを引き受けるお店(戦後、日本にいた米兵への日本女性からの手紙)があって、今でも跡地に記念碑が建っていますね。 秋の散歩に、どうぞ、絵封筒展を見にいらしてくださいね。

 絵封筒展 会期  2017年9月5日(火)〜16日(土)
      場所  ギャラリーウシン 埼玉県川越市宮下町2-20-3
      連絡先 オーナー細野敦子さん 電話 090-9389-6779


 秋は食欲の秋、でもあります。最近、紅茶とスコーンに凝っていて、佐倉マナーハウスでも、イギリス風ティータイムを楽しみました。 丘の上にポツンとある、古そうな一軒家。でも、実は六年前に出来て、イギリスから輸入した古い建材を使っている、という拘りのお店。
            






玄関で出迎えてくれるのも、シルクハットと燕尾服の楽師さん。楽しいお茶時間を約束してくれます。










 店内では、アンティークの食器類や雑貨が、たくさん売られています。掘り出し物が見つかりそう。

















スコーンには”狼の口”と呼ばれる裂け目が入っているので、そこから二つに割って、クロテッドクリームと苺ジャムをつけて食べるのが美味。 紅茶もたっぷり二杯分。 ミルクティーによく似合います。














 ひと気のない二階の窓辺に、ひっそり置かれた糸車。 『眠り姫』の物語を思い浮かべます。















庭に建つ、小さな可愛らしい家。窓にはカーテンもかかっていますが、何のための家でしょう? ドアには鍵もなさそうだし、のぞいてみたい気がしましたが、やめておきました。















   ティータイムを済ませて、見送ってくれたのは、賢こそうなハリネズミ。秋の気配に満ちてきた丘の様子を、見守っているのでしょうね。






   お腹がいっぱいになったところで、今度は読書タイム。 イギリス風なお茶を飲んだ後だから、イギリス人が主人公の、話題の絵本を。 『世界でさいしょのプログラマー』(評論社)のページをめくりました。

     

       

有名な詩人、バイロンを父に持ち、母は数学者。そんな家庭に生まれたエイダが、父の文学的感性と、母の理系頭脳を受け継ぎ、初の女性プログラマーとして活躍していく様子が描かれています。 もうすぐ、プログラミングが小学校の授業に導入されるようですし、女性が画期的な仕事をする物語ですし、時勢に合った絵本ということになるのでしょうね。











  内容もさることながら、イラスト風な絵が素敵。 ずいぶん手の込んだ絵だそうですよ。 日本の水彩絵の具で彩色したものを切り抜き、立体として撮影して、一枚の絵を作るのだとか。 立体だから微妙に影が出来ていて、それがなんとも良い感じ。

  エイダの活躍の背景には、エイダの母の努力があったのだろうと想像出来る物語でした。かなり教育熱心なママです。 エイダをいろいろな人に会わせたり、勉強の機会を与えたり。


  親子で読むのも、いい絵本かもしれませんね。


                   
   このところ、日本橋界隈を歩くことが多いのですが、駅を降りてすぐのところにある、名前の由来となった橋は、改めて見ると、立派な装飾。 すぐ上を高速道路が走り、この道路が出来た当時は、景観が損なわれると物議が醸されたことが想像出来ます。 今は、街に馴染んでいます。夕暮れになると、橋に並んだ街灯が、オフィス帰りの人たちをほのかに染めていきます。 秋の夕暮れ、寂しいような暖かいような・・・。


                           2017年9月

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