登山手帖

北アルプス 黒部五郎岳
平成19年(2007年)7月24日(火) 〜 7月28日(土)

黒部五郎岳の展望(雲ノ平)
黒部五郎岳から雲ノ平


7月24日(火) 大阪 〜 富山 〜 有峰林道 〜 折立

軽く昼食を摂って自家用車で自宅を12:00に出発。大阪は梅雨明け快晴。北陸道を富山ICまで休憩2回でひた走る。17:00に上滝のコンビニ・サークルKで食料の買出し。今夜の弁当、翌朝食(パンとコーヒー)、昼食(消費期限翌日13時のおにぎり5個)、氷パック他を買い込む。

有峰林道料金所に17:35到着。その手前にある白樺ハイツで外来温泉の入浴できる時間(朝10:00から)を確認する。有峰林道は拡幅工事中で夜間20:00〜翌6:00は通行止め。対向車も少なく、快適な渓谷ドライブを楽しむ。途中、有峰ハウス前の駐車場から夕照の薬師岳を遠望する。

有峰ハウス前の駐車場
夕照の薬師岳

有峰随道への登りは新たな道が開通していた。18:10折立に到着。気になっていた駐車場には既に60台が駐車中。空きスペースの台数にも余裕。幕営指定地は芝生の広場で快適。テントが既に5張り。

折立キャンプ場
折立キャンプ場

テントを張り終え19:00前に夕食を終える頃、日没。車が夜露にぬれる。広場には照明があって暗闇にはならない。19:40シュラフに包まって就寝。暑くもなく寒くもない。夜間通行止めになるまでの間、後続の車は日が暮れてから1台だけ。

7月25日(水) 折立 ・・・ 太郎兵衛平 ・・・ 薬師沢 ・・・ 雲ノ平

折立キャンプ場 3:40起床 5:00発
太郎坂の三角点 6:05着 6:25発
太郎兵衛平 7:45着 7:55発
薬師沢第一渡渉点 8:25着 8:30発
薬師沢小屋 9:40着 9:50発
雲ノ平への登り途中 10:50着 10:55発
雲ノ平の木道 11:25着  
アラスカ庭園 11:35着  
奥日本庭園の手前 11:50着 11:55発
雲ノ平山荘 12:15着  

3:40周囲の物音に目がさめ、起床する。朝食をとりテントを撤収して出発仕度。昨日の快晴とは程遠く、朝から空模様が怪しい。5:00出発。最初の太郎坂を快調な登りで高度を稼ぐ。

途中から小雨模様になり、雨具を出す。出発して予想通り1時間少しで三角点に到着。展望が開ける。薬師岳は雲の中、太郎兵衛平に続く稜線にはガスがかかる。一旦雨具を仕舞いかけたが、程なく風雨。20分休憩、雨具を着込む。

傾斜のゆるい登りが続き、ニッコウキスゲとチングルマのお花畑が目を楽しませてくれるが、カメラが出せず休憩なしのまま、7:45に太郎小屋に到着。ガスで展望なし。人影はまばら。

太郎小屋は客を送り出して一息ついたような感じ。小屋には入らずに先を行く。薬師沢まで下ると雲の下に出て視界が開け、雨も小止みになる。笹原の中に立派な木道が延びて、とても歩きやすい。

カベッケガ原
カベッケガ原

薬師沢の吊橋
薬師沢の吊橋

9:40薬師沢小屋に到着。当初の宿泊予定地であったが、早く到着した上に体調もよいので、このまま雲ノ平を登り返すことにする。途中1回休みを入れて11:25に急坂を登りつめる。

ガスで展望は全くないが、雲ノ平の木道を沿いはチングルマとアオノツガザクラが満開。小雨模様であまり多く写真が撮れないのが残念。

雲ノ平の木道
雲ノ平の木道

12:15雲ノ平山荘に到着。宿泊手続きをして、早速カップラーメンとクラッカー、消費期限間際のおにぎりで昼食とする。1階は板の間でスリッパ履き、2階は畳敷の大部屋寝床になっている。

夕食は17時。それまで午後のティータイム。ココア、コーヒー、ホットレモン、緑茶とコンロで湯を沸かして飲み続ける。水は残雪を融かしたものが無料で利用できるので、湯冷ましの水を飲料水としてペットボトルに詰める。別に、テント場の水場から運び入れた水がそのまま飲める水として1リットル100円で販売している。

午後の雨の中、宿泊客が三々五々到着する。夕食は4年前から始めたという石狩鍋。見知らぬ者同士がテーブルの鍋を囲んで歓談。この日の泊り客は20名くらい。ゆったりとくつろげる。

夕食後、テレビのローカル番組を見る。天気予報では北陸地方に梅雨前線が新たに発生し、明日にかけて南下するという。乾燥室もあるが、温風ヒーター1基では力不足。石油ストーブの強力なものが広間にあり、水没した靴と靴下を乾燥させる。

トイレはバイオ処理槽。使用したトイレットペーパーは便槽に落とさず、焼却処理するため側の箱の中に捨てる。気温が低く風通しがよく、消臭剤も利いているのか、不思議とほとんど臭わない。21:00消灯。夜半にかけて風雨が強まる。

7月26日(木) 雲ノ平 ・・・ 黒部川源流 ・・・ 鷲羽乗越 ・・・ 五郎平

雲ノ平山荘 5:00起床 6:00発
黒部川源流渡渉点 7:35着 7:45発
鷲羽乗越への登り途中 8:00着 8:10発
鷲羽乗越 8:25着  
三俣蓮華の分岐点 9:20着 9:25発
黒部五郎小舎 10:05着  

朝食は5:00から。雨止まず、室内で入念に準備運動をしてから6:00出発。テント場への道は祖父岳側が植生保護の名目で通行止め・通り抜け不可になっていた。祖父岳の裾を巻く道で、雷鳥1羽が姿を見せる。雪田は消えかかり、夏道を下る。

雲の底を出て視界が開ける。黒部川源流の渡渉点は、昨日からの降雨により増水。踝上くらいの深さの流水で勢いを増している。ロープが渡して張ってあるが、上流側の雪渓まで迂回して慎重に横断する。

黒部川源流の渡渉点
黒部川源流の渡渉点

鷲羽乗越までの登り道も、ことごとく川と滝になっている。登り途中で休憩、くたびれた軽登山靴ゆえ防水の効用なく、水没したような靴下を脱いで絞る。三俣山荘には立ち寄らず、三俣蓮華岳の巻き道に入る。ここでも雷鳥1羽が姿を見せる。雪渓を通過する箇所もあるが、危険ではない。等高線に沿った平坦な道というより、小さな上り下りを繰り返す。

三俣蓮華の分岐点で記念撮影
三俣蓮華の分岐点

分岐に到着する頃、雨は小止みになる。五郎平への最後の下りは岩ゴロの細い道。展望の寄り道コースが分かれている。10:05黒部五郎小舎に到着。宿泊手続きをとる。他の泊り客の姿はなく、この日(多分)最初の到着となる。

黒部五郎小舎
黒部五郎小舎

濡れたものを水切り乾燥室に掛ける。玄関先の屋外に水場があり、掛け流しでビール缶を冷やしている。手洗いもできるので、水を手ですくいザックカバー、スパッツ、靴、靴下の泥を洗い流す。1時間ほど身の回り品の整理をしてから、昼食とする。

昨日同様、午後のティータイム。午後から続々と泊り客が到着する。小屋は広くて真新しく快適。泊まりの人数も定員の半分以下で、今日もゆったりくつろげる。ここの夕食も品数が多くなかなか贅沢。昨日同様、夕食と朝食で一日の消費カロリーは足りてしまいそうだ。

天気は回復に向って、夕刻には雲間に笠ヶ岳、薬師岳まで展望が広がる。

黒部五郎岳
雲間の黒部五郎岳

笠ヶ岳
夕暮れの笠ヶ岳

日が暮れて星空。夜空に少し霞みがあり、天の川は判然としない。寝る前に玄関のストーブで濡れた靴下と靴を乾燥させる。

この小屋のトイレもバイオ処理槽。客が多い分、トイレットペーパーの箱はすぐ満杯になりそうだ。21:00消灯。昨日と同様、掛け布団なし毛布1枚で寝たが、少し寒かった。

7月27日(金) 五郎平 ・・・ 黒部五郎岳 ・・・ 北ノ俣岳 ・・・ 太郎兵衛平 ・・・ 折立 〜 有峰

黒部五郎小舎 4:20起床 5:20発
黒部五郎岳 7:00着 7:40発
北ノ俣岳 10:30着 10:55発
太郎兵衛平 12:05着 12:40発
折立 14:40着 15:20発
有峰ハウス 15:50着  

朝食は4:30から。快晴。

笠ヶ岳
朝焼けの笠ヶ岳

薬師岳
朝焼けの薬師岳

5:20出発。黒部五郎岳のカールの道を行く。

黒部五郎岳のカール
黒部五郎岳のカールの水場

進むにつれて周囲の展望が広がる。7:00頂上に到着。北は剣、立山、白馬まで、南は乗鞍、御嶽まで、雲海の彼方に白山も望める。

黒部五郎岳の展望(笠ヶ岳・乗鞍岳・御嶽山)
笠ヶ岳、乗鞍岳、御嶽山

黒部五郎岳の展望(槍ヶ岳・穂高連峰)
槍ヶ岳、穂高連峰

黒部五郎岳の展望(北ノ俣岳・薬師岳・剣・立山・白馬岳)
 北ノ俣岳に続く稜線 薬師岳 剣岳・立山

すばらしい眺めを堪能して山頂で40分過ごす。一旦急坂を下って、緩やかな稜線歩きが始まる。いたるところお花畑が広がる。鞍部には地塘もあり、写真を撮りながらゆっくり歩く。

チングルマ

チングルマ

コイワカガミ

コイワカガミ


ミヤマリンドウ

ミヤマリンドウ

ムシトリスミレ

ムシトリスミレ


中俣乗越
中俣乗越から五竜岳、鹿島槍ヶ岳を遠望

太郎兵衛平方面からの登山者と次々とすれ違う。10:30北ノ俣岳に到着。景色を眺めながら昼食とする。25分過ごす。夏雲が湧き上がり、黒部五郎岳の頂上が雲に隠れる。北ノ俣岳頂上から携帯電話がかろうじて繋がる。太郎小屋が近くに見える。

黒部五郎岳
黒部五郎岳を振り返る

赤木岳
赤木岳へ続く稜線

北ノ俣岳の展望(太郎兵衛平)
北ノ俣岳山頂

広大な稜線
 有峰湖を俯瞰 北ノ俣岳から太郎兵衛平へ続く稜線 太郎兵衛平

地塘と薬師岳
地塘と薬師岳

北ノ俣岳
黒部五郎岳、北ノ俣岳を振り返る

稜線歩きの終盤は木道が続く。踏み跡の侵食が著しい。12:05太郎平小屋に到着。多くの登山者でにぎやか。予定はここまでだったが、宿泊客で混みそうなのと体力・時間に余裕があったのでこのまま下山する。

太郎平小屋
多くの登山客に賑わう太郎兵衛平、太郎平小屋

太郎兵衛平の展望
太郎山から水晶岳・雲ノ平・三俣蓮華岳  雄大な展望の見納め  今回も雲ノ平は雨模様でした

折立へ続く稜線
折立へ続く稜線   後はひたすら下るだけ

小屋の横で飲料水を補給。公衆電話(衛星回線)がある。100円で30秒。通話にタイムラグがあり、話し急ぐと聴き取りにくい。下りでも次々と登山者とすれ違う。途中2箇所のベンチで休憩をとり、快調に下る。14:40折立に下山。

折立の駐車場
今日一日長い道のりの末、折立に下山する

折立には下山者が数名、15:50発の富山地鉄のバスを待っている。案内所で有峰ハウスの宿泊を問い合わせる。食事込みで泊まれるとのこと。

駐車場の車が増えている。ほぼ満車。数えてみると路上の車8台を含めて115台。駐車場の空きが5台分残っていた。幕営指定地にテントが5張り。荷物を整理し少し休憩してから15:20出発。30分で有峰ハウスに到着。

有峰ハウス
有峰ハウス

泊り客は少ない。建物の構造・内装は木材のよさを活かした造りで、落ち着ける。風呂は16:30から。湯上りに缶ビールで山行完遂を一人祝杯。程よく疲れた体に、ビールのほろ酔いで至福のひととき。18:00の夕食まで部屋の中に寝転び、窓から見える薬師岳を眺めながらまどろむ。

振り返ってみると、5年前の裏銀座の頃よりずっと体力が向上しているのがわかる。ここ1年余りのトレーニングの成果がよく出ている。体力に自信が持てると、少しハードな山行でも余裕をもって楽しめる。

7月28日(土) 有峰〜 亀谷温泉 〜 富山 〜 大阪

6:20起床。曇空。薬師岳は雲の中。6:30から7:00にかけて有峰林道を次々と車がやってくる。部屋の窓辺で数えてみると観光バス、タクシーを含め35台の車が通過していった。

7:00に朝食、その後駐車場の前でホースを借りて車を水洗いする。9:00清算、近くの有峰ビジターセンターを見学する。

9:30出発。往路と同様に林道を快調に走っていたら、路面の小さな上がり段差とエンジンルームの底にある牽引フックが接触、路面を薄く削る。

有峰湖
有峰湖

10:00亀谷温泉の白樺ハイツに到着。温泉に入り、しばし休憩。

岩峅寺のスタンドで給油。その後、局地的な集中豪雨に遭う。富山平野をそのまま東進し、砺波ICから北陸道に入る。小矢部川SAで昼食、名神栗東ICの先で事故渋滞。大阪に入っても渋滞情報があったので湾岸線まで迂回し、結局19:00に帰宅。

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