乗鞍岳畳平 自転車で登る国内最高地点
一昨年不発に終わった『乗鞍スカイライン』にロードバイクで再チャレンジします。それに合わせて妻と2泊3日の観光旅行。岐阜県の平湯温泉を起点に、妻は観光バスに乗り、私はロードバイクで乗鞍スカイラインを駆け(?)上がり、畳平で合流して一緒に山頂一帯をハイキングする計画です。
マイカーにロードバイクを積み、往路・復路それぞれ観光地に立ち寄ります。
往路の観光地は岐阜県の山間にある『郡上八幡』。いままで通過するばかりで、いつか訪れてみたいと心に留めていました。夏の風物詩ふうに、澄んだ渓流と水遊びに興じる子供たちの姿が時々TV番組で紹介されます。実際、橋の上から水浴びに飛び込みたい歳でもありませんが、涼を求めるこの季節の観光、何か惹かれるものがあります。
彼の地に到着して最初に見ておきたいのは『郡上八幡博覧館』。観光に係る展示物が充実して見どころ満載、郡上八幡の魅力をよく伝えています。
郡上八幡博覧館 郡上おどりの展示
コロナ禍にあって『郡上おどり』は(実演展示も含めて)開催されませんが、展示パネルに歌舞の流れがイラストで描かれています。盆踊りに興じた子供の頃を思い出し真似てみました。後日、東京オリンピック2020の閉会式典で放映された全国の舞踊の一つに『郡上おどり』があって、そーなんだ…と勝手に得心しました。
伝統工芸品 渓流の釣り道具
天然素材で拵えた釣り竿。細く優美な形状、その洗練された仕上りに何か職人技を感じます。これで釣られた渓流の鮎もまた絶品なのでしょう(ね?)。
現代工芸品 全国に渡る精巧な食品見本
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ふだんの外食で、店先のショーウィンドウでよく目にするメニューの実物模型。料理人が腕を振るう一品の味覚に、視覚で迫っています。
美味しそうな食品サンプルの展示の上に、「当館はレストランではございません!!」の貼紙が。来館者の多くが食をそそられ、勘違いしても無理ないか。
ちょうどお腹が空いた頃合いなので、館員さんに近くの食事処をたずね、博覧館を後にします。
博覧館の近くで軽く昼食
評判のお店でざる蕎麦を頂きます。早めに着いて待ち時間なし。この後立ち寄った『まちなみ交流館』も空いてます。軒先で見かけたのは縁起物の南天玉、先週の4連休は大勢の観光客で賑わいソーシャル・ディスタンス大変だったそう(館員さん談)。郡上八幡城まで歩いて登るなら、下り一方通行路側が早いと教えていただきました。
街並みを見下ろす山城
なので、そのように歩きます。
郡上八幡城へ110mアップ
夏の陽射しも、木陰は涼しげ。ゆっくり歩いて、汗だくの登りとはなりません。明日の乗鞍岳畳平ハイキングの足慣らしです。歩いて登るのは難儀…という人は、クルマで頂上の駐車場まで上がれます。その駐車場も空いてました。
見晴らしの良い広場が城の入口、茶店もあります。ソフトクリームを注文して暫し休憩。
城下町一望の広場
天守郭の内部は、戦の屏風絵、刀剣・甲冑、郡上染め(黄金口の)鯉のぼりなど展示物多数。入って直ぐに、妻のお気に入り記念スタンプと朱印状(見本)がありました。
天守郭見物
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天守郭は木造建築。上層階の床板張りは踏みしめてギシギシ音を立て、古城の雰囲気。開放された窓から心地よい風が吹き抜けていきます。ご当地ゆかりの人物はNHK大河ドラマ『功名が辻』もあって世に広く知られました。柱に掲げられた『千代の知恵 賢妻の心得 十箇条』が面白い。
風吹き抜ける天守郭
細いつづら折りの上り一方通行路(この路、下りにした方が運転し易くない?)を下って、街並みの観光に戻ります。
山麓の吉田川に架かる『新橋』も観光スポット。その下の碧く澄んだ深い瀞を臨めば、落差も何も考えず、唯々やんちゃで飛び込みたくなる・・・人のために(?)『重大な事故発生…無謀な飛込み厳に自粛』の警告が欄干に大きく掲出されています。
新橋 水遊び誘う吉田川の清流
『いがわ小径』も空いていて、観光名所に没入するにはちょうどいい狭さ。ただあまり時間がないので、鯉のエサでまったり過ごすのは止め、次の観光スポットに向かいます。
途中、通りがかった民家の玄関先に寒暖計を見つけました。熱中症にご注意でしょうか、気温は35℃。湿度が低いのか暑さもさして気にならず、補水なしで観光巡りしていました。
いがわ小径
気温35℃
通りの清涼飲料水の自動販売機は売り切れでした。が、『いがわ小径』の前に立ち寄った『旧庁舎記念館』に湧水のペットボトルが販売されていたのを妻が覚えていて、休憩に入ります。
郡上八幡の湧水が沁み込む
和洋菓子店でロールケーキを買い、人気のお店のジェラートで観光気分に色を添え、最後は定番の『宗祇水』を訪ねて、4時間あまりの観光を終えます。
観光の定番 宗祇水
外出自粛で人気ない本町通り、夏空に連なり浮かぶ大提灯が、どことなく物憂い雰囲気。
本町通りの大提灯
計画では郡上八幡から高山までせせらぎ街道(国道472)をドライブする予定でしたが、チェックインが遅くなりそうなので高速道路を走ります。
高山を過ぎ山間の平湯峠(トンネル)に差し掛かるころ、上空の寒気で不安定な空模様が本降りの雨となりました。
平湯温泉の宿泊地に到着。玄関先に天体望遠鏡が展示、受付で宿泊客に夜空の天体観望を勧めてくれます。ただ生憎の曇り空、様子見です。
夕食は飛騨牛の会席
乗鞍スカイラインは昨年7月の豪雨災害で一部区間が崩落し長らく通行止めでした。復旧を待ちわびて今夏7月22日開通のニュースを知り、トレーニングを積み重ねてこの日を迎えました。
9時に二人そろって宿を出て、妻は平湯バスターミナルから9:40発の乗鞍山頂(畳平)行きバスに乗り1時間で、私はロードバイクでヒルクライム2時間くらいかけ、それぞれ畳平に着いて11時頃合流する計画・・・でした。
2年ぶりロードバイクの私は1440mアップに2時間33分かけ、へろへろになりながら到着。妻はというとバスを乗り間違えて「上高地」に着き、困惑の様を見かねたバス会社の“神対応”で、畳平へ業務に向かうクルマに便乗し到着。ありがたや。
ともあれ、時間に大差なく合流できたのは幸いでした。
11時38分 乗鞍岳畳平2702mで合流
ここでロードバイク姿の私はトレラン用シューズに履き替え、ウィンドブレーカーを着込みます。ここから二人でハイキング。
まずはベンチに腰掛けて腹ごしらえ。昨日のロールケーキにカロリーメイト、パインアップルの缶詰を開けます。
畳平に神社があるので、妻は御朱印帳を持ってきました。1階が社務所で2階部分に社殿、高い階段を上って拝礼。
乗鞍本宮 朱印状を受ける
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ハイキングは畳平から近い富士見岳往復にします。
富士見岳へ110mアップ
登るにつれ眺望は開けてきます。高山植物も開花の見ごろ。砂礫の斜面にコマクサの群落が華やか。
畳平を一望 コマクサの群落
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富士見岳の山頂に到着。雲に取り囲まれて遠くの景色は望めません。風は穏やか。子供連れ家族も賑やかにやってきて、登山を楽しんでいる様子。
ガス湧く富士見岳山頂
雪渓を添えた不消ヶ池が北アルプス高山帯の雰囲気。
不消ヶ池
剣が峰の山頂は雲の中。よく晴れた日にまた登ってみたい。
富士見岳2817m山頂
下って、乗鞍エコーラインの終点・長野県の県境に立ち寄り、鶴ヶ池の回りの高山植物をゆっくり見ながら畳平まで戻ります。
ヨツバシオガマ
ウメバチソウ
ミヤマゼンコ
フジイタドリ
イワギキョウ
畳平バスターミナルで乗り間違えないよう妻をバス停に案内して、一足先にロードバイクでの乗鞍スカイラインを下ります。
途中雨に遭いつつも無事帰り着き、休みも程々にロードバイクを手入れしていると、妻も予定通り帰ってきました。ロードバイクをクルマに積み込んで本日の行程終了。
夕食は飛騨牛三段重
未明、テラスから夜空を見上げると、雲の切れ間にカシオペア座の星々。夜空の暗さで星の煌めきが際立っています。
贅沢な2泊3日の旅行も今日でおしまい。
テラス付きの部屋に連泊
帰路の昼食は鮎料理にします。渓流沿いの評判のお店、早めに到着しても満席に近い客入りです。
渓流沿いの鮎料理店
ふだんは高級料理など食しませんが、ここは程々に椀飯振舞い(?)します。
鮎甘露煮
鮎唐揚げ
鮎塩焼き
復路の観光地は美濃和紙の里、伝統工芸の産地を訪ねます。
紙漉き体験もできますが、コロナ禍中で少人数予約制。体験時間割表を見ると、この日は昼過ぎまで満員。待つのも帰りが遅くなるので、紙漉き体験は割愛します。
美濃和紙の里会館
和紙といえば障子紙くらいの認知程度ですが、ここには様々なものが展示されています。伝統的な和紙の製法も順を追って分かりやすく説明があり、職人が紙漉き作業する簀桁(表面)の映像に見入りました。
暮らしの中の和紙
日本古来の伝統技術の伝承は、国の重要無形文化財に指定され、ユネスコの無形文化遺産に登録されています。美濃手漉き和紙は、2020東京オリンピックの表彰状にも採用されているとか。
妻はお土産に便箋を買いました。
和紙で紡いだ繊維
手漉き和紙は、簀の編み糸の筋跡が透かして見えます。なるほど。
手漉き和紙の見分け方
帰路、長良川に架かる渋滞気味の新美濃橋の上から、夏空の下、河川敷で川遊びする人の姿が数多く見えました。