登山手帖

八ヶ岳
昭和55年(1980年)5月3日(土) 〜 5月5日(月)

西天狗岳の山頂
西天狗岳の山頂   残雪の照り返しがまぶしい


5月3日(土) 渋ノ湯 ・・・ 東天狗岳 ・・・ 硫黄岳石室

渋ノ湯 8:10着 8:25発
展望台 9:25着 9:40発
黒百合平 10:20着 11:22発
東天狗岳 12:30着 13:32発
根石岳 13:50着 13:59発
夏沢峠先 14:30着 14:37発
硫黄岳 15:08着 15:25発
硫黄岳石室 15:35着  

連休ラッシュ。前夜発急行ちくま5号(22:20発)に乗ろうと20時に大阪駅に来た時には、既に待合に行列が延々と続いていた。満員で乗れなくなるかもしれないと駅員の案内があったので、比較的乗客の少ない急行ちくま1号(21:04発)に乗った。自由席はいうまでもなく、指定席の車両まで乗客があふれそうな有様だった。なんとか横になれる場所を確保したのは幸い。

塩尻駅で約2時間の待ち合わせ。ホームは人で一杯。女子が行列をなし便所を占有中で、男子が中に入る余地無し。ホームに入る普通列車も満員で乗り込めない。

なんとか、急行アルプス2号に乗り継ぐ。意外にもサービス時間外のビュッフェ車両は空、ゆったりできる。横に広い車窓から5月の遅霜、霞む富士山、遠くわずかに南アルプスの峰々と移り変わる景色に見入って退屈しなかった。

茅野駅の改札口は登山者でごった返す。諏訪バスで渋ノ湯まで。

登山道は残雪が融けて泥と合わさり、泥道、残雪道、泥雪道と交錯して現れる。天候は快晴。黒百合平は雪面以外は泥地。雪の斜面でスキーをしていたが、やや手狭のよう。天狗の庭に出ると風が強く、岩の上を風に揺られながら歩く。東天狗岳の頂上から大展望。西天狗岳まで往復する。西天狗岳の頂上はなぜか風が弱い。

東天狗岳の展望(北八ヶ岳)
 東天狗岳山頂から北八ヶ岳

東天狗岳の展望(南八ヶ岳)
  東天狗岳山頂から南八ヶ岳

硫黄岳の爆裂火口の断崖
硫黄岳の爆裂火口の断崖

硫黄岳の展望(横岳・赤岳・阿弥陀岳)
 横岳 赤岳 阿弥陀岳

天気が気になり、予定を変え硫黄岳石室を目指す。山稜の小屋らしく、日没まで明るかった。夕食は山小屋風の簡素なもの。便所の中まで雪が吹き溜まり。部屋にはストーブがあった。夕食後大部屋には布団が敷き詰められ、就寝時刻一斉に寝かしつけられる(19:30)。

5月4日(日) 硫黄岳石室 ・・・ 横岳 ・・・ 行者小屋 ・・・ 阿弥陀岳 ・・・ 赤岳 ・・・ 行者小屋 ・・・ 赤岳鉱泉

硫黄岳石室 4:15起床 5:35発
横岳手前 5:55着 6:05発
横岳奥ノ院 6:15着 6:30発
日ノ出岳手前 7:00着 7:15発
日ノ出岳の下り 7:25着 7:30発
分岐 7:55着 8:05発
行者小屋 8:55着 9:20発
阿弥陀岳・中岳のコル 9:56着 10:05発
阿弥陀岳 10:20着 10:50発
阿弥陀岳・中岳のコル 11:10着 12:02発
赤岳山頂 12:43着 13:30発
行者小屋 14:20着 14:35発
赤岳鉱泉 14:51着  

3時起きの予定が周囲の動きに気づき目覚めると4時過ぎ。階下に降りてアルファ米の簡単な朝食の支度。朝食の間に日の出時刻となり、御来光を見過ごして少し悔やむ。

予想に反して天気は快晴。風は強く、気温はそれ程低く感じられなかった。雪は固く凍っていた。展望はよく、下界まで見渡せる。横岳奥ノ院の直下で道を誤ったらしく、すぐ前にいた人のピッケルを助けにして雪壁をよじ登る。

横岳(奥ノ院)
横岳(奥ノ院)

横岳の展望
 横岳の展望 北アルプス白馬連峰 蓼科山 西天狗岳 硫黄岳 頚城山系 妙高山

横岳縦走路は難所。日ノ出岳の日陰は氷結して、張られた鎖を頼りに通過する。続く下りは急傾斜の雪面で、ステップが凍りついている。ここはキックステップで何とか下る。滑落の危険に緊張の連続。遭難しても不思議でない。

横岳の縦走路
横岳の縦走路   氷雪路が交錯して現れる

目の前に聳える赤岳の雪の道を見上げて、すっかり気が滅入ってしまう。地蔵尾根を下りエスケープする。

赤岳
赤岳

行者小屋俯瞰
地蔵尾根から行者小屋へエスケープする

横岳の岩稜
行者小屋から横岳の岩稜

主峰の赤岳を目の前にして引き返すのも惜しい。行者小屋から見上げると、中岳の稜線は雪解けが進んでいるように見えた。そこから赤岳へ登頂できるだろうか? 

とりあえず、中岳と阿弥陀岳のコルを目指して登り返す。コルから阿弥陀岳まで往復する。雪の急斜面の登高もそれほど危険は感じない。思案した 赤岳の登りも雪が融けて滑る心配がなくなり、容易に、あっけないくらい頂上に達した。

赤岳の展望(富士山)
赤岳から富士山

大展望を満喫。帰りは元来た道を引き返す。中岳と阿弥陀岳のコルから行者小屋までの雪道が陽光に輝き、赤岳鉱泉に到着、夕刻になって眼が痛くなった。軽い雪目になったようだ。

5月5日(月) 赤岳鉱泉・・・ 美濃戸口

赤岳鉱泉 4:00起床 5:30発
美濃戸口 6:52着  

美濃戸口バス停まで淡々とした下り。天気も下り坂。山行中好天だったのは幸い。

ワカンでラッセル三昧の雪山ばかりやってきたが、今回は完全に装備不足だった。アイゼンとピッケル、念のため雪目の特効薬(コートン点眼液)も、買い揃えることにした。

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