登山手帖

北アルプス 朝日岳・白馬岳
昭和55年(1980年)8月11日(月) 〜 8月14日(木)

早朝の白馬岳
白馬岳


8月11日(月) 蓮華温泉 ・・・ 朝日岳

蓮華温泉 8:00着 8:15発
兵馬ノ平 8:45着 9:02発
瀬戸川歩道橋 9:30着 10:05発
白高地沢 11:03着 11:20発
五輪尾根 11:43着 12:15発
カモシカ原 12:45着 13:10発
白高地平 15:55着 16:30発
朝日岳直下 17:00着  

前夜、急行きたぐにで出発。夜行列車の待ち行列は1列を越えたが、自由席が多いので混雑はしなかった。ただ、途中の停車駅ごとに乗客が割にあって、落ち着いて寝られなかった。

乗り継ぎに余裕がなかったため、朝食なし。平岩から蓮華温泉まで幅員の狭いラフロードなのでバスの揺れはひどい。バスの乗客は、蓮華温泉からの下り客の方が多いようだ。

蓮華温泉から兵馬ノ平へは新しく木道が続いている。木道のないところは、深いぬかるみであることが多く、歩きづらい。兵馬ノ平は湿地性のお花畑。天気は晴れ、曇がち。

瀬戸川に架かる橋
瀬戸川

瀬戸川に架かる吊橋は橋塔が折れ曲がっていた。白高地沢を渡ると、しばらくは樹林の中の尾根伝いで、お花畑が展開するのは、カモシカ原を過ぎてから。ガスの中で展望はない。

花園三角点付近から先は水場が多く、所々サイトの跡がある。白高地平で定時の天気図をつけていたら、ブヨが集まってきた。朝日岳の手前にサイト適地があって既に2パーティーがテントを張っていたので、ここに泊まることにする。夕食後、すぐ寝る。

8月12日(火) 朝日岳 ・・・ 雪倉岳 ・・・ 白馬岳

朝日岳下 4:40起床 6:45発
小桜平手前 7:30着 7:45発
雪倉岳手前 8:50着 9:20発
雪倉岳 10:05着 10:46発
分岐手前 11:46着 12:00発
三国境 12:50着 13:07発
白馬岳 13:47着 14:15発
離山テントサイト 14:30着  

ガスが濃く、テントは夜露で雨に遭ったより濡れていた。朝日岳から旭岳がわずかに望めたが、相変わらずガスに遮られて展望は望み薄。朝日岳からの下りはあまり利用されていないのか、このあたりにはめずらしく険しい感じの道。小桜平付近は水場が多い。湿地性のためか、サイト跡はあまりない。燕岩近くにもサイト跡と水場がある。

雪倉岳の避難小屋の近くに水場はないようだった。鉢ヶ岳の巻き道にも雪田末端から流水が得られる。三国境で休んでいると、後から森林パトロールの腕章をつけた人がやってきて、白馬の方へ行った。

白馬頂上からも展望なし。村営頂上小屋は改築中の最中だった。

8月13日(水) 離山テントサイト ・・・ 清水岳 ・・・ 祖母谷温泉

離山テントサイト 3:45起床 5:35発
裏旭岳手前 6:20着 6:30発
清水岳 7:05着 7:40発
清水尾根下り途中 8:00着 8:30発
不帰岳避難小屋 9:00着 10:00発
百貫山の沢 11:10着 12:15発
祖母谷温泉 13:50着  

2時ごろ目が覚める。ガスはなく、満天星空(月齢は1.3)。テントから頭を出して3時まで、ペルセウス座流星群を眺める。周囲のテントが騒がしくなったので、4時前に起きる。

旭岳手前の雪田で夏スキーをやっている人がいた。遠くは霞んでいるが、展望は良い。あまり人通りのないコースだと思っていたが、道はよく整備されている。雷鳥の親子連れに会う。雛鳥はかなり大きかった。

清水岳の展望(白馬鑓ヶ岳)
清水岳から白馬鑓ヶ岳

清水岳の展望(五竜岳・鹿島槍ヶ岳)
五竜岳・鹿島槍ヶ岳

清水平近くで先行する2パーティーを追い抜く。路傍の雑草と擦れ合ううち朝露がニッカーとソックスを濡らし続け、とうとう靴の中まで水浸し状態になった。下りが長く、さらに重ねて履いた靴下が災いして、両足の親指+小指+踵さらに足裏にかけてひどい靴ずれを起こした。

不帰岳避難小屋は改築中で基礎ができたばかり。水場の近くにあり、厠まであった。後から昨日同じだった単独行の人が来る。まさか、この道を登る人はいないだろうと思っていたら、5人のパーティーとすれ違った。百貫山の沢を過ぎる頃から、小さなバッタが多くなる。また一人とすれ違った。

足の苦痛に耐えかねて、予定より短く、祖母谷温泉でテントを張る。祖母谷温泉は山小屋風で利用客も登山者が多いらしく、観光地の中にあって気兼ねせずにすむ点が何より嬉しいところ。露天風呂は、少し湯がぬるめながら快適な温泉だった。

8月14日(木) 祖母谷温泉 ・・・ 欅平

祖母谷温泉 6:20起床 8:30発
欅平 9:10着  

朝目覚めると靴ずれが黄色く化膿し始めていた。縦走計画を中止しここで下山を決める。急がないのでゆっくり出発。靴ずれが昨日にも増して苦痛。足を交互にそろりと置くようにしか歩けない。

欅平の駅に近い温泉宿は観光地の趣き。登山客もいなくはないが大半は観光客といった印象。9:17トロッコ列車に乗って下山。すれ違う満員の客車には登山客の姿はほとんどなかった。

下山してなお食料で一杯詰まったザックの重みが、心身にこたえる。

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