日々のエッセイ

    
      夏です! 暑いけれど、朝のまぶしい光をあびると、元気になりますね。 部屋にレモンのフレグランスをまいて、暑さを爽やかさに変えて過ごしています。

                        
    近くのお家の玄関先にあるレモンの木。 白い壁を背景に、夏らしい絵になります。 レモンって、梶井基次郎の短編小説『檸檬』もそうですが、この形を見ていると、いくつもストーリーがわいてきそうです。


                     
   
    今年の夏、日販主催の『学校がすすめる夏休み子どもの本』に、私の書いた『リトル・ダンサー』(国土社)が選ばれました。こんなふうに青帯がついて、本屋さんに並んでいます。夏休みにどんな本を読もうかな? と迷ったら、手に取ってみてください。 表紙もブルーが基調で、涼やか。

                      

   くるみちゃんという女の子を、ご存知ですか? 今、ひそやかなブームになっている『くるみちゃん』に会いに、世田谷にある松本かつぢ資料館へ行ってみました。 二子玉川駅の近く、住宅街の壁に、くるみちゃんプレートが。

                           
    ドア口で出迎えてくれた女の子が、くるみちゃん。 極端な内股、手のポーズ、首の傾げ方、女の子らしさ全開です。 昭和の抒情画家・松本勝冶さんが描いた漫画『クルクルくるみちゃん』の主人公。 昭和13年に連載がスタートして、なんと、35年も続いたそう。  当時の女の子たちのアイドルであり、今のガールズ・キャラクターの元祖です。

                      

   くるみちゃんの着せ替え人形は、紙製で、戦前のもの。 女の子のワンピースが可愛い。 男の子は軍服を着ていて、手には日の丸の飛行機。 時代の空気を感じます。

 前髪がクルクルしていて、行動もオチャメなくるみちゃん。 昔の漫画を懐かしむ、おばあ様世代だけではなく、最近は若い女性たちにも「可愛い!」と大人気だそう。  ミニアニメーションにもなっていると聞いたので、今度、見てみたいです。 動くくるみちゃんは、さらにキュートだろうなぁ。

                           

  夏の重要なアイテムといえば、Tシャツ。 Tシャツの切れ端を糸にして、バッグなどに仕立てる『Tシャツ・ヤーン』のハンドクラフトが流行中。 オランダ生まれの、この太い糸は、別名ズパゲッティ。 スパゲッティの間違い?って思うかもしれませんが、スに濁点がついた造語です。 スパゲッティをゆでるように、簡単に編みあがるという意味だそう。
  実家へ行ったら、姪が目の前で、ほんの数時間のうちに、上のバッグを完成させていました。 ヒトデのボタンをつけて、夏らしい雰囲気。 要らない布が、糸に変身するのだから、エコですね。

                               
   町で見掛けた、手作り感いっぱいな可愛い看板。  はちみつが売られていました。 ハチミツはおいしいけれど、赤ちゃんはご用心。

                         


      本棚にあった絵本『ブローチ』(リトルモア)を再読。  透ける紙に描かれた、詩のような文章と、繊細な絵。 丁寧にページをめくらないと、壊れてしまいそうな本。 「小さな祈りを胸にかざる」、それがブローチ。


                          
      下のページも、さらにその下のページも透けて、重なった絵が物語を創っていきます。  暑い日に読むと、涼しい気分になれます。


                           


                          あでやかなラストページ。  夏空に咲いた花火みたい。


                    今年はどこかで花火を見られるかしら?

                               
                  家族や友人が集まる夏。  いっしょの思い出、たくさん作りましょう。 良い夏を!

                                           2017年  7月


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