登山手帖

加賀白山
昭和55年(1980年)6月5日(木) 〜 6月8日(日)

別山と白山(左奥)
別山と白山(左奥)


6月5日(木) 上在所 ・・・ 神鳩避難小屋

上在所   13:15発
初河谷出合 13:50着 14:05発
登山口 14:43着 15:00発
登り途中 15:58着 16:20発
神鳩避難小屋 16:50着  

前夜準備に手間取り寝たのは2時半。5時起床で5時45出発。乗り継ぎの名古屋で予定の急行おくみのは越美南線一部不通のため運行されないと聞き、不安になる。代行バスが深戸から出発し予定より15分遅れて上在所に着く。

上在所と登山口までの林道は、いたるところから水が得られる。登山口の登山者カードのボックスは半壊していた。カードはまだ設置されていない。登山道はシーズン前のためかブッシュが多い。

今清水大杉は樹齢1800年の老木。幹が異様に太く、その割に高さがない寸胴型の枯れ木に申し訳程度に支枝が伸びてわずかに葉をつけているといった感じ。特別天然記念物。

神鳩避難小屋に近づくにつれ、熊笹のブッシュがひどくなる。水場は小屋から少し下ったところに細い流れがある。シーズン・オフで全く人の気配なし。夜は深閑として、小屋に一人は寂しいものだ。22時NHKの気象通報で天気図をつけてから寝るまでの間、ラジオで気晴らし。

神鳩避難小屋
神鳩避難小屋から銚子ヶ峰

6月6日(金) 神鳩避難小屋 ・・・ 別山 ・・・ 南龍ヶ馬場

神鳩避難小屋 7:15起床 8:32発
銚子ヶ峰 9:07着 9:17発
一ノ峰 10:00着 10:15発
三ノ峰手前 11:00着 11:25発
三ノ峰避難小屋 11:55着 12:30発
別山平 13:10着 13:33発
別山 13:56着 14:30発
油坂 15:20着 15:40発
南龍ヶ馬場 16:30着  

夜遅かったのと熟睡で、起床が遅れる。

ブッシュ漕ぎが続く。高山植物の花もいくつか見られる。銚子ヶ峰から石撤白の町や穂高から御嶽まで見渡せる。天気はよいのだが、遠くは霞みがかかりぼんやりしている。風がないので、やや暑苦しい感じである。

一ノ峰手前付近から縦走路沿いに雪田が現れるようになる。ニノ峰は休む場所がない。水呑権現の小さな石碑の周辺は小さな広場になっている。水場は大きな雪田である。下池方面の登路も、深い笹に覆われている。

三ノ峰手前から小屋まで大きな雪田の登り。三ノ峰の小屋から先は笹の茂り具合が穏やかになり、ブッシュ漕ぎもうるさいブヨやハエも少なくなる。別山平の御手洗池にカエルの卵。飲料できそうなほど澄んでいる。

三ノ峰避難小屋にて休憩
三ノ峰避難小屋にて休憩

一・ニ・三ノ峰と別山へ続く稜線
 神鳩 銚子ヶ峰 一ノ峰 ニノ峰 三ノ峰 別山平・御手洗池

別山と御舎利山の間には10人くらい入れそうな小さな石室があり、荒天時避難に良さそう。縦走路を横切る大きな雪田のトラバースに注意。

油坂の大きな雪斜面の下りは、傾斜は急であるが歩きよく滑落の心配はなさそう。広い目標のないようなところなので、夏道を見失わないように左側寄りに下っていく必要がある。油坂から南龍ヶ馬場のヒュッテは間近に見える。下りきってしまうと足跡も指導標も赤布もない雪の谷間に出て、登り返す道を見つけるのに少々手間取った。

別山神社

別山神社

別山・御舎利山の下り

別山・御舎利山の下り


南龍ヶ馬場
油坂から残雪に囲まれた南龍ヶ馬場を見下ろす

予定は室堂だが、時間的に余裕がないので南龍ヶ馬場のヒュッテの前でテントを張る。大阪の人が一人先に着いていた。中宮温泉から来たそうである。その人に16時の気象通報の天気図を見せてもらったので、昨夜のように22時過ぎまで起きている必要がなくなった。19時半に寝る。

6月7日(土) 南竜ヶ馬場・・・ 白山御前峰 ・・・ 中宮温泉

南龍ヶ馬場 4:15起床 5:50発
室堂 6:56着 7:10発
白山御前峰 7:42着 8:10発
地獄のぞき 9:46着 10:00発
ゴマ平避難小屋 11:15着 12:10発
シナノ木避難小屋 13:37着 13:52発
中宮温泉前 15:20着 15:37発
中宮温泉バス停 16:00着  

昨日とは打って変わった空模様。雲底は十分高いが全天厚い雲に覆われ、いつ雨が降り始めるか気がかりだった。ドンビ嵓経由で室堂。小屋の従業員と登山者が大勢いた。御前峰から展望は良かった。

雪融けの室堂平
雪融けの室堂平

白山御前峰の展望
 剣・立山連峰 白山御前峰の展望 槍・穂高連峰

風が強く、じっとしていると寒い。強風にのって雲が縞になって稜線を越えるようになったので、即刻下山を始める。

峰を越えて流れる雲
峰を越えて流れる雲

ヒルバオ雪渓は視界が利かないと迷う恐れがある。先縦者の残した足跡に沿って下る。北弥陀ヶ原も同様。下って振り返ると白山の頂上は既に雲の中。地獄のぞきから見る火の御子峰の赤い山肌が印象的な眺めだった。北アルプスの展望はまだ続く。

ゴマ平ヒュッテは2階建て。水場はすぐ下にある雪融けの清流。ここから残雪はめっきり少なくなる。樹林の中を進むようになるが、風が強いため暑苦しさは感じない。夏の無風好天時には、さながら練成山行であろうか。室堂から中宮温泉まで20kmあり、途中でうんざりする長丁場になる。

厚い雲に覆われた白山主稜(シナノ木平にて)
下り疲れて、振り返り見る稜線

シナノ木小屋跡の水飲み場の標識があるところは小さな残雪があるのみ。シナノ木平避難小屋も2階建て。水場が遠いのが難(200m先と20m下の標識がある)。噴泉塔へ下る廃道の入口(それらしきもの)は不明瞭。

下り疲れて、中宮温泉を目の前にして休憩。湯谷に下ったところで、これを遡上するルートがあって紛れ込む。中宮温泉は思ったより開けていた。16時25分の最終バスに間に合う。

前回の山行の反省から、アイゼン・ピッケル・雪目の特効薬を取り揃えた。ここぞという出番はなかったが、いい練習になった。

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